中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問222 (中小企業経営・中小企業政策 問23(1))

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問222(中小企業経営・中小企業政策 問23(1)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

中小企業診断士のX氏は、「下請取引の適正化を図りたい」と考える中小企業者に向けたセミナーを依頼された。X氏は、セミナーの中で、「下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)」について、説明を行うこととした。
以下は、この法律の適用範囲に関わるX氏の受講者に対する説明である。

X氏 :「下請代金法は、親事業者が下請事業者に物品の製造・修理、情報成果物の作成、または、役務の提供を委託したときに適用されます。情報成果物とは、ソフトウェアなどで、役務とは、運送、情報処理、ビルメンテナンスなどです。『物品の製造・修理委託および政令で定める情報成果物作成・役務提供委託』の取引については、次の2つのパターンが適用対象になります。1つが、資本金3億円超の法人が、資本金3億円以下の法人または個人に委託する場合です。もう1つが、( A )が、( B )に委託する場合です。『政令で定めたものを除く情報成果物作成・役務提供委託』の取引については、次の2つのパターンが適用対象になります。1つが、資本金5,000万円超の法人が、資本金5,000万円以下の法人または個人に委託する場合です。もう1つが、( C )が、( D )に委託する場合です。」
受講者:「ちょっと複雑な感じがします。」
X氏 :「そうかもしれませんね。親事業者と下請事業者との関係を図示してみると、分かりやすくなると思いますよ。」

会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人
  • A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人
  • A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人
  • A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、「下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)」における適用範囲について問うものです。

 

 

下請代金法は、親事業者と下請事業者の間の力関係によって、下請けに不利な取引が起きないように守るためのものです。

委託内容によって次の2つの分類があります。

1. 物品の製造・修理政令で定める情報成果物の作成・役務の提供に関する取引

2. 政令で定めない情報成果物の作成・役務の提供に関する取引

 

 

問題文の空欄AとBは、上記の1の分類にあたる「政令で定める」取引に関する適用範囲を聞いています。
この場合の適用範囲は、以下のようになります。

・資本金3億円超の法人が、資本金3億円以下の法人または個人に委託する場合

・資本金1,000万円超3億円以下の法人が、資本金1,000万円以下の法人または個人に委託する場合

 

 

つまり、空欄AとBに当てはまるのは以下のとおりです。

A:資本金1,000万円超3億円以下の法人

B:資本金1,000万円以下の法人または個人

選択肢1. A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人

正しいです。

選択肢2. A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人

誤りです。

選択肢3. A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人

誤りです。

選択肢4. A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人

誤りです。

まとめ

下請代金法では、委託する側とされる側の資本金の差に応じて、保護の対象となる範囲が決められています。

 

1. 物品の製造・修理政令で定める情報成果物の作成・役務の提供に関する取引

親事業者の資本金    下請事業者の資本金  対象となるか
3億円超      3億円以下または個人事業者
1,000万円超〜3億円以下1,000万円以下または個人事業者

 

2. 政令で定めない情報成果物の作成・役務の提供に関する取引

親事業者の資本金    下請事業者の資本金  対象となるか
5,000万円超    5,000万円以下または個人事業者
1,000万円超〜5,000万円以下1,000万円以下または個人事業者

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02

下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)からの出題です。

 

本問は、下請代金法の適用範囲となる親事業者(委託者)と子事業者(受託者)の組み合わせを問う問題であり、過去問題で何度も出題されている論点です。

 

平易な内容であり、確実に正答することが求められます。

 

親事業者が子事業者に物品の製造・修理、情報成果物の作成または役務の提供を委託した場合に、下請代金法の適用範囲となる親事業者(委託者)と子事業者(受託者)の組み合わせは、以下の2通りです。

 

・親事業者(委託者)の資本金が資本金3億円超ー子事業者(受託者)の資本金が資本金3億円以下または個人

 

・親事業者(委託者)の資本金が1,000万円超3億円以下(空欄A)ー子事業者(受託者)の資本金が1,000万円以下または個人(空欄B)

選択肢1. A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人

冒頭の解説より、「A:資本金1,000万円超3億円以下の法人、B:資本金1,000万円以下の法人または個人」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢2. A:資本金1,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人

冒頭の解説より、「A:資本金1,000万円超3億円以下の法人、B:資本金1,000万円以下の法人または個人」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金1,000万円以下の法人または個人

冒頭の解説より、「A:資本金1,000万円超3億円以下の法人、B:資本金1,000万円以下の法人または個人」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. A:資本金3,000万円超3億円以下の法人  B:資本金3,000万円以下の法人または個人

冒頭の解説より、「A:資本金1,000万円超3億円以下の法人、B:資本金1,000万円以下の法人または個人」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

2025年1月に、「下請」という法律上の名称を見直すことが報じられました。親事業者は「委託事業者」、下請事業者は「中小受託事業者」に改められる方針です。

 

今後、名称変更が本試験で問われるかどうかは不明ですが、「下請」という用語は上下関係を想起させるため、実務上、意識して用いない中小企業診断士も多くいます。

 

 

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