中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問192 (中小企業経営・中小企業政策 問5)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問192(中小企業経営・中小企業政策 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づき、中小企業の常用労働者の業種別所定内給与額(2021年)を、卸売業・小売業、建設業、製造業の3つについて見た場合、その額が高いものから低いものへと並べた組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
なお、所定内給与額とは、決まって支給する現金給与額から時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交代手当として支給される超過労働給与額を引いた額を指す。
  • 卸売業・小売業 - 建設業 - 製造業
  • 卸売業・小売業 - 製造業 - 建設業
  • 建設業 - 卸売業・小売業 - 製造業
  • 建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業
  • 製造業 - 卸売業・小売業 - 建設業

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この過去問の解説 (2件)

01

労働者の給与の中でも「所定内給与額」は、毎月決まって支払われる基本的な給料を意味します。

これを業種ごとに比べることで、どの仕事が安定的に高い給料を支払っているかが見えてきます。

 

 

 

厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2021年)」のデータによると、中小企業の常用労働者における業種別の所定内給与額の高い順は次のとおりです。

 

・建設業:最も高い

・製造業:中間

・卸売業・小売業:最も低い

 

 

 

これは、建設業が技術や資格を必要とする専門職が多く、給与水準が高くなりやすいことが関係しています。

製造業も専門性がありますが、建設業には及びません。

卸売業・小売業はパートやアルバイトなどの非正規雇用も多く、全体的に給与が低めです。

 

 

 

この順番に当てはまるのは、

「建設業 − 製造業 − 卸売業・小売業」 です。

選択肢1. 卸売業・小売業 - 建設業 - 製造業

誤りです。

選択肢2. 卸売業・小売業 - 製造業 - 建設業

誤りです。

選択肢3. 建設業 - 卸売業・小売業 - 製造業

誤りです。

選択肢4. 建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業

正しいです。

選択肢5. 製造業 - 卸売業・小売業 - 建設業

誤りです。

まとめ

所定内給与額に反映される仕事内容や働き方の違いは、業種ごとの役割の重さ、必要なスキル、雇用形態の違い、働く環境の条件などが関係しています。

以下に、建設業・製造業・卸売業・小売業それぞれの特徴を説明します。

 

【建設業】

仕事内容の特徴

・現場作業や設計、施工管理など、体力や専門知識が求められる。

・危険を伴う作業や高所での仕事もある。

 

働き方の特徴

・資格(施工管理技士など)や経験が重視される。

・人手不足の影響もあり、専門性のある人材の価値が高く、給与に反映されやすい。

 

影響
→ 専門性が高く責任も大きいため、所定内給与額が高めに設定される。

 

 

【製造業】

仕事内容の特徴

・工場や製造ラインでの作業、または技術職(設計・開発など)がある。

・ものづくりの分野では熟練度が評価されることがある。

 

働き方の特徴

・正社員の割合が比較的高く、勤務時間が安定している。

・自動化や機械化が進んでいるが、一定のスキルが必要。

 

影響
→ 安定的に働ける環境と技術職の存在により、給与水準は中程度になる。

 

 

【卸売業・小売業】

仕事内容の特徴

・卸売業:商品をまとめて仕入れて販売する営業や事務が中心。

・小売業:店頭での接客、レジ打ち、品出しなど。

 

働き方の特徴

・パート・アルバイトの比率が高く、非正規雇用が多い。

・未経験でもできる業務が多く、専門性がそれほど求められない。

・労働時間が短い人も多く、月給が低くなりがち。

 

影響
→ 労働の専門性や継続性が低い傾向があり、所定内給与額も低くなる。

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02

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から、中小企業の常用労働者の業種別所定内給与額に関する問題です。

 

卸売業・小売業、建設業、製造業の3業種の比較が問われていますが、この3業種では卸売業・小売業が最も低いことがすぐに判断できることが望ましいです。

 

結果、選択肢は1つしか残らず、15秒で正答することができます。

選択肢1. 卸売業・小売業 - 建設業 - 製造業

冒頭の解説より、「建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. 卸売業・小売業 - 製造業 - 建設業

冒頭の解説より、「建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. 建設業 - 卸売業・小売業 - 製造業

冒頭の解説より、「建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. 建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業

冒頭の解説より、「建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢5. 製造業 - 卸売業・小売業 - 建設業

冒頭の解説より、「建設業 - 製造業 - 卸売業・小売業」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

本問は、中小企業白書2023 第1部-第3章-第2節「賃金の現況」の1「賃金の動向」(Ⅰ-83ページ)からの出題となります。

 

白書で実際にご確認いただけると分かります(PDFでダウンロード可能)が、縦軸の金額を見ると建設業がほぼ35万円、製造業が25~30万円の間、卸売業・小売業が20~25万円の間となっています。

 

また、白書Ⅰ-83ページに掲載されているグラフの推移を見ると、2009年にグラフが大きく落ち込んでいますが、これはリーマン・ショックの影響によるものです。多くの業種でリーマン・ショックの影響を受けていますが、建設業ではグラフの落ち込みが見られないことから安定的に仕事があり繁閑の差が小さいことが給与額にも反映されていると思われます。

 

別の表現をすれば、「常に忙しい」ともいえます。本問では、決まって支給する現金給与額から時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交代手当として支給される超過労働給与額を引いた額が問われていますが、建設業では、本問では除外されている諸々の手当が非常に多いと言われています。

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