中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問144 (経営法務 問8)
問題文
会社法が定める株式の併合と株式の分割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における株式会社は取締役会設置会社であり、種類株式発行会社ではないものとする。
なお、本問における株式会社は取締役会設置会社であり、種類株式発行会社ではないものとする。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問144(経営法務 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
会社法が定める株式の併合と株式の分割に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における株式会社は取締役会設置会社であり、種類株式発行会社ではないものとする。
なお、本問における株式会社は取締役会設置会社であり、種類株式発行会社ではないものとする。
- 株式の併合および株式の分割を行う場合、いずれも、株主総会の特別決議による承認が必要となる。
- 株式の併合には反対株主の株式買取請求権が定められているが、株式の分割には反対株主の株式買取請求権は定められていない。
- 発行可能株式総数が100株であって、発行済株式総数が50株の株式会社が、1株を10株とする株式の分割をする場合において、発行可能株式総数を600株とするときの定款変更は、必ず株主総会決議の承認を得なければならない。
- 発行可能株式総数が900株、発行済株式総数が300株の株式会社が、2株を1株に株式併合する場合、当該会社が公開会社であっても、効力発生日における発行可能株式総数を変更する必要はない。
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この過去問の解説 (2件)
01
株式の併合と株式の分割に関する問題です。
なお、与件文に「取締役会設置会社である」「種類株式発行会社ではない」という設定があるため、必ず確認しておくようにしましょう。
株式の分割を行う場合は、株主総会の特別決議による承認は不要です。(取締役会決議で足ります)
「株主総会の特別決議による承認が必要となる」のは、株主に対して重大な影響が及ぶ(言い換えると、不利益を被る)と思われる場合です。株式の分割により発行済株式数が増加するため、株主に対して重大な影響が及ぶわけではなく不適切な選択肢です。
株式の併合には反対株主の株式買取請求権が定められているが、株式の分割には反対株主の株式買取請求権は定められていないことは、株式の併合と株式の分割に関する記述として最も適切です。
他の選択肢で解説していますが、株式の分割により発行済株式数が増加するため、株主に対して重大な影響が及ぶわけではなく正解の選択肢となります。
与件文から、本問における株式会社は取締役会設置会社であり、種類株式発行会社ではないため、定款変更は取締役会決議により行なうことができます。
種類株式発行会社、もしくは本選択肢では発行可能株式総数が1,000株を超える場合(=1株を10株とする株式の分割をする場合)は、株主総会決議により定款変更を行なう必要があります。
以上から、不適切な選択肢です。
本選択肢では当該会社が公開会社であるため、効力発生日における発行可能株式総数を変更する必要があります。
株式併合する場合は発行済株式総数が減少するため、株主に対して重大な影響が及ぶ場合があります。本選択肢では2株を1株に株式併合することにより、発行済株式総数が300株→150株に減少します。
したがって、減少後の発行済株式総数の4倍を超えない範囲で発行可能株式総数を変更しなければならず、不適切な選択肢です。
【補足】
株式買取請求権について、以下に解説します。
株式買取請求権とは、株主が会社に対して自身が保有する株式を買い取ってもらうように請求する権利をいいます。一言で言うと「御社の株主を辞めます(だから、株式を買い取ってくださいね)」権利です。
株式買取請求権を行使できる一例としては、以下のようなものがあります。
会社が事業譲渡や合併、株式交換などを行う場合
種類株主に損害を及ぼすおそれのある行為を行う場合
株主総会で議案に反対した株主が株式を保有している場合
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02
株式の併合(株式併合)と株式の分割(株式分割)に関する問題です。株式併合とは複数の株式を一つにまとめる行為で、株式分割とは一つの株式を複数に分ける行為です。これらは株式会社の資本政策として重要な手段ですが、会社法上の手続や効果が異なります。本問では、「取締役会設置会社」であり「種類株式発行会社ではない」という条件が付されています。この条件を踏まえた上で、株式併合と株式分割に関する記述の正誤を判断する必要があります。
この選択肢は誤りです。株式の併合を行う場合は株主総会の特別決議による承認が必要ですが、株式の分割を行う場合は株主総会の特別決議による承認は不要であり、取締役会決議で足ります。株式併合は会社法第180条第2項により株主総会の特別決議が必要とされています。これは株式併合により株式数が減少し、単元未満株式が生じたり、場合によっては一部の株主が株主権を失うなど、株主に重大な影響が生じるためです。一方、株式分割は会社法第183条第2項により取締役会決議で行うことができます。株式分割は株主への影響が相対的に小さいと考えられるためです。
この選択肢は正しいです。株式の併合には反対株主の株式買取請求権が定められていますが、株式の分割には反対株主の株式買取請求権は定められていません。会社法第182条の4において、株式併合に反対する株主は、会社に対して自己の保有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できると規定されています。これは株式併合により株主が不利益を被る可能性があるためです。一方、株式分割については株式買取請求権に関する規定はありません。株式分割は原則として株主の利益に反するものではなく、株式数が増加するだけで持株比率や株主の権利内容に変化がないため、保護の必要性が低いと考えられます。
この選択肢は誤りです。問題文の条件にある「取締役会設置会社」であることから、株式分割に伴う発行可能株式総数の変更のための定款変更は、取締役会決議で行うことができます。会社法第184条第2項により、株式分割に伴う発行可能株式総数の変更については、定款で定めた額の4倍を超えない範囲内であれば、株主総会の決議ではなく取締役会の決議で行うことができるとされています。この問題の場合、株式分割後の発行済株式総数は500株(50株×10)となり、変更後の発行可能株式総数600株はその4倍(2,000株)を超えないため、取締役会決議で定款変更が可能です。「必ず株主総会決議の承認を得なければならない」という記述は誤りです。
この選択肢は誤りです。公開会社が株式併合を行う場合、効力発生日における発行可能株式総数を変更する必要があります。会社法第182条第2項と第3項により、公開会社が株式併合をする場合、効力発生日における発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えることができないとされています。本問では、株式併合後の発行済株式総数は150株(300株÷2)となり、効力発生日における発行可能株式総数は最大で600株(150株×4)までとなります。したがって、現在の発行可能株式総数900株は変更する必要があります。これは、公開会社の発行可能株式総数を過度に拡大することを防止し、株主権の希薄化を抑制するための規定です。
本問の正解は選択肢2です。株式の併合には反対株主の株式買取請求権が定められているが、株式の分割には反対株主の株式買取請求権は定められていないという記述が正しいものです。株式併合と株式分割はいずれも会社の資本政策として用いられますが、株主への影響の大きさが異なるため、会社法上の手続や株主保護の仕組みも異なります。株式併合は株主に不利益をもたらす可能性があるため、株主総会の特別決議や反対株主の株式買取請求権といった厳格な要件が課されています。一方、株式分割は原則として株主の利益を害するものではないため、より簡易な手続で行うことができ、株式買取請求権も認められていません。会社法における資本政策の各制度について、その目的や手続の違いを正確に理解しておくことが重要です。
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