大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問38 (日本史B(第1問) 問5)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問38(日本史B(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章Bは、「日本社会における戦士の歴史」をテーマに自由研究を進めていた高校生のかずこさんとたけしさんとの会話である。この文章を読み、後の問いに答えよ。

B
かずこ:ところで、その後に続く江戸時代は泰平の時代と言われて、戦うことを本業とする武士って、本当は社会に必要とされていなかったんじゃない?
たけし:そのことは江戸時代の武士たちも意識していたようだよ。先生から教えてもらったんだけど、岡山藩主の池田光政は、家臣である岡山藩士の武士たちにむけて、「私のような大名は、人民を将軍様からお預かりしているのだから、おまえたちは主君である私を補佐して、人民が安心して暮らせるようにすべきなのだ」と説いたんだって。
かずこ:なるほど。江戸時代の武士は単に戦う「兵」ではなくて、中国や朝鮮の「士大夫」と同じように、c ある程度は学問を身につけて政治のことを考える「士」にならないといけないってことだね。
たけし:そうそう、「士」と「兵」との違いって意外に大事だよ。d 明治になると、武士という存在は不要とされていくよね。ただ近世でも近代でも、軍隊の末端には、実態として多くは農民が動員されていたわけで、「兵と農」よりも「士と兵」との違いがどう生み出されたかが大事だという指摘もあるよ。
かずこ:陸軍や海軍の士官というのはエリートで、兵卒とは区別されていたようだから、「士」の「兵」に対する優越感は、近代になっても簡単には解消されなかったみたいだね。

下線部dに関連して、武士身分を廃止した影響について述べた次の文X・Yと、それに該当する語句a~dとの組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

X  農民も政府によって動員され、戦死する可能性を高めた。
Y  不平士族の不満が解消されることも期待して主張された。

a  殖産興業
b  四民平等
c  脱亜論
d  征韓論
  • X ― a  Y ― c
  • X ― a  Y ― d
  • X ― b  Y ― c
  • X ― b  Y ― d

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

【内容の整理】

農民も政府によって動員され、戦死する可能性を高めた。

→ これは「四民平等」(武士・農民・町人などの身分差を廃止)によって、農民も徴兵令により兵士として動員されるようになった影響について言っています。

 

不平士族の不満が解消されることも期待して主張された。

→ 不平士族は「自分たちを活かす場がない」と不満を持っていました。そこで、対外出兵(戦争)によって活躍の場を与えようとする動きが出てきました。
この代表が「征韓論」(1873年ごろ、朝鮮出兵を主張)です。

選択肢1. X ― a  Y ― c

殖産興業や脱亜論はこの文脈には合わないので、誤りです。

選択肢2. X ― a  Y ― d

四民平等に関する内容なので、誤りです。

選択肢3. X ― b  Y ― c

脱亜論ではなく征韓論なので、誤りです。

選択肢4. X ― b  Y ― d

正しい組み合わせです。【正解】

まとめ

明治政府は四民平等を掲げ、武士・農民・町人の身分制を廃止しました。
これにより農民も徴兵対象となり、兵士として戦場に動員されることになりました。
また、士族の不満を抑えるため、朝鮮出兵(征韓論)を主張する動きも生まれました。

参考になった数0