司法書士 過去問
令和5年度
問58 (午後の部 問23)
問題文
抵当権の設定の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア AのBに対する金銭消費貸借契約に基づく債権と、CのBに対する保証委託契約に基づく債権を担保するために、A及びCを抵当権者、Bを債務者とする1個の抵当権の設定契約を締結した旨が記載された登記原因を証する情報を添付して、A及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記を一の申請情報によって申請することができる。
イ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが債権者Bとの間で抵当権の設定契約を締結し、利息について「利息 年3% ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更することができる」旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請することはできない。
ウ 株主総会の決議により解散した旨の登記がされているA株式会社を所有権の登記名義人とする甲土地について、A株式会社が清算中に、A株式会社がBとの間でBを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合には、その旨が記載された登記原因を証する情報を提供したとしても、当該抵当権の設定の登記を申請することはできない。
エ A及びBが、Bを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請する前に、甲土地に対しCを債権者とする強制競売による差押えの登記がされていたときであっても、当該抵当権の設定の登記を申請することができる。
オ Aを債権者とするX債権、Y債権及びZ債権の3個の債権を各別に担保するために、甲土地の所有権を目的として順位1番にX債権、順位2番にY債権、順位3番にZ債権を被担保債権とする3個の抵当権の設定の登記がされている場合には、Aは、乙土地に当該3個の債権を被担保債権とする1個の抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
ア AのBに対する金銭消費貸借契約に基づく債権と、CのBに対する保証委託契約に基づく債権を担保するために、A及びCを抵当権者、Bを債務者とする1個の抵当権の設定契約を締結した旨が記載された登記原因を証する情報を添付して、A及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記を一の申請情報によって申請することができる。
イ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが債権者Bとの間で抵当権の設定契約を締結し、利息について「利息 年3% ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更することができる」旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請することはできない。
ウ 株主総会の決議により解散した旨の登記がされているA株式会社を所有権の登記名義人とする甲土地について、A株式会社が清算中に、A株式会社がBとの間でBを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合には、その旨が記載された登記原因を証する情報を提供したとしても、当該抵当権の設定の登記を申請することはできない。
エ A及びBが、Bを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請する前に、甲土地に対しCを債権者とする強制競売による差押えの登記がされていたときであっても、当該抵当権の設定の登記を申請することができる。
オ Aを債権者とするX債権、Y債権及びZ債権の3個の債権を各別に担保するために、甲土地の所有権を目的として順位1番にX債権、順位2番にY債権、順位3番にZ債権を被担保債権とする3個の抵当権の設定の登記がされている場合には、Aは、乙土地に当該3個の債権を被担保債権とする1個の抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
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問題
司法書士試験 令和5年度 問58(午後の部 問23) (訂正依頼・報告はこちら)
抵当権の設定の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア AのBに対する金銭消費貸借契約に基づく債権と、CのBに対する保証委託契約に基づく債権を担保するために、A及びCを抵当権者、Bを債務者とする1個の抵当権の設定契約を締結した旨が記載された登記原因を証する情報を添付して、A及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記を一の申請情報によって申請することができる。
イ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが債権者Bとの間で抵当権の設定契約を締結し、利息について「利息 年3% ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更することができる」旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請することはできない。
ウ 株主総会の決議により解散した旨の登記がされているA株式会社を所有権の登記名義人とする甲土地について、A株式会社が清算中に、A株式会社がBとの間でBを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合には、その旨が記載された登記原因を証する情報を提供したとしても、当該抵当権の設定の登記を申請することはできない。
エ A及びBが、Bを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請する前に、甲土地に対しCを債権者とする強制競売による差押えの登記がされていたときであっても、当該抵当権の設定の登記を申請することができる。
