中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問20 (経済学・経済政策 問18)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問20(経済学・経済政策 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、ある観光資源に関する消費の外部不経済を示している。観光客の増加に伴う交通渋滞やゴミの投棄など、観光資源の消費は近隣の環境や住民に無視できない損害を生じさせる場合がある。観光資源に対する消費者(観光客)の限界価値曲線はD0であるが、第三者への損害を考慮した場合の社会的限界価値曲線はD1である。
この図に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

a  完全競争市場での均衡下で生じる死荷重は、四角形GFHEである。
b  完全競争市場での均衡下での外部不経済は、四角形CAHEである。
c  社会的に最適な消費が実現したときの社会的余剰は、四角形CBFGである。
d  社会的に最適な消費が実現したときの外部不経済は、四角形CAFGである。
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  • aとb
  • aとd
  • bとc
  • bとd

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この過去問の解説 (2件)

01

外部不経済の問題を解くときは、外部への悪影響に対する費用を自ら負担する私的限界費用と、社会全体で負担する社会的限界費用について考えることになります。

各選択肢をそれぞれ解説します。

 

a

完全競争市場では均衡するのは、SとD0の交点です。価格EやHの分だけ生産を行うことになります。

その場合は社会的総余剰は三角形ABF-三角形EHFとなるので、死荷重は三角形EHFということになります。

そのため本選択肢は誤っています。

 

b

完全競争市場での外部不経済は四角形CAHEとなるため、本選択肢は正しいです。

 

c

社会的に最適な消費が実現したときに均衡するのは、SとD1の交点です。価格GやFの分だけ生産を行います。

社会的総余剰は三角形ABFとなるため、本選択肢は誤っています。

 

d

社会的に最適な消費が実現したときの外部不経済は、四角形CAFGであるため、本選択肢は正しいです。

 

正しい選択肢の組み合わせは、 bとd です。

選択肢1. aとb

本選択肢は不正解です。

選択肢2. aとd

本選択肢は不正解です。

選択肢3. bとc

本選択肢は不正解です。

選択肢4. bとd

本選択肢が正解です。

まとめ

外部不経済への対策としては、ピグー税や排出権取引、補助金などが挙げられます。

これらも出題される可能性はあるため学習しておきましょう。

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02

外部不経済に関する問題です。

 

まず、与件文で述べられている「消費者(観光客)の限界価値曲線D0」と直線BSとが交わる点E、「社会的限界価値曲線D1」と直線BSが交わる点Fからそれぞれ縦軸の価格の方へ水平に点線を引き、それぞれP0、P1とします。

 

続いて、点Eと点Fからぞれぞれ横軸の数量の方へ点線が伸びているので、それぞれQ0、Q1とします。以下は、これらを図示したものです。

・D0の場合(完全競争市場での均衡下)

価格はP0、数量はQ0

消費者余剰:△CPoE

生産者余剰:△PoBE

社会的余剰:△ABF-△FHE→消費者余剰+生産者余剰ー外部不経済の差分

死荷重:△FHE(解答群a)

外部不経済:□CAHE(解答群b)

 

・D1の場合(社会的に最適な消費が実現したとき)

価格はP1、数量はQ1

消費者余剰:□CP1FG

生産者余剰:△P1BF

社会的余剰:△ABF→消費者余剰+生産者余剰ー外部不経済の差分(解答群c)

死荷重:発生しない→社会的に最適な消費が実現しているため

外部不経済:□CAFG(解答群d)

 

以下、誤りの解答群のみ解説します。

a.完全競争市場での均衡下で生じる死荷重は、四角形GFHEである。
→完全競争市場での均衡下で生じる死荷重は、△FHEです。

 

c.社会的に最適な消費が実現したときの社会的余剰は、四角形CBFGである。

→社会的に最適な消費が実現したときの社会的余剰は、△ABFです。

選択肢1. aとb

冒頭の解説より、「bとd」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. aとd

冒頭の解説より、「bとd」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. bとc

冒頭の解説より、「bとd」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. bとd

冒頭の解説より、「bとd」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

・完全競争市場での均衡下と、社会的に最適な消費が実現した場合の2つのパターンで、死荷重や外部不経済などの範囲を切り出さないといけないため、非常に手間がかかる内容となっています。

 

そのため、解答群で示されている死荷重、外部不経済、社会的余剰の範囲から逆算して正誤判断する方が時間を短縮できる可能性があります。

 

・死荷重や外部不経済などの切り出しについては、縦軸/横軸の点と接している点を意識します。

P0/Q0の場合は点Eと点H、P1/Q1の場合は点Fと点Gが、死荷重や外部不経済などの範囲に必ず含まれます。

 

どこに着目するかのトレーニングのために、過去問題でも繰り返し、この意識を持って範囲を切り出してみてください。

(なかなか正答できない場合、過去問題の解説を先に見ても構いません)

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