司法書士 過去問
令和6年度
問2 (午前の部 問2)

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問題

司法書士試験 令和6年度 問2(午前の部 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

学問の自由及び教育の自由に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  普通教育における教師には、大学教育における場合に認められるのと同程度の教授の自由が認められる。
イ  研究発表の自由は、表現の自由の一部であるが、学問の自由によっても保障される。
ウ  親は、子の将来に関して最も深い関心を持ち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、憲法上、子の教育の自由を有する。
エ  教科書検定による審査が、単なる誤記、誤植等の形式的なものにとどまらず、教育内容に及び、かつ、普通教育の場において検定に合格した教科書の使用義務を課す場合には、教科書検定制度は、学問の自由を保障した憲法に違反する。
オ  大学における学生の集会は、真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものではなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合であっても、大学の有する特別の学問の自由と自治を享有し、当該集会に警察官が立ち入ることは大学の学問の自由と自治を侵害する。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、判例の趣旨と一致している記述の組合せとなっている選択肢を選ぶ問題です。

選択肢3. イウ

ア.普通教育(小学校や中学校など)における教師には、大学の教授と同じ程度の「教授の自由」があると書かれていますが、判例では、普通教育は国が責任をもって行うべきものであり、大学教育とは異なる性質を持つとされています。そのため、大学と同程度の教授の自由が認められるとは言えません。判例の趣旨に反しています。

 

イ.研究発表の自由は、表現の自由に含まれますが、それに加えて学問の自由によっても保障されるという内容です。判例でもこの考え方が認められています。判例の趣旨と一致しています。


ウ.親には、子どもの教育について最も深い関心を持ち、配慮すべき立場があるため、憲法上、子どもを教育する自由があると書かれています。最高裁判例では、親が子どもをどのように教育するかを決める権利は、憲法26条や教育基本法に基づいて認められるものとされています。判例の趣旨と一致しています。


エ.教科書検定制度が教育内容に関わる場合、それが憲法の学問の自由に違反すると書かれていますが、判例では、教科書検定制度自体は違憲ではないとされています。教育の適正化のために一定の制約は許容されると考えられているため、この記述は判例の趣旨に反しています。

 

オ.大学での集会が、学問的な研究や発表ではなく、政治的・社会的な活動であっても、警察が立ち入ることは学問の自由と自治を侵害すると書かれています。しかし、判例では、大学の自治は学問の自由を守るためのものであり、無制限に政治活動を許すものではないとされています。そのため、必要に応じて警察の立ち入りは認められることがあります。判例の趣旨に反しています。
 

 

まとめ

「学問の自由」と「教育の自由」の違いを理解し、判例の考え方を押さえましょう。

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02

学問及び教育の自由に関する問題です。

憲法の問題はこのように判例の趣旨を問うものが多いので、必要であれば判例の原文まであたって理解するように努めましょう。

選択肢3. イウ

普通教育における教師には、大学教育における場合に認められるのと同程度の教授の自由が認められる。

 

旭川学力テスト事件(最大判昭51.5.21)に基づく問題です。

判例は、「大学教育の場合には、学生が一応教授内容を批判する能力を備えていると考えられるのに対し、普通教育においては、児童生徒にこのような能力がなく、教師が児童生徒に対して強い影響力、支配力を有することを考え、また、普通教育においては、子どもの側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等をはかる上からも全国的に一定の水準を確保すべき強い要請があること等に思いをいたすときは、普通教育における教師に完全な教授の自由を認めることは、とうてい許されない」としている。

よって、本肢は判例の趣旨に反しています。

 

 

研究発表の自由は、表現の自由の一部であるが、学問の自由によっても保障される。

 

東大ポポロ事件(最判昭38.5.22)に基づく問題です。

判例は、「憲法第23条の学問の自由は、学問的研究の自由とその研究結果の発表の自由とを含み、同条は、広くすべての国民に対してそれらの自由を保障するとともに、特に大学におけるそれらの自由および大学における教授の自由を保障することを趣旨としたものである。」としています。

よって、本肢は判例の趣旨に合致しています。

 

 

親は、子の将来に関して最も深い関心を持ち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、憲法上、子の教育の自由を有する。

 

旭川学力テスト事件(最大判昭51.5.21)に基づく問題です。

判例は、「親は、子どもに対する自然的関係により、子どもの将来に対して最も深い関心をもち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められる」としています。

よって、本肢は判例の趣旨に合致しています。

 

 

教科書検定による審査が、単なる誤記、誤植等の形式的なものにとどまらず、教育内容に及び、かつ、普通教育の場において検定に合格した教科書の使用義務を課す場合には、教科書検定制度は、学問の自由を保障した憲法に違反する。

 

第一次家永教科書事件(最判平5.3.16)に基づく問題です。

判例は、「教科書は(略)普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、(略)本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しないことは、当裁判所の判例の趣旨に徴して明らかである。」としています。

よって、本肢は判例の趣旨に反しています。

 

 

大学における学生の集会は、真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものではなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合であっても、大学の有する特別の学問の自由と自治を享有し、当該集会に警察官が立ち入ることは大学の学問の自由と自治を侵害する。

 

東大ポポロ事件(最判昭38.5.22)に基づく問題です。

判例は、「学生の集会は、大学の許可したものであつても真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動に当る行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しない。」としています。

よって、本肢は判例の趣旨に反しています。

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