公認心理師 過去問
第1回 追加試験(2018年)
問149 (午後 問150)

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問題

公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 問149(午後 問150) (訂正依頼・報告はこちら)

14歳の男子A、中学2年生。Aは日頃学業への取組が不十分であり、定期試験の答案が返却される度に、点数が低いのは自分に能力がないからだと考えていた。しかし、今回の定期試験では努力した結果、Aは高得点をとることができた。Aはたまたま問題が簡単だったからだと考えている。
原因帰属理論に基づいて、Aの担任教師がAの学業への取組を促すための対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 次回のテストも簡単かもしれないから大丈夫だと伝える。
  • 今回は運が良かっただけなので慢心しないように注意をする。
  • Aには高得点をとる能力があるのだということを繰り返し強調する。
  • 問題が簡単だったからではなく努力したから高得点だったと強調する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

1、× 「たまたま問題が簡単だったから高得点が取れた」と思っているAに対して、A自身の努力した結果、高得点が取れたのだとフィードバックしたいところに、問題の難易度が結果をもたらしたと伝えることは適切な対応ではありません。

2、× 「今回の定期試験では努力した結果」と記述されているので、運のせいではなく、不適切です。

3、× 「点が低いのは自分に能力がないからだ」と考えていたAに対して、「高得点をとる能力がある」と伝えるだけでは、勉強に対する姿勢を変えることにつながらず、不適切です。

4、〇 「問題が簡単だったから」と考えているAに「A自身が努力をしたからだ」とフィードバックすることで、Aの認識を改め、勉強に対する姿勢を変えることにつながるため、適切な対応です。

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02

正解は4です。

Aは達成動機が低いために、悪い結果は自分の能力不足に原因を帰属し、良い結果は運に原因を帰属したと考えられます。

1.→✖

簡単かもしれないという不確実な内容なのに、大丈夫と伝えるのは無責任です。

2.→✖

実際は努力し良い結果をとっているのに、よい結果は運のおかげという原因帰属の結びつきがより強くなってしまいます。

3.→✖

Aには能力があるということを伝えることも大切かもしれませんが、この場合Aは能力があるのに努力しないせいで悪い結果をとって能力不足だと思うという悪循環に陥っています。なので、悪循環を断ち切るためには努力にアプローチすることがより適切でしょう。

4.→〇

達成動機の高い人は、悪い結果は自分の努力不足に、良い結果は自分の努力の成果に原因を帰属します。

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03

帰属とは、物事の原因を推論する流れを指します。

帰属のバイアスには主に下記の3つがあります。

①根本的帰属の過誤

行動を起こした本人の内的属性に帰属しすぎてしまう傾向を指します。

②行為者―観察者バイアス

原因帰属を、行為者は環境(外的要因)に対して行うのに対し、観察者は行為者(内的要因)に対して行う傾向を指します。

③セルフサービングバイアス

成功したときは内的帰属をし、失敗したときは外的帰属をする傾向を指します。

選択肢1. 次回のテストも簡単かもしれないから大丈夫だと伝える。

×:「問題が簡単だったからテストで高得点をとることができた」というAの帰属を肯定してしまっています。Aは「次回のテストも簡単かもしれない」と思うことで学業を怠る可能性があるため、不適切です。

選択肢2. 今回は運が良かっただけなので慢心しないように注意をする。

×:Aの努力を肯定しておらず、厳しい声かけは、日頃学業への取組が不十分であるAにとって最適な対応とはいえないため、不適切です。

選択肢3. Aには高得点をとる能力があるのだということを繰り返し強調する。

×:根拠がなく同じ発言を繰り返しています。仮にAが「自分には高得点をとる能力がある」と思うようになったとしても、「能力があるから勉強をしなくてもいい」考えるようになる可能性があります。

選択肢4. 問題が簡単だったからではなく努力したから高得点だったと強調する。

○:帰属のバイアスに基づくと、「点数が低いのは自分に能力がないからだ」という発言は根本的帰属の過誤によるものであると考えられます。次に、「たまたま問題が簡単だったから高得点をとることができた」という発言は行為者バイアスがかかっていると考えられます。したがって、Aに対して「問題が簡単だったからではなく努力したから高得点だった」と強調することによって、セルフサービングバイアスに誘導してAの学業に対するモチベーションを高めることができます。

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