司法書士 過去問
令和5年度
問56 (午後の部 問21)
問題文
敷地権付き区分建物又は所有権が敷地権である旨の登記がされている土地についての登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
なお、建物の区分所有等に関する法律第22条第1項ただし書の規約はないものとする。
ア 敷地権付き区分建物についての処分禁止の仮処分の登記は、当該敷地権が生じた後に当該仮処分がされた場合であっても、敷地権の目的である土地のみを目的とすることができる。
イ 敷地権付き区分建物について所有権の移転の登記を申請する場合において、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容としたときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積、敷地権の種類及び割合を申請情報の内容とすることを要しない。
ウ 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。
エ 抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が新築され、敷地権である旨の登記がされた後、当該抵当権の被担保債権と同一の債権を担保するために当該区分建物のみを目的として抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
オ 敷地権付き区分建物の建物のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする賃借権の設定の登記を申請することはできない。
(参考)
建物の区分所有等に関する法律
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2・3(略)
なお、建物の区分所有等に関する法律第22条第1項ただし書の規約はないものとする。
ア 敷地権付き区分建物についての処分禁止の仮処分の登記は、当該敷地権が生じた後に当該仮処分がされた場合であっても、敷地権の目的である土地のみを目的とすることができる。
イ 敷地権付き区分建物について所有権の移転の登記を申請する場合において、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容としたときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積、敷地権の種類及び割合を申請情報の内容とすることを要しない。
ウ 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。
エ 抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が新築され、敷地権である旨の登記がされた後、当該抵当権の被担保債権と同一の債権を担保するために当該区分建物のみを目的として抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
オ 敷地権付き区分建物の建物のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする賃借権の設定の登記を申請することはできない。
(参考)
建物の区分所有等に関する法律
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2・3(略)
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問題
司法書士試験 令和5年度 問56(午後の部 問21) (訂正依頼・報告はこちら)
敷地権付き区分建物又は所有権が敷地権である旨の登記がされている土地についての登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
なお、建物の区分所有等に関する法律第22条第1項ただし書の規約はないものとする。
ア 敷地権付き区分建物についての処分禁止の仮処分の登記は、当該敷地権が生じた後に当該仮処分がされた場合であっても、敷地権の目的である土地のみを目的とすることができる。
イ 敷地権付き区分建物について所有権の移転の登記を申請する場合において、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容としたときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積、敷地権の種類及び割合を申請情報の内容とすることを要しない。
ウ 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。
エ 抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が新築され、敷地権である旨の登記がされた後、当該抵当権の被担保債権と同一の債権を担保するために当該区分建物のみを目的として抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
オ 敷地権付き区分建物の建物のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする賃借権の設定の登記を申請することはできない。
(参考)
建物の区分所有等に関する法律
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2・3(略)
なお、建物の区分所有等に関する法律第22条第1項ただし書の規約はないものとする。
ア 敷地権付き区分建物についての処分禁止の仮処分の登記は、当該敷地権が生じた後に当該仮処分がされた場合であっても、敷地権の目的である土地のみを目的とすることができる。
イ 敷地権付き区分建物について所有権の移転の登記を申請する場合において、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容としたときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積、敷地権の種類及び割合を申請情報の内容とすることを要しない。
ウ 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。
エ 抵当権の設定の登記がされた土地を敷地権の目的として区分建物が新築され、敷地権である旨の登記がされた後、当該抵当権の被担保債権と同一の債権を担保するために当該区分建物のみを目的として抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
オ 敷地権付き区分建物の建物のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする賃借権の設定の登記を申請することはできない。
(参考)
建物の区分所有等に関する法律
第22条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2・3(略)
- アウ
- アエ
- イエ
- イオ
- ウオ
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この過去問の解説 (2件)
01
不動産登記法(区分建物の登記)に関する問題です。ほぼ毎年1問は出題されます。
(ア)敷地権付区分建物について敷地権が生じた後に、敷地権の目的である土地の権利について処分禁止の仮処分がなされた場合には、当該土地のみを目的として、処分禁止の登記の嘱託が可能です。土地のみについて処分禁止の登記を行うことは、敷地権付区分建物の分離処分禁止の原則違反にならないからです。従って、本肢は正しいです。
(イ)敷地権付区分建物について、所有権移転の登記を申請する場合に、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容とするときは、敷地権の目的となる土地の所有する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積を申請情報の内容とすることは不要です。しかしこの場合でも、敷地権の種類及び敷地権割合については、その提供を省略することはできません。従って、本肢は誤りです。
(ウ)区分地上権の設定日付が、区分建物について敷地権が生じた日の前か後かを問わず、敷地権の目的である土地のみについて、区分地上権の設定登記の申請ができます。区分地上権を土地又は建物の一方に設定しても、敷地権付区分建物の分離処分禁止の原則違反にならないからです。従って、本肢は誤りです。
(エ)敷地権の目的である土地が敷地権となる前に当該土地について抵当権の設定の登記がされている場合に、当該抵当権と同一の債権を担保するために、区分建物のみを目的とする抵当権の追加設定登記をすることができます。この登記により、土地と区分建物の双方について、同一の債権を担保する抵当権の設定登記がされることになり、敷地権付区分建物の分離処分禁止の原則からみて望ましい状態になるためです。従って、本肢は正しいです。
(オ)賃借権の設定日付が、区分建物について敷地権が生じた日の前か後かを問わず、賃借権は土地又は建物のみを目的として設定されます。区分建物のみを目的とする賃借権の効力は、敷地所有権には及びません。従って、本肢は誤りです。
区分建物に関する問題は、区分建物とその敷地権の分離処分禁止原則に関する論点が中心です。この論点をしっかり習得しておけば、司法書士試験のほとんどは組み合わせ問題なので、正解できると思います。
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02
敷地権付き区分建物、つまりマンションの一室に関する登記の問題です。
敷地権がついていると、建物と土地の一体処分が原則となります。
その原則を基礎に問題を解いていきましょう。
処分禁止の仮処分の登記は、「土地や建物の処分(売却や解体)を禁止する裁判所の保全命令」です。
この登記がされたからといって所有権の移転等の権利変動が起こるわけではないので、この登記は、敷地権付き区分建物の土地または建物のみを目的とすることができます。
よって、本肢は正しいです。
敷地権付き区分建物であっても、敷地権の目的となる土地の登記記録は個別に存在します。
よって、敷地権付き区分建物の登記を申請する際には、その敷地権の目的となる土地を特定する必要があるため、本肢は誤りです。
なお、この土地の登記記録には、登記の目的欄に「所有権敷地権」とあり、その他の事項欄にマンションの名称が記載されています。
地上権は民法265条により、土地を目的とする権利と定められています。
区分地上権は地上権の一種であるため、そもそも土地のみを目的としてしか登記することができません。
よって、本肢は誤りです。
暗記のポイント:地上権の設定の登記は、土地を目的とするものである。
同一債権の担保を目的とする抵当権を敷地権と区分建物の両方に設定することは、敷地権という制度の目的に適っています。
(追加設定しておいた方が、抵当権を実行した際に土地と建物を一括して処分しやすいですよね。)
よって、本肢は正しいです。
不動産の一部について、賃借権の設定の登記をすることはできません。
よって、敷地権(=土地の一部)を目的として賃借権の設定の登記をすることはできず、建物のみを目的として登記をすることになるので、本肢は誤りです。
このように、敷地権付き区分建物の問題は、「建物と土地を一体として処分できるか」を基準に考えてください。
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