管理栄養士 過去問
第39回
問134 (午後の部 問37)

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問題

管理栄養士試験 第39回 問134(午後の部 問37) (訂正依頼・報告はこちら)

イレウスにより空腸の一部、回腸全体および回盲弁を切除し、空腸と結腸を吻合した。残存小腸は約100cmであった。この患者の病態の経過および栄養管理に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 第Ⅰ期(術直後期)には、腸蠕動運動の亢進後に腸管麻痺が起こる。
  • 第Ⅰ期(術直後期)には、経腸栄養法とする。
  • 第Ⅱ期(回復適応期)には、下痢の回数が増加する。
  • 第Ⅱ期(回復適応期)には、経口摂取を禁忌とする。
  • 第Ⅲ期(安定期)には、ビタミンB12を注射により補給する。

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この過去問の解説 (1件)

01

短腸症候群の栄養管理に関する問題です。

明確な区分けはありませんが、小腸のうち口側約2/5を空腸、肛門側約3/5を回腸といいます。この設問の患者は、「空腸の一部及び回腸・回盲弁の切除にて残存小腸100cm」とあります。残存小腸が100cm以下では水分や栄養素の吸収障害を起こす例が多く、特に水・電解質の喪失が著明な際は生涯にわたりTPNが必要となる場合があります

 

病期は3段階に分かれ、その病期によった栄養管理が必要となります。

第Ⅰ期(術直後期)・・・術後〜約4週間

第Ⅱ期(回復適応期)・・・術後数ヶ月〜12ヶ月

第Ⅲ期(安定期)・・・第Ⅱ期以降数年

 

栄養素と、その吸収部位も覚えておくとよいでしょう。

選択肢1. 第Ⅰ期(術直後期)には、腸蠕動運動の亢進後に腸管麻痺が起こる。

不正解です。

第Ⅰ期においては、腸管麻痺に続いて腸蠕動運動の亢進が起こります。

選択肢2. 第Ⅰ期(術直後期)には、経腸栄養法とする。

不正解です。

第Ⅰ期では中心静脈栄養(TPN)が選択されます。

選択肢3. 第Ⅱ期(回復適応期)には、下痢の回数が増加する。

不正解です。

第Ⅰ期では水様下痢が頻回となりますが、第Ⅱ期には下痢の回数が減少傾向となります。

選択肢4. 第Ⅱ期(回復適応期)には、経口摂取を禁忌とする。

不正解です。

第Ⅱ期では、残存小腸の長さに応じた栄養投与方法の選択となります。設問の約100cmの場合は、病状に応じて普通食の経口摂取が可能となります。

選択肢5. 第Ⅲ期(安定期)には、ビタミンB12を注射により補給する。

正解です。

第Ⅲ期には、残存腸管の代替機能がほぼ完成します。そのため普通食へ移行できる例も増えますが、ビタミンは主に小腸で吸収されるため、定期的な検査と補給が必要となります。

ビタミンB12は主に回腸末端で吸収されるビタミンであるため、回腸全体+回盲弁切除の本症例では吸収能は期待できず、注射による補給が必要です。

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