通関士 過去問
第58回(令和6年)
問29 (通関業法 問29)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

通関士試験 第58回(令和6年) 問29(通関業法 問29) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、通関業者又は通関士の義務に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選びなさい。
  • 法人である通関業者の役員及び通関士は、通関業者又は通関士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
  • 通関業務を行うに当たって依頼者の陳述又は文書等から知り得た事実で一般に知られていないものについては、知られないことにつき、依頼者又はその関係者に利益があると客観的に認められるかどうかを問わず、通関業法第19条(秘密を守る義務)に規定する「通関業務に関して知り得た秘密」に当たることとされている。
  • 通関士であった者は、通関業法第32条第1号(通関士の資格の喪失)の規定に該当したことにより通関士でなくなった場合には、同法第22条第2項の規定による異動の届出の有無にかかわらず、通関士としての自己の名義を他人に通関業務のために使用させてはならない。
  • 通関業法第32条第1号(通関士の資格の喪失)の規定に該当したことにより通関士でなくなった者であって、同法第22条第2項の規定による異動の届出のない者が、通関書類に通関士としての自己の記名をさせた場合には、その行為は同法第33条に規定する「その名義を他人に通関業務のために使用させる」ことには当たらないこととされている。
  • 通関業法第18条の規定により掲示する通関業務の料金表の様式及び掲示場所については、社会通念上妥当と考えられる方法により各通関業者が自由に定めることとして差し支えないこととされている。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

通関業法とその基本通達に照らすと、正しい記述は次の三つです。

・法人通関業者の役員や通関士は信用・品位を害する行為をしてはならない。

・資格を失った元通関士であっても名義を他人に使わせてはならない。

・料金表の様式と掲示場所は社会通念上妥当な方法なら各通関業者が自由に定めてよい。

これらはそれぞれ法第20条(信用失墜行為の禁止)、法第33条(名義貸し禁止)と基本通達33-1、法第18条および基本通達18-1に基づく義務です。

選択肢1. 法人である通関業者の役員及び通関士は、通関業者又は通関士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。

法第20条は、通関業者(法人の場合は役員を含む)と通関士に対し、社会的信用を損なう行為を禁じています。信用・品位保持は法律上の義務なので、この記述は正しいです。

選択肢2. 通関業務を行うに当たって依頼者の陳述又は文書等から知り得た事実で一般に知られていないものについては、知られないことにつき、依頼者又はその関係者に利益があると客観的に認められるかどうかを問わず、通関業法第19条(秘密を守る義務)に規定する「通関業務に関して知り得た秘密」に当たることとされている。

基本通達は「一般に知られておらずかつ知られないことが依頼者等の利益になるもの」を秘密と定義しています。利益要件を無視しているので誤りです。

選択肢3. 通関士であった者は、通関業法第32条第1号(通関士の資格の喪失)の規定に該当したことにより通関士でなくなった場合には、同法第22条第2項の規定による異動の届出の有無にかかわらず、通関士としての自己の名義を他人に通関業務のために使用させてはならない。

法第33条は、資格喪失者(異動届未提出者を含む)も名義貸しを禁止しています。

したがって正しいです。

選択肢4. 通関業法第32条第1号(通関士の資格の喪失)の規定に該当したことにより通関士でなくなった者であって、同法第22条第2項の規定による異動の届出のない者が、通関書類に通関士としての自己の記名をさせた場合には、その行為は同法第33条に規定する「その名義を他人に通関業務のために使用させる」ことには当たらないこととされている。

基本通達33-1は、このケースを名義貸しに該当する具体例として挙げています。

よって誤りです。

選択肢5. 通関業法第18条の規定により掲示する通関業務の料金表の様式及び掲示場所については、社会通念上妥当と考えられる方法により各通関業者が自由に定めることとして差し支えないこととされている。

法第18条は料金額の掲示義務を定め、基本通達18-1は形式・場所は各社の裁量で良いとしています。したがって正しいです。

まとめ

・信用保持、守秘義務、名義貸し禁止、料金の透明化は、通関業者・通関士に課せられる基本的なコンプライアンス項目です。

・守秘義務の判断では「依頼者にとって秘密である利益があるか」を忘れないこと、名義貸しでは資格喪失後でも禁止が続く点がよく問われます。

・料金表は自由度が高いものの、依頼者に見やすく分かりやすいことが前提です。

これらの条文・通達の趣旨を押さえておくと、試験でも実務でも迷いにくくなります。

参考になった数0