中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問139 (経営法務 問4)
問題文
会社法が定める剰余金配当に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問においては、中間配当は考慮しないものとし、取締役の任期は2年とする。また、定款において特段の定めはないものとする。
なお、本問においては、中間配当は考慮しないものとし、取締役の任期は2年とする。また、定款において特段の定めはないものとする。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問139(経営法務 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
会社法が定める剰余金配当に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問においては、中間配当は考慮しないものとし、取締役の任期は2年とする。また、定款において特段の定めはないものとする。
なお、本問においては、中間配当は考慮しないものとし、取締役の任期は2年とする。また、定款において特段の定めはないものとする。
- 株式会社が剰余金配当をする場合、株主総会の決議によらなければならない。
- 最低資本金制度が撤廃されたため、株式会社は、純資産額が300万円を下回る場合であっても、剰余金配当をすることができる。
- 剰余金の配当が分配可能額を超えてなされたとしても、当該配当を受けた株主が、株式会社に対して、その帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことはない。
- 剰余金配当における配当財産は、金銭でなければならず、金銭以外の財産を配当財産とすることはできない。
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この過去問の解説 (2件)
01
剰余金配当に関する問題です。
本問では、「中間配当は考慮しない」「取締役の任期は2年」という指定があることに注意してください。
株式会社が剰余金配当をする場合、株主総会の決議によらなければなりません。
会社法に上記の定めがあり、正解の選択肢となります。
株式会社は、純資産額が300万円を下回る場合は剰余金配当をすることができません。
剰余金の配当については、最低資本金制度の撤廃とは関係がないため、不適切な選択肢です。
剰余金の配当が分配可能額を超えてなされた場合、当該配当を受けた株主は、株式会社に対して、その帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います。
剰余金は、株主への配当以外に新たな設備投資や従業員の待遇改善などにも充てられます。分配可能額を超えて剰余金が配当されてしまうと企業活動に支障が出るおそれがあるため、不適切な選択肢です。
剰余金配当における配当財産は、金銭以外の財産を配当財産とすることができます。
「配当財産は金銭でなければならない」という定めはないため、不適切な選択肢です。
【補足】
与件文にある「中間配当は考慮しない」「取締役の任期は2年」という指定に該当する場合は、取締役会決議により剰余金配当をすることができます。
たとえば、中間配当を行なう場合、取締役会決議により1事業年度中に1回のみ剰余金配当をすることができます。(「取締役会決議」のため、取締役会設置会社であることが必要です)
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02
剰余金配当に関する問題です。剰余金配当とは、会社が利益の一部を株主に分配する制度で、会社法に詳細な規定があります。本問では、「中間配当は考慮しない」「取締役の任期は2年」「定款において特段の定めはない」という条件が示されていることに注意が必要です。これらの条件を踏まえつつ、剰余金配当に関する会社法の規定について正しく理解しているかが問われています。株主への利益還元は会社経営において重要なテーマであり、基本的な仕組みを押さえておきましょう。
この選択肢は正しいです。株式会社が剰余金配当をする場合、原則として株主総会の決議によらなければなりません。会社法第454条第1項では、「株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができる」と規定され、同法第454条第2項で「剰余金の配当は株主総会の決議によって定める」と明記されています。なお、本問の条件では「中間配当は考慮しない」とされているため、例外的な中間配当(第454条第5項)については考慮する必要がありません。また、取締役会設置会社で、会計監査人設置会社かつ監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であれば、定款の定めにより取締役会決議で剰余金配当を行うことも可能ですが、本問では「定款において特段の定めはない」とされているため、原則通り株主総会決議が必要となります。
この選択肢は誤りです。最低資本金制度が撤廃されたのは事実ですが、それは会社設立時に必要な資本金額の最低基準(旧商法では株式会社1,000万円、有限会社300万円)がなくなったということであり、剰余金配当の可否とは直接関係ありません。会社法第458条では、剰余金の配当等により株式会社の純資産額が300万円を下回る場合には、当該剰余金の配当等をしてはならないと規定されています。これは債権者保護の観点から設けられた規定であり、会社財産が一定額以下になると株主への配当ができなくなるという制限です。したがって、純資産額が300万円を下回る場合には、最低資本金制度が撤廃されていても剰余金配当をすることはできません。
この選択肢は誤りです。剰余金の配当が分配可能額を超えてなされた場合(違法配当)、当該配当を受けた株主は、株式会社に対して、その帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います。会社法第462条第1項では、「株式会社が第461条第1項の規定に違反して同項各号に掲げる行為をした場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者は、株式会社に対して、当該金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う」と規定されています。これは違法配当を受けた株主に返還義務を課すことで、会社の財産を保全し、債権者や他の株主を保護するための規定です。ただし、株主が善意である場合などには例外が認められることもあります。
この選択肢は誤りです。剰余金配当における配当財産は、金銭に限らず、金銭以外の財産を配当財産とすることもできます。会社法第454条第4項によれば、「株式会社は、剰余金の配当をする場合には、当該剰余金の配当に係る基準日(第124条第1項に規定する基準日をいう。以下この章において同じ。)における株主が保有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、当該剰余金の配当について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、当該種類株式の数)に応じて、取締役会の決議によって定めることができる」とされており、金銭以外の財産による配当(現物配当)も可能です。子会社の株式を親会社の株主に配当するケースなどがこれにあたります。
本問の正解は選択肢1です。株式会社が剰余金配当をする場合、株主総会の決議によらなければならないという記述が正しいものでした。剰余金配当に関する重要なポイントとしては、①原則として株主総会の決議により行われる、②例外的に一定の要件を満たす会社では定款の定めにより取締役会決議でも可能、③純資産額が300万円を下回る場合は配当不可、④違法配当の場合は株主に返還義務がある、⑤配当財産は金銭に限らず現物配当も可能、といった点があります。剰余金配当は株主への利益還元の基本的な方法であり、その仕組みと制限を適切に理解しておくことが重要です。
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