中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問215 (中小企業経営・中小企業政策 問20(2))
問題文
下請中小企業振興法の「( )」とは、同法第3条に基づく大臣告示であり、同法第4条に基づく「指導・助言」の根拠となるとともに、業種別ガイドライン、自主行動計画、パートナーシップ構築宣言のひな形の策定に参照されるものである。
この「( )」は、「取引適正化に向けた5つの取組」(令和4年2月10日公表)、「転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日閣議了解)などで決定した取引適正化に向けた取組方針を裏付け・下支えし、産業界に提示するため、2022年度に全面的に改定された。
文中の下線部の全面的改定による主な新規追加事項に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問215(中小企業経営・中小企業政策 問20(2)) (訂正依頼・報告はこちら)
下請中小企業振興法の「( )」とは、同法第3条に基づく大臣告示であり、同法第4条に基づく「指導・助言」の根拠となるとともに、業種別ガイドライン、自主行動計画、パートナーシップ構築宣言のひな形の策定に参照されるものである。
この「( )」は、「取引適正化に向けた5つの取組」(令和4年2月10日公表)、「転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日閣議了解)などで決定した取引適正化に向けた取組方針を裏付け・下支えし、産業界に提示するため、2022年度に全面的に改定された。
文中の下線部の全面的改定による主な新規追加事項に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 下請代金は、物品などの受領日から起算して90日以内において定める支払期日までに支払うこと。
- できる限り、掛け取引を利用せず、現金払いを行うこと。
- パートナーシップ構築宣言を行い、定期的に見直すこと。また、社内担当者や取引先に宣言を浸透させること。
- 毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉え、少なくとも年に2回以上の価格協議を行うこと。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題では、下請中小企業振興法の「振興基準」が2022年度に改定された際に新しく追加された主な項目がどれかを問われています。
文中の「( )」には「振興基準」が入ります。
この「振興基準」は、親事業者と下請事業者との適正な取引を確保するための行動指針です。
2022年度に全面的に見直され、価格転嫁や取引の透明性などに関する新たな内容が追加されました。
【不適切】
これは下請代金支払遅延等防止法(下請法)にもとづく従来からのルールです。新規追加事項ではありません。
【不適切】
振興基準では、支払方法に関して現金払いや銀行振込など、迅速で確実な方法を取ることが求められていますが、「掛け取引を避けて現金払いにする」ことが義務のように明記されているわけではありません。
【適切】
これは2022年度改定時に新しく追加された内容です。
パートナーシップ構築宣言を単なる表明で終わらせず、実際の運用・定着を求める内容が明記されました。
【不適切】
価格交渉促進月間の活用は推奨されていますが、「年2回以上の価格協議」までは義務的に記載されていません。
2022年度の振興基準の改定では、「パートナーシップ構築宣言」の見直しと浸透の取組が新しく追加されました。これは、単に宣言するだけでなく、企業の内部や取引先にも広げて実効性のある行動にしていくことを目的としています。
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02
下請中小企業振興法の「振興基準」の新規追加事項に関する問題です。
下請中小企業振興法そのものが令和時代になってから初めての出題となり、直近5年間の過去問題には含まれていないため、改正内容まで対策することは難しいと思われます。
本問で問われている、「振興基準」の2022年度改訂内容は以下のとおりです。
経済産業省「下請中小企業振興法「振興基準」改定(2022年度)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sokeizai_fairtrade/pdf/2022_001_s03_00.pdf
1)価格交渉・価格転嫁
・毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉え、少なくとも年に1回以上の価格協議を行うこと
・労務費、原材料費、エネルギー価格等が上昇した下請事業者からの申出があった場合、遅滞なく協議を行うこと
・下請事業者における賃金の引上げが可能となるよう、十分に協議して取引対価を決定すること
2)支払方法・約束手形
・下請代金は、物品等の受領日から起算して60日以内において定める支払期日までに支払うこと
・令和8(2026)年の約束手形の利用廃止に向け、できる限り、約束手形を利用せず、また現金払いを行うこと
3)パートナーシップ構築宣言
・パートナーシップ構築宣言を行い、定期的に見直すこと。また、社内担当者・取引先に宣言を浸透させること
4)知財取引・その他
・下請事業者の秘密情報(ノウハウ含む)の提供や開示を強要しないこと
・下請事業者の直接的な利益に十分に配慮した協議や書面等での合意を行わずに、協賛金、協力金等を要請しないこと
・取引上の交渉の際に、威圧的な言動による交渉を行わないこと
冒頭の解説2)支払方法・約束手形より、「下請代金は、物品などの受領日から起算して60日以内において定める支払期日までに支払うこと」とあるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説2)支払方法・約束手形より、「できる限り、約束手形を利用せず、現金払いを行うこと」とあるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説3)パートナーシップ構築宣言より、「パートナーシップ構築宣言を行い、定期的に見直すこと。また、社内担当者や取引先に宣言を浸透させること」とあるため正解の選択肢となります。
冒頭の解説1)価格交渉・価格転嫁より、「毎年9月及び3月の「価格交渉促進月間」の機会を捉え、少なくとも年に1回以上の価格協議を行うこと」とあるため不適切な選択肢です。
【補足】
「振興基準」は、2024年に再度改訂されています。詳細は以下のURLをご参照ください。
経済産業省「下請中小企業振興法に基づく「振興基準」を改正しました」https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241101001/20241101001.html
2025年の一次試験では、2024年の改訂内容が問われる可能性があります。本問の復習と併せて予習しておくことが望ましいと考えられます。
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