中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問137 (経営法務 問2)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問137(経営法務 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

会社法が定める監査役および監査役会に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならないが、社外監査役を常勤の監査役とすることもできる。
  • 監査役会設置会社においては、監査役を3人以上選任しなければならず、その選任人数にかかわらず、そのうち過半数は社外監査役でなければならない。
  • 監査役の報酬は、定款にその額を定めることはできず、株主総会の決議によって定めなければならない。
  • 監査役を株主総会決議によって解任する場合、その株主総会決議は特別決議によらなければならず、かつ、その解任について正当な理由がなければならない。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

監査役および監査役会に関する問題です。

選択肢1. 監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならないが、社外監査役を常勤の監査役とすることもできる。

監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければなりません。

 

なお、監査役の要件として「常勤」であることは定められていますが、「社内」または「社外」の区別はないことから、社外監査役を常勤の監査役とすることもできると考えられます。

 

したがって、正解の選択肢となります。

選択肢2. 監査役会設置会社においては、監査役を3人以上選任しなければならず、その選任人数にかかわらず、そのうち過半数は社外監査役でなければならない。

監査役会設置会社においては、監査役の選任人数の半数は社外監査役でなければなりません。

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢3. 監査役の報酬は、定款にその額を定めることはできず、株主総会の決議によって定めなければならない。

監査役の報酬は、定款または株主総会決議によって定めなければなりません

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢4. 監査役を株主総会決議によって解任する場合、その株主総会決議は特別決議によらなければならず、かつ、その解任について正当な理由がなければならない。

監査役を株主総会決議によって解任する場合、その解任について正当な理由がない場合、解任された者は損害賠償を請求することができます

 

「正当な理由」が必須ではないため、不適切な選択肢です。(正答な理由なく解任すれば、後々トラブルになるかも知れないということです)

まとめ

【補足】

 

過半数と半数の違いについての確認です。

 

100名の過半数は51名ですが、100名の半数は50名です。つまり、過半数とは常に51%以上ということです。

参考になった数3

02

監査役および監査役会に関する問題です。監査役は株式会社の業務執行を監査する機関であり、特に監査役会設置会社では、その構成や選定方法について会社法で細かく規定されています。監査役には「社内監査役」と「社外監査役」の区分、さらに「常勤監査役」と「非常勤監査役」の区分があり、それぞれの要件や役割が異なります。本問では、監査役会設置会社における監査役の選定や報酬、解任などに関する法的規定について問われています。

選択肢1. 監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならないが、社外監査役を常勤の監査役とすることもできる。

この選択肢は正しいです。監査役会設置会社においては、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならず、社外監査役を常勤の監査役とすることもできます。会社法第390条第3項には「監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない」と規定されていますが、この常勤監査役を社内監査役に限定する規定はありません。社外監査役であっても、会社の営業時間中は監査役としての職務に専念するならば、常勤監査役として選定することが可能です。常勤監査役と社外監査役の区別は完全に別の概念であり、社外監査役が常勤監査役を兼ねることも法的に問題ありません。

選択肢2. 監査役会設置会社においては、監査役を3人以上選任しなければならず、その選任人数にかかわらず、そのうち過半数は社外監査役でなければならない。

この選択肢は誤りです。監査役会設置会社において、監査役を3人以上選任しなければならないという点は正しいですが、「そのうち過半数は社外監査役でなければならない」という記述は誤りです。会社法第335条第3項では、「監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない」 と規定されています。つまり、監査役の「過半数」ではなく「半数以上」が社外監査役でなければならないのです。この違いは重要です。例えば監査役が4名の場合、過半数だと3名以上が社外監査役でなければならなくなりますが、半数以上だと2名以上の社外監査役でよいことになります。

選択肢3. 監査役の報酬は、定款にその額を定めることはできず、株主総会の決議によって定めなければならない。

この選択肢は誤りです。監査役の報酬は、定款にその額を定めることもできます。会社法第387条第1項では、「監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」と規定されています。つまり、監査役の報酬は定款にその額を定めるか、または株主総会の決議によって定めるかの2つの方法があります。「定款にその額を定めることはできず」という記述は誤りです。このように、監査役の報酬決定方法は取締役と同様に、定款または株主総会の決議のいずれかによることが認められています。

選択肢4. 監査役を株主総会決議によって解任する場合、その株主総会決議は特別決議によらなければならず、かつ、その解任について正当な理由がなければならない。

この選択肢は誤りです。監査役を株主総会決議によって解任する場合、その株主総会決議は特別決議によらなければならないという点は正しいですが、「その解任について正当な理由がなければならない」という部分は誤りです。会社法第339条および第343条によれば、監査役は株主総会の特別決議によって解任することができますが、正当な理由は必須ではありません。ただし、正当な理由がない解任の場合、解任された監査役は会社に対して損害賠償請求をすることができます(会社法第339条第2項)。つまり、正当な理由なく監査役を解任することも法的には可能ですが、その場合には損害賠償責任が生じる可能性があるということです。

まとめ

本問の正解は選択肢1です。監査役会設置会社において、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならず、社外監査役を常勤の監査役とすることも可能です。監査役会設置会社に関する主な規定としては、①監査役は3人以上で構成され、そのうち半数以上は社外監査役でなければならない、②監査役会は常勤の監査役を1人以上選定しなければならない、③監査役の報酬は定款または株主総会の決議によって定める、④監査役の解任には株主総会の特別決議が必要だが、正当な理由は必須ではない(ただし、正当な理由なく解任された監査役は損害賠償請求が可能)などが挙げられます。監査役制度は企業統治において重要な役割を果たし、特に株主と経営者の利益相反を抑制する機能があります。

参考になった数1