中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問202 (中小企業経営・中小企業政策 問13)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問202(中小企業経営・中小企業政策 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

(株)東京商工リサーチ「令和4年度取引条件改善状況調査」に基づき、製造業における直近1年のエネルギー価格、原材料価格および労務費の変動に対する価格転嫁の状況(受注側事業者)について見た場合の記述として、最も適切なものはどれか。なお、アンケート調査は、2022年10~11月にかけて、全国90,000社(うち発注側事業者10,000社、受注側事業者80,000社)の企業を対象に実施(有効回答22,756件(うち発注側事業者3,026件、受注側事業者19,730件)、回収率25.3%(うち発注側事業者30.3%、受注側事業者24.7%))されたものである。
また、価格転嫁の状況について、「反映された」とは、「おおむね反映された」と「一部反映された」との回答割合の合計とし、「反映されなかった」とは、「あまり反映されなかった」と「反映されなかった」との回答割合の合計とする。
  • エネルギー価格および原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。
  • エネルギー価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。
  • 原材料価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。
  • 原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、東京商工リサーチの「令和4年度取引条件改善状況調査」に基づき、製造業における価格転嫁の状況について問うものです。具体的には、エネルギー価格、原材料価格、労務費という3つのコスト要素について、受注側事業者がコスト上昇分を販売価格に反映できているかどうかを把握する必要があります。中小企業白書2023でも取り上げられた重要なテーマであり、近年の原材料高騰や人手不足の中で、中小企業がどのように対応しているかを示す重要なデータです。

選択肢1. エネルギー価格および原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

この選択肢は誤りです。中小企業白書2023によると、エネルギー価格については「反映された」が約39.9%で「反映されなかった」が約60.1%となっており、確かに「反映されなかった」の方が上回っています。しかし、原材料価格については「反映された」が約69.0%で「反映されなかった」が約31.0%となっており、「反映された」の方が大きく上回っています。よって、原材料価格については記述が事実と異なります。

選択肢2. エネルギー価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

この選択肢は正しいです。中小企業白書2023によると、エネルギー価格については「反映された」が約39.9%で「反映されなかった」が約60.1%、また労務費については「反映された」が約41.5%で「反映されなかった」が約58.5%となっています。したがって、エネルギー価格と労務費の両方において、「反映されなかった」とする回答割合が「反映された」とする回答割合を上回っているという記述は適切です。

選択肢3. 原材料価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

この選択肢は誤りです。労務費については「反映されなかった」が「反映された」を上回っていますが、原材料価格については「反映された」が約69.0%で「反映されなかった」が約31.0%となっており、「反映された」の方が大きく上回っています。よって、原材料価格については記述が事実と異なります。

選択肢4. 原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

この選択肢は誤りです。原材料価格については「反映された」が約69.0%で「反映されなかった」が約31.0%となっており、「反映された」の方が大きく上回っています。選択肢の記述は事実と正反対の内容になっています。

まとめ

本問の正解は選択肢2です。この結果から、製造業においては原材料価格の上昇分については比較的価格転嫁がしやすい一方で、エネルギー価格や労務費の上昇分については価格転嫁が難しい状況にあることがわかります。特に労務費については人材獲得競争が激化する中で上昇傾向にあるにもかかわらず、価格転嫁が難しい状況が続いており、中小企業の収益性に影響を与えている可能性があります。中小企業診断士としては、このような経営環境を踏まえた上で、適切な経営支援を行うことが求められます。

 

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02

(株)東京商工リサーチ「令和4年度取引条件改善状況調査」から、製造業における直近1年のエネルギー価格、原材料価格および労務費の変動に対する価格転嫁の状況(受注側事業者)を問う問題です。

 

本問の出所は、中小企業白書2023 第2部-第3章-第1節の1「企業間取引の動向」④コストの変動に対する価格転嫁の状況から、第2-3-6図「直近1 年の各コストの変動に対する価格転嫁の状況」(Ⅱ-232ページ)となっています。

 

製造業におけるエネルギー価格、原材料価格および労務費の価格転嫁の状況が、それぞれ「反映された」(おおむね反映された+一部反映された)回答割合は以下のとおりとなります。

 

・エネルギー価格:反映された39.9%(おおむね12.0%+一部27.9%)

 

・原材料価格:反映された69.0%(おおむね27.9%+一部41.1%)

 

・労務費:反映された41.5%(おおむね12.8%+一部28.7%)

 

以上から、原材料価格については「反映された」が「反映されなかった」を上回り、エネルギー価格と労務費については「反映されなかった」が「反映された」を上回っています。

 

本問では、複数回答ではなく合計が100%となるため「反映されなかった」(あまり反映されなかった+反映されなかった)の回答割合を割愛していることをご了承ください。

選択肢1. エネルギー価格および原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

冒頭の解説より、エネルギー価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っているため不適切な選択肢です。

選択肢2. エネルギー価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

冒頭の解説より、正解の選択肢となります。

選択肢3. 原材料価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

冒頭の解説より、エネルギー価格および労務費については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っているため不適切な選択肢です。

選択肢4. 原材料価格については、「反映されなかった」とする回答割合が、「反映された」とする回答割合を上回っている。

原材料価格については、「反映された」とする回答割合が「反映されなかった」とする回答割合を上回っているため、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

本問では問われていませんが、第2-3-6図では他にサービス業とその他業の価格転嫁の状況も示されており、サービス業についてはエネルギー価格、原材料価格および労務費すべてが「反映されなかった」が「反映された」を上回っています。

 

サービス業については、人手に依存した労働集約的な労働形態のため原材料(仕入原価)の比率が小さく、原材料価格が価格転嫁されにくいという事情があるものと思われます。

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