オ Aを債権者とするX債権、Y債権及びZ債権の3個の債権を各別に担保するために、甲土地の所有権を目的として順位1番にX債権、順位2番にY債権、順位3番にZ債権を被担保債権とする3個の抵当権の設定の登記がされている場合には、Aは、乙土地に当該3個の債権を被担保債権とする1個の抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
ア AのBに対する金銭消費貸借契約に基づく債権と、CのBに対する保証委託契約に基づく債権を担保するために、A及びCを抵当権者、Bを債務者とする1個の抵当権の設定契約を締結した旨が記載された登記原因を証する情報を添付して、A及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記を一の申請情報によって申請することができる。
イ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが債権者Bとの間で抵当権の設定契約を締結し、利息について「利息 年3% ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更することができる」旨を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記を申請することはできない。
ウ 株主総会の決議により解散した旨の登記がされているA株式会社を所有権の登記名義人とする甲土地について、A株式会社が清算中に、A株式会社がBとの間でBを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合には、その旨が記載された登記原因を証する情報を提供したとしても、当該抵当権の設定の登記を申請することはできない。
エ A及びBが、Bを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aを抵当権者とする抵当権の設定契約を締結した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請する前に、甲土地に対しCを債権者とする強制競売による差押えの登記がされていたときであっても、当該抵当権の設定の登記を申請することができる。
オ Aを債権者とするX債権、Y債権及びZ債権の3個の債権を各別に担保するために、甲土地の所有権を目的として順位1番にX債権、順位2番にY債権、順位3番にZ債権を被担保債権とする3個の抵当権の設定の登記がされている場合には、Aは、乙土地に当該3個の債権を被担保債権とする1個の抵当権の追加設定の登記を申請することができる。
- アウ
- アオ
- イエ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (2件)
01
不動産登記法(抵当権の設定の登記)に関する問題です。不動産登記法に関する論点の中で、根抵当権や抵当権に関するものは、大変重要です。しっかり学習しておく必要があります。
(ア)AのBに対する金銭消費貸借契約に基づく債権と、CのBに対する保証委託契約に基づく債権のように、数人の債権者が格別に有する債権を合わせて担保するため、1個の抵当権を設定することはできません。このような抵当権は、自己が有していない債権の部分についても抵当権を取得することになるので、抵当権の付従性の原則に反するからです。従って、本肢は誤りです。
(イ)抵当権の利息に関する定めは、具体的かつ明白なものでなくてはなりません。従って、「利息3%、ただし、将来金融情勢において債権者において利息を適宜変更することができる」旨の定めは、具体的かつ明白なものではないので、登記できません。従って、本肢は正しいです。
(ウ)清算する株式会社は、清算の目的の範囲内で清算が結了するまで存続し、また、抵当権を設定することができるとされています。従って、本肢は誤りです。
(エ)甲土地について、Cを債権者とする強制競売による差押えの登記がされている場合でも、Aを登記権利者、Bを登記義務者として、抵当権の設定登記ができます。ただし、甲土地が競売されたときは、Aは競売により甲土地所有権を取得した者に対して、抵当権を対抗できません。従って、本肢は正しいです。
(オ)同一の債権者の有する数個の債権を合わせて担保するために、1個の抵当権を設定することができます。従って、本肢は正しいです。
(ア)は、債権者の異なる複数の債権を担保するために1個の抵当権を設定できない論点で、(オ)は同一人に属する複数の債権を担保するために1個の抵当権を設定できる論点です。
似て非なる間違いやすい問題でした。
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02
抵当権の設定登記に関する問題です。
基本的な問題なので、必ず正解できるようにしましょう。
複数の債権者がそれぞれもっている複数の債権を一括して担保するために、一つの抵当権を設定することはできません(昭和35年12月27日民甲3280局長通達)。
(抵当権を実行したときに、誰にいくら配分されるのかがわかりにくいためです。)
よって、本肢は誤りです。
なお、「同一の債権者が有する複数の債権」や「複数人が準共有する一つの債権」について、一つの抵当権を設定して登記申請を行うことは可能です。
「ただし、将来の金融情勢に応じ債権者において利率を適宜変更することができる」というような不明確な定めは登記することができません。
よって、本肢は正しいです。
清算中の株式会社は、清算結了まで法人として存続するものとみなされ、債務の弁済や財産の処分等の、清算結了のために必要な業務をすることができます(会社法476、501等)。
そして清算中の株式会社は、清算のために必要な範囲で資金の借入れもすることができるため、所有する不動産を担保として提供することも可能です。
よって、清算中の株式会社であっても抵当権の設定者となることができるので、本肢は誤りです。
登記の先後は対抗要件の問題であり、先に第三者による差押えの登記がされたとしても、抵当権の設定登記をすることは可能です。
よって、本肢は正しいです。
本肢のケースは、(ア)で触れた「同一の債権者が有する複数の債権」について一つの抵当権を設定するケースです。
よって、このような登記は可能ですので、本肢は正しいです。
(ア)と(オ)で問題となった以下のポイントは正確に覚えましょう。
・ 同一の債権者が有する複数の債権を、一つの抵当権で担保する。
・ 複数人が準共有する債権を、一つの抵当権で担保する。
→ できる
・ 複数の債権者がそれぞれもっている複数の債権を、一つの抵当権で一括して担保する。
→ できない
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