2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2025年1月
問28 (学科 問28)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2025年1月 問28(学科 問28) (訂正依頼・報告はこちら)

ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • ポートフォリオのリスクとは、一般に、組成されたポートフォリオの損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率からのばらつきの度合いをいう。
  • ポートフォリオのリスクのうち、分散投資によって消去可能なリスクをシステマティック・リスクという。
  • ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。
  • ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、ポートフォリオ理論における基本概念を問う問題です。
リスクとリターンの考え方、リスクの性質および期待収益率の計算方法についての基本理解が問われています。

選択肢1. ポートフォリオのリスクとは、一般に、組成されたポートフォリオの損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率からのばらつきの度合いをいう。

適切(正解)

ポートフォリオ理論における「リスク」とは、単なる「損失」ではなく、期待収益率に対する実際の収益率のばらつき(=変動性)を指します。
このばらつきの尺度には、標準偏差や分散が用いられます。

選択肢2. ポートフォリオのリスクのうち、分散投資によって消去可能なリスクをシステマティック・リスクという。

不適切

分散投資によって消去できるリスクは、非システマティック・リスク(固有リスク)といいます。

一方、システマティック・リスクとは、市場全体に影響するリスク(例:金利変動、景気後退など)であり、分散投資しても消すことができません。

選択肢3. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。

不適切

通常、ポートフォリオを組むとリスクは単純な加重平均よりも小さくなります。
なぜなら、異なる資産の間の相関が低い場合、リスク同士が打ち消し合う効果(リスク低減効果)が働くからです。

選択肢4. ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。

不適切

ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で単純に加重平均したものです。
加重平均より大きくなることはありません。

まとめ

この問題では、ポートフォリオ理論の基本を正確に理解しておくことがポイントです。

初心者は「リスク=損失額」ではなく、「ばらつき」であることを理解することが大切です。

また、システマティック・リスクと非システマティック・リスクの違いは、試験で非常によく問われるテーマなので、しっかり整理して覚えましょう。

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02

金融資産運用分野のポートフォリオ理論に関する問題です。

ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせのことをいいます。

また、色々な金融資産を組み合わせて、リスクを抑えた資産運用を行うことを「ポートフォリオ運用」といいます。

選択肢1. ポートフォリオのリスクとは、一般に、組成されたポートフォリオの損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率からのばらつきの度合いをいう。

適切

ポートフォリオのリスクとは、不確実性のことです。投資におけるリスクは「損失」だけでなく、「利益」も含みます。つまり、損することもあれば、得することもある―その不確実性の度合いがリスクです。

リスクが大きいということは振れ幅が大きいということになり、期待収益率と実際の収益のばらつきも大きくなります。

選択肢2. ポートフォリオのリスクのうち、分散投資によって消去可能なリスクをシステマティック・リスクという。

不適切

投資の分散等を行っても消去できないリスクを「システマティックリスクといいます。例えば、気候や天災による影響や政治的要因などの影響によるリスクを指します。ちなみに、分散投資により小さくできるリスクを「アンシステマティックリスクといいます。

選択肢3. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。

不適切

ポートフォリオは、異なった価格変動をする資産や銘柄を組み込むことよりリスクを抑える効果ポートフォリオ効果)があります。この異なった動きをするか、同じ動きするかという値動きの関係を示す数値を「相関係数」といいます。同じ動きをする(相関係数が1である)組み合わせでない限り、ポートフォリオのリスクは組入比率で加重平均した値よりも小さくなります。

選択肢4. ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値よりも大きくなる。

不適切

ポートフォリオの期待収益率とは、そのポートフォリオで運用することにより期待する収益率のことです。この期待収益率の求め方は、ボートフォリオへの組入比率で加重平均したとなります。よって、「加重平均した値より大きくなる」としている本選択肢は間違いです。ちなみに、加重平均とは、単純な平均ではなく、他の要素(本選択肢の場合は組入比率)も考慮した平均のことです。

まとめ

ポートフォリオの問題は、必ずといっていい程出題されます。

相関係数と期待収益率について、例を用いて更に解説を追加したいと思います。

例えば、100万円を「A投資信託」60万円、「B上場ETF」40万円投資したとします。

 

<相関係数>

A投資信託とB上場ETFの相関係数が0だった場合、お互いの値動きは無関係となりますが、分散投資の効果は生じます。仮に-1だった場合は、全く逆の値動きをする関係であり、分散投資によるリスク低減効果は大きくなります。

 

<期待収益率>

A投資信託の期待収益率が5%、B上場ETFの期待収益率が3%の場合

投資割合を考慮して、加重平均で計算します。

 

A投資信託→組込比率(投資割合)×期待収益率=60%×5%=3%

B上場ETF→組込比率(投資割合)×期待収益率=40%×3%=1.2%

 

3%+1.2%=4.2%が期待収益率となります。

 

投資額(割合)を変えてみたらどうでしょう。「A投資信託」80万円、「B上場ETF」20万円とした場合

 

A投資信託→組込比率(投資割合)×期待収益率=80%×5%=4%

B上場ETF→組込比率(投資割合)×期待収益率=20%×3%=0.6%

 

4%+0.6%=4.6%が期待収益率となります。

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