中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問140 (経営法務 問5)
問題文
会社法が定める社債に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはないものとする。
なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはないものとする。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問140(経営法務 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
会社法が定める社債に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはないものとする。
なお、本問における株式会社は、取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはないものとする。
- 株式会社における社債の募集事項の決定は、公開会社である場合には、株主総会の決議事項であるが、公開会社ではない会社の場合は、取締役会の決議事項である。
- 社債権者が社債権者集会の目的である事項を提案した場合において、当該提案につき議決権者の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなされる。
- 社債は、株式会社および合同会社においては発行することができるが、合名会社は発行することはできない。
- 社債を発行する場合、会社は、必ず、当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
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この過去問の解説 (2件)
01
社債に関する問題です。
本問では、「取締役会設置会社」という指定があることに注意してください。
なお、各選択肢の記述を素直に読むだけでも、正答することが可能な内容です。
取締役会設置会社における社債の募集事項の決定は、取締役会の決議事項です。
公開会社・非公開会社の区別なく、取締役会設置会社においては取締役会決議であるため、不適切な選択肢です。
社債権者が社債権者集会の目的である事項を提案した場合において、当該提案につき議決権者の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなされます。
本選択肢の記述のとおりであるため、正解の選択肢となります。
社債は、合名会社においても発行することができます。
合名会社も合同会社と同じ「持分会社」であり、持分会社も株式会社と同じく会社法上の「会社」であるため社債を発行することができます。(本選択肢では触れられていない、合資会社も社債を発行することができます)
したがって、不適切な選択肢です。
社債券の発行は任意です。
「必ず」社債券を発行しなければならないわけではないため、不適切な選択肢です。
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02
社債に関する問題です。社債とは、会社が資金調達のために発行する債券です。株式と違って社債権者には議決権がなく、単に貸付債権を有するのみですが、一定期間後には元本と利息が返済される点が特徴です。本問では、社債に関する会社法上の規定について、特に取締役会設置会社における募集事項の決定、社債権者集会の決議、社債を発行できる会社の種類、社債券の発行義務などの観点から問われています。問題文の条件として「取締役会設置会社であり、定款において特段の定めはない」ことに注意が必要です。
この選択肢は誤りです。株式会社における社債の募集事項の決定は、公開会社であるか否かにかかわらず、取締役会設置会社であれば取締役会の決議事項となります。会社法上、社債の発行は取締役会の決議によって行われることが定められています(会社法236条1項・238条1項・240条1項)。取締役会は、発行する社債の総額・利率・償還の方法及び期限等社債の発行の重要な事項を定めなければなりません。この点について、公開会社と非公開会社で区別はありません。したがって、「公開会社である場合には、株主総会の決議事項であるが、公開会社ではない会社の場合は、取締役会の決議事項である」という記述は誤りです。
この選択肢は正しいです。社債権者集会の決議について、会社法第734条第1項では「社債権者集会の目的である事項について、社債権者(議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなす」と規定されています。これは株主総会における書面による決議の規定と同様の考え方で、すべての議決権者が同意した場合には、わざわざ集会を開催せずとも決議があったとみなすことができるという規定です。社債権者集会は社債権者の意思決定機関であり、その効率的な運営のための規定として重要です。
この選択肢は誤りです。社債は、株式会社、合同会社だけでなく、合名会社においても発行することができます。平成18年5月に施行された会社法では、会社法上のすべての会社、すなわち、株式会社だけでなく、合名会社、合資会社、合同会社において社債を発行することができます(法676条)。つまり、すべての会社形態において社債の発行が可能となっています。これは会社法の現代化により、資金調達手段の多様化が図られた結果と言えます。したがって、「合名会社は発行することはできない」という記述は誤りです。
この選択肢は誤りです。社債を発行する場合、会社は必ずしも社債券を発行する必要はありません。会社法第676条第7号では、「社債券を発行するかどうか」が社債の発行において定めるべき事項の一つとされており、社債券を発行しないという選択肢も認められています。近年では、電子化の流れもあり、社債券を発行しないペーパーレスの社債も増えています。社債券の発行は会社の任意であり、発行義務はないため、「社債を発行する場合、会社は、必ず、当該社債に係る社債券を発行しなければならない」という記述は誤りです。
本問の正解は選択肢2です。社債権者が社債権者集会の目的である事項を提案した場合において、議決権者全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をした場合に、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなされるという記述は正しいものです。社債に関する基本的な知識として、①社債の募集事項の決定は取締役会設置会社では取締役会の決議事項であること、②社債は株式会社だけでなく合名会社・合資会社・合同会社でも発行可能であること、③社債券の発行は会社の任意であり義務ではないこと、などを押さえておくことが重要です。社債は会社の重要な資金調達手段の一つであり、その法的な取扱いについての理解は経営法務の知識として不可欠です。
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