中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問22 (経済学・経済政策 問20(1))

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問22(経済学・経済政策 問20(1)) (訂正依頼・報告はこちら)

労働市場を示した下図において、Dは労働需要曲線、Sは労働供給曲線であり、点Eで均衡し、そのときの均衡賃金率はW0、均衡労働量はN0である。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

均衡賃金率の上昇を引き起こす要因の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  労働と補完的な生産技術水準の向上
b  雇用環境の改善に伴う労働の限界不効用の低下
c  企業による資本投入量の増加
d  出生率の上昇に伴う生産年齢人口の増加
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  • aとc
  • aとd
  • bとc
  • bとd
  • cとd

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この過去問の解説 (2件)

01

要因の変化により賃金が上昇するのか低下するのかを判断する問題です。

各選択肢をそれぞれ解説します。

 

a

生産技術水準の向上により生産性が向上すると考えられます。

その結果、賃金も上昇することになります。

 

b

限界不効用が低下すると賃金が低下しても労働者は減りません。

そのため賃金が上昇する要因になりません。


c

資本投入量の増加により生産性が向上したとします。

その結果、賃金が上昇すると考えられます。


d

生産年齢人口の増加により労働者が増えることになります。

そうすると賃金は下がることになります。

 

賃金が上昇する選択肢の組み合わせは、 aとc です。

選択肢1. aとc

本選択肢が正解です。

選択肢2. aとd

本選択肢は不正解です。

選択肢3. bとc

本選択肢は不正解です。

選択肢4. bとd

本選択肢は不正解です。

選択肢5. cとd

本選択肢は不正解です。

まとめ

本問では選択肢cの判断が難しいところでした。

資本投下を自動化を進めることに行った場合、労働者を減らすことができるので賃金が下がるという考え方もできるからです。

一方で選択肢aが賃金を上昇させることは明確なので、aと組み合わせになっているcとdのどちらが正しいのかと二択で考えて、dは賃金を下げる要因でしかないため、aとcが正解であると絞り込むといった方法で対応は可能でした。

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02

労働市場に関する問題です。本問では、均衡賃金率の上昇を引き起こす要因が問われています。

 

「均衡賃金率の上昇を引き起こす」ということは、縦軸の賃金率が上にシフトするということです。

縦軸の賃金率が上にシフトするためには、労働需要曲線Dが右シフトする、労働供給曲線Sが左シフトするという2つのパターンがあります。

 

労働需要曲線Dが右シフトしない、労働供給曲線Sが左シフトしないという観点で、誤りの解答群のみ解説します。
 

b.雇用環境の改善に伴う労働の限界不効用の低下

→労働の限界不効用が低下すると、動労供給曲線Sは右シフトするため均衡賃金率は低下します。(同じ賃金なら、快適な労働環境で働きたいと思う労働者が増加するためです)

 

労働の限界不効用」とは、労働時間の増加にともない疲労も増加していくという意味です。雇用環境の改善に伴い低下することが書かれているため、労働者にとっては良いことだと分かると思います。
 

d.出生率の上昇に伴う生産年齢人口の増加

→生産年齢人口が増加すると、労働供給曲線Sは右シフトするため均衡賃金率は低下します。

 

残りの「労働と補完的な生産技術水準の向上」「企業による資本投入量の増加」は、どちらも資本量の増加により労働供給曲線Sが左シフトする(労働者が資本に置き換えられる→肉体労働から機械主体への労働へと移行する)と考えられます。

選択肢1. aとc

冒頭の解説より、「aとc」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢2. aとd

冒頭の解説より、「aとc」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. bとc

冒頭の解説より、「aとc」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. bとd

冒頭の解説より、「ac」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢5. cとd

冒頭の解説より、「aとc」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

現在、日本では労働生産人口が急激に減少しているため、労働者側(本問でいえば労働供給曲線S)が著しく左シフトしている状態です。

労働需要曲線D(企業側)は以前からあまり減少しておらず、需要と供給のバランスが崩れてしまっているため、賃金を上げなければ労働者を確保できない状態になっています。

 

2010年頃までは労働生産人口がたくさんいたので、賃上げしなくても労働者を確保することができていました。

需要に対して供給側が過剰であると、賃金は増えないのです。(悪い言い方になりますが、労働者を買い叩くことができるからです)

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