貸金業務取扱主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問30 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問3)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和4年度(2022年) 問30(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

質権及び抵当権に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。
  • 動産を目的とする質権の設定は、債権者に当該動産を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
  • 質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、質物について、転質をすることができない。
  • 抵当権は、その担保する債権について不履行があったとしても、抵当不動産の果実に及ばない。
  • 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その全額についてその抵当権を行使することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

下記の通りです。

選択肢1. 動産を目的とする質権の設定は、債権者に当該動産を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

質権の設定には「当事者の合意」と「債権者への目的物の引き渡し」が必要です。

選択肢2. 質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、質物について、転質をすることができない。

質権者は質権設定者の承諾を得なくとも自己の責任で転質をするこは可能です。但し、質権者は不可抗力によるものであってもその責任を負います。

選択肢3. 抵当権は、その担保する債権について不履行があったとしても、抵当不動産の果実に及ばない。

不履行があった場合はその後に生じた抵当不動産の果実にも抵当権の効力は及びます。

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02

質権及び抵当権について、基本的事項を理解しましょう。

選択肢1. 動産を目的とする質権の設定は、債権者に当該動産を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

適切です。

 

質権は、目的物を債権者に引き渡すことで効力が発生します(民法344条)。

選択肢2. 質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、質物について、転質をすることができない。

適切ではありません。

 

質権者は、質権の存続期間中、自らの責任で質物を転質することが可能です。その際、質権設定者の承諾を得る必要はありません(民法348条)。

選択肢3. 抵当権は、その担保する債権について不履行があったとしても、抵当不動産の果実に及ばない。

適切ではありません。

 

抵当権は、担保している債権が履行されなかった場合、抵当不動産から生じた果実にも効力を及ぼします(民法371条)。

選択肢4. 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その全額についてその抵当権を行使することができる。

適切ではありません。

 

抵当権者が利息や定期金を請求する権利を持っている場合、抵当権を行使できるのは、期限が到来した最後の2年分のみです。したがって、「その全額について抵当権を行使できる」としている記述は誤りです(民法375条1項)。

まとめ

質権と抵当権は、どちらも債権の担保となる権利ですが、その設定方法や効力に違いがあります。質権は動産に設定され、引き渡しによって効力が生じるのに対し、抵当権は不動産に設定され、登記によって効力が生じます。

参考になった数1

03

この問題は、「質権」や「抵当権」といった担保物権について、民法でどのように規定されているかを問うものです。

担保物権とは、お金を貸したときに返してもらえなかった場合に備えて、物や権利を預かったり、それに対して権利を設定したりする制度です。

選択肢1. 動産を目的とする質権の設定は、債権者に当該動産を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

正しいです。
質権のうち「動産質」の場合、効力を発生させるためには実際にその物を債権者(質権者)に引き渡す必要があります(民法第343条)。

引き渡すことで、第三者に対して「自分がその物を担保として持っている」という効力が認められる仕組みです。

選択肢2. 質権者は、質権設定者の承諾を得なければ、質物について、転質をすることができない。

誤りです。
質権者は、質権設定者の承諾がなくても転質ができます(民法第351条)。

転質とは、質権者が自分の持っている質物をさらに他の人に担保として提供することです。

選択肢3. 抵当権は、その担保する債権について不履行があったとしても、抵当不動産の果実に及ばない。

誤りです。
抵当権は、不履行があった場合には抵当不動産から生じる果実(たとえば賃料など)にも及びます(民法第372条)。

ただし、登記があれば第三者にも対抗できます。

選択肢4. 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その全額についてその抵当権を行使することができる。

誤りです。
抵当権者が利息などの定期金を請求できる場合でも、抵当権でカバーできるのは極度額の範囲内に限られます(民法第398条の19)。

全額について無制限に抵当権を使えるわけではありません。

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