司法書士 過去問
令和5年度
問57 (午後の部 問22)
問題文
地上権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア A、B及びCが所有権の登記名義人である土地について、A及びBが、Cに対して、A及びBの持分に地上権を設定することを承諾した場合には、Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。
イ 地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記を申請する場合には、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者は、当該申請と同時に、単独で当該保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない。
ウ 区分地上権の設定の登記がされている土地の当該区分地上権を、竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる。
エ 乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「1番地上権A持分一部移転」である。
オ 強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる。
ア A、B及びCが所有権の登記名義人である土地について、A及びBが、Cに対して、A及びBの持分に地上権を設定することを承諾した場合には、Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。
イ 地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記を申請する場合には、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者は、当該申請と同時に、単独で当該保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない。
ウ 区分地上権の設定の登記がされている土地の当該区分地上権を、竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる。
エ 乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「1番地上権A持分一部移転」である。
オ 強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる。
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問題
司法書士試験 令和5年度 問57(午後の部 問22) (訂正依頼・報告はこちら)
地上権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア A、B及びCが所有権の登記名義人である土地について、A及びBが、Cに対して、A及びBの持分に地上権を設定することを承諾した場合には、Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。
イ 地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記を申請する場合には、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者は、当該申請と同時に、単独で当該保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない。
ウ 区分地上権の設定の登記がされている土地の当該区分地上権を、竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる。
エ 乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「1番地上権A持分一部移転」である。
オ 強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる。
ア A、B及びCが所有権の登記名義人である土地について、A及びBが、Cに対して、A及びBの持分に地上権を設定することを承諾した場合には、Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。
イ 地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記を申請する場合には、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者は、当該申請と同時に、単独で当該保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない。
ウ 区分地上権の設定の登記がされている土地の当該区分地上権を、竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる。
エ 乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「1番地上権A持分一部移転」である。
オ 強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (2件)
01
不動産登記法(地上権の登記)に関する問題です。地上権に関する論点は、毎年必ず出題されるというわけでありませんが、頻出分野に属しますので、しっかり学習する必要があります。
(ア)所有権の共有持分を対象として地上権の設定登記を行うことはできません。地上権の設定登記は、必ず、所有権の全部を対象として行う必要があります。従って、本肢は誤りです。
(イ)地上権の設定登記請求権を保全するために、所有権の処分禁止及び保全仮登記がされた場合に、仮処分の債権者が、当該地上権の設定仮登記に基づく本登記をするときでも、これと同時に単独で、当該保全仮登記に係る仮処分の登記に遅れる質権の設定登記の抹消登記をすることはできません。その理由は、不動産質権によって質権の目的である不動産を使用及び収益をすることができますが、その本質は担保権で、地上権と抵触することがないからです。従って、本肢は正しいです。
(ウ)区分地上権について、当事者の契約により地下又は空間の上下の範囲の定めを廃止して、これを普通地上権とし、その変更登記を申請できます。従って、本肢は正しいです。
(エ)乙区1番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部をさらに売却したときは、登記の目的を「1番地上権持分一部移転」と提供して、地上権A持分の一部の移転登記をすることができます。従って、本肢は正しいです。
(オ)法定地上権の登記は当事者の共同申請によります。裁判所の嘱託によって行われるわけではありません。従って、本肢は誤りです。
地上権は所有権持分を目的として登記できないことや、法定地上権の登記は当事者の共同申請によることは、大切な論点ですので、ここで覚えてしまいましょう。
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02
地上権については、民法265条~269条の2に規定されています。
記述式でも頻出の論点なので、基本をおさえましょう。
土地の一部のみを目的として地上権設定の登記をすることはできません。
よって、本肢は誤りです。
まず、不動産の使用又は収益をする権利(=地上権等)を保全するための仮処分の債権者は、同じく不動産の使用又は収益をする権利であって、保全仮登記に後れる登記を抹消することができます(民保58条4項)。
本肢において、質権の設定の登記は、不動産の使用又は収益を目的とするものではないので、仮処分の債権者はこれを抹消することができません。
(不動産質権者は不動産の使用収益ができますが、本質はあくまで担保権であり、使用収益ができなくてもそこまで困りません。)
よって、本肢は正しいです。
地上権を区分地上権に/区分地上権を地上権に変更することは可能です。
よって、本肢は正しいです。
なお、地上権は、工作物又は竹木を所有する目的で設定でき(民265)、
区分地上権は、工作物を所有する目的で設定できます(民269の2)。
地上権は所有権同様、共有することができ、その共有持分の一部を処分することもできます。
よって、本肢のような登記は可能なので、本肢は正しいです。
※ 不動産の持分のみに地上権を設定することはできないことと区別してください((ア)参照)。
法定地上権の設定の登記は、当事者の共同申請によります。
よって、本肢は誤りです。
なお、登記原因は「年月日法定地上権設定」であり、日付は「買受人からの代金納付日」です。
(ア)・(ウ)・(エ)を確実におさえつつ、
(オ)の「法定地上権は当事者の共同申請による」ことは暗記してしまいましょう。
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