中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問136 (経営法務 問1)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問136(経営法務 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

会社法が定める監査等委員会設置会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 監査等委員会設置会社における取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときは、その者が代表執行役になる。
  • 監査等委員会設置会社は、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を設置しなければならない。
  • 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を3人以上選任しなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を1人選任すればよい。
  • 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員の過半数は社外取締役でなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、社外取締役である監査等委員を選任する必要はない。

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この過去問の解説 (2件)

01

監査等委員会設置会社に関する問題です。

選択肢1. 監査等委員会設置会社における取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときは、その者が代表執行役になる。

監査等委員会設置会社における取締役会では、執行役を置くことができません

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢2. 監査等委員会設置会社は、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を設置しなければならない。

監査等委員会設置会社では必ず会計監査人を設置しなければならず、大会社であるか否かは関係がありません。

 

したがって、正解の選択肢となります。

選択肢3. 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を3人以上選任しなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を1人選任すればよい。

監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を3人以上選任しなければならず、公開会社であるか否かは関係ありません

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢4. 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員の過半数は社外取締役でなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、社外取締役である監査等委員を選任する必要はない。

監査等委員会設置会社においては、監査等委員の過半数は社外取締役でなければならず、公開会社であるか否かは関係ありません

 

したがって、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

執行役は、指名委員会等設置会社のみに設置が認められています。執行役は取締役会から委任を受けて、業務執行の決定と執行を行ないます。

 

大会社とは、最終事業年度の貸借対照表で資本金が5億円以上、または負債の合計額が200億円以上である株式会社をいいます。

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02

監査等委員会設置会社に関する問題です。監査等委員会設置会社は、2014年の会社法改正によって新たに導入された機関設計の一つで、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置する株式会社です。監査等委員会は、監査役会と指名委員会等設置会社の監査委員会の中間的な性格を持ち、監査・監督機能の強化と意思決定の迅速化を両立させることを目的としています。本問では、監査等委員会設置会社の基本的な特徴について問われています。

選択肢1. 監査等委員会設置会社における取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときは、その者が代表執行役になる。

この選択肢は誤りです。監査等委員会設置会社には執行役という機関は存在しません。執行役を置くことができるのは「指名委員会等設置会社」であり、監査等委員会設置会社とは別の機関設計です。監査等委員会設置会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。したがって、「監査等委員会設置会社における取締役会は、執行役の中から代表執行役を選定しなければならず、執行役が1人のときは、その者が代表執行役になる」という記述は誤りです。

選択肢2. 監査等委員会設置会社は、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を設置しなければならない。

この選択肢は正しいです。監査等委員会設置会社は、会社の規模にかかわらず、必ず会計監査人を設置しなければなりません。通常、会計監査人の設置義務があるのは大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社)や上場会社などに限られますが、監査等委員会設置会社の場合は例外となります。これは、監査等委員会がその役割を十分に果たすためには、専門的な会計監査を行う会計監査人の存在が不可欠であるという考えに基づいています。したがって、「監査等委員会設置会社は、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を設置しなければならない」という記述は正しいです。

選択肢3. 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を3人以上選任しなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を1人選任すればよい。

この選択肢は誤りです。監査等委員会設置会社では、公開会社であるか否かにかかわらず、監査等委員である取締役を3人以上選任しなければなりません。監査等委員会は合議制の機関であり、その機能を十分に発揮するためには一定数の委員が必要であるとの考えから、最低人数が3人と定められています。「公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役を1人選任すればよい」という部分は誤りであり、非公開会社であっても3人以上の監査等委員を選任する必要があります。

選択肢4. 公開会社である監査等委員会設置会社においては、監査等委員の過半数は社外取締役でなければならないが、公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、社外取締役である監査等委員を選任する必要はない。

この選択肢は誤りです。監査等委員会設置会社では、公開会社であるか否かにかかわらず、監査等委員の過半数は社外取締役でなければなりません。これは、監査等委員会の独立性を確保し、経営に対する実効的な監査・監督機能を担保するための要件です。「公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、社外取締役である監査等委員を選任する必要はない」という部分は誤りであり、非公開会社であっても監査等委員の過半数は社外取締役である必要があります。

まとめ

本問の正解は選択肢2です。監査等委員会設置会社は、大会社であるか否かにかかわらず、会計監査人を設置しなければならないという記述が正しいです。監査等委員会設置会社の主な特徴としては、①取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置すること、②監査等委員である取締役は3人以上で、その過半数は社外取締役であること、③監査等委員は株主総会で他の取締役とは区別して選任されること、④監査等委員会は監査役会よりも強い権限を持ち、取締役の選任・解任や報酬に関する意見陳述権を有することなどが挙げられます。監査等委員会設置会社は、監査役会設置会社と指名委員会等設置会社の中間的な位置づけとして、中小企業にとっても選択肢の一つになっています。

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