大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問16 (世界史B(第4問) 問1)
問題文
A 次の資料1は、あるトルコ系の国家( ア )について述べた中国の史書の一節である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)また、資料2は、( ア )と東ローマ帝国との間で行われた交渉について、東ローマ帝国の歴史家が残した記録の概略である。なお、資料1・2は、どちらも同じ世紀に起こった事柄について述べている。
資料1
( ア )は富強となり、中国を軽んずるようになった。北周は( ア )と和親を結び、毎年、十万段もの絹を贈った。北斉もまた、( ア )からの侵略を恐れ、宮中の倉にある限りの財物を贈った。( ア )の君主は、配下の者たちにこの状況を例えて言った。「我々に南方の二人の孝行息子がいる限り、何の憂いもない。」
資料2
568年の初め、( ア )の使節たちがコンスタンティノープルに到着した。この時、勢力が増大した( ア )に従属していたソグド人は、「ペルシアへ使節を派遣し、自分たちがペルシアで絹を売る許可を得て欲しい」と、( ア )の君主ディザブロスに請願した。彼はこれを承諾してソグド人を使節として派遣した。ところが、ペルシア王は、彼らが領内で絹を売ることを許可しなかった。
そこでソグド人の首領マニアクは、ディザブロスに次のように進言した。「東ローマと友好関係を築き、彼らに絹を売る方が良い。彼らほど多くの絹を使う人たちはいないからである。」ディザブロスはこの提案に賛成し、マニアクほか数名を使者としてコンスタンティノープルの皇帝のもとに派遣した。マニアクたちは皇帝への挨拶と、高価な生糸の贈り物と手紙を携えていった。この結果、東ローマと( ア )との間に攻守同盟が結成された。
Aの文章中の( ア )に入れる語あ~うと、資料1・2から読み取れるソグド人と中央アジアの遊牧国家との関係について述べた文X・Yとの組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
(ア)に入れる語
あ 突厥
い セルジューク朝
う ウイグル
資料1・2から読み取れるソグド人と中央アジアの遊牧国家との関係について述べた文
X ソグド人が、遊牧国家の外交を担っている。
Y ソグド人が、遊牧国家を従属させて、勢力の拡大を図っている。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問16(世界史B(第4問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
A 次の資料1は、あるトルコ系の国家( ア )について述べた中国の史書の一節である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)また、資料2は、( ア )と東ローマ帝国との間で行われた交渉について、東ローマ帝国の歴史家が残した記録の概略である。なお、資料1・2は、どちらも同じ世紀に起こった事柄について述べている。
資料1
( ア )は富強となり、中国を軽んずるようになった。北周は( ア )と和親を結び、毎年、十万段もの絹を贈った。北斉もまた、( ア )からの侵略を恐れ、宮中の倉にある限りの財物を贈った。( ア )の君主は、配下の者たちにこの状況を例えて言った。「我々に南方の二人の孝行息子がいる限り、何の憂いもない。」
資料2
568年の初め、( ア )の使節たちがコンスタンティノープルに到着した。この時、勢力が増大した( ア )に従属していたソグド人は、「ペルシアへ使節を派遣し、自分たちがペルシアで絹を売る許可を得て欲しい」と、( ア )の君主ディザブロスに請願した。彼はこれを承諾してソグド人を使節として派遣した。ところが、ペルシア王は、彼らが領内で絹を売ることを許可しなかった。
そこでソグド人の首領マニアクは、ディザブロスに次のように進言した。「東ローマと友好関係を築き、彼らに絹を売る方が良い。彼らほど多くの絹を使う人たちはいないからである。」ディザブロスはこの提案に賛成し、マニアクほか数名を使者としてコンスタンティノープルの皇帝のもとに派遣した。マニアクたちは皇帝への挨拶と、高価な生糸の贈り物と手紙を携えていった。この結果、東ローマと( ア )との間に攻守同盟が結成された。
Aの文章中の( ア )に入れる語あ~うと、資料1・2から読み取れるソグド人と中央アジアの遊牧国家との関係について述べた文X・Yとの組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
(ア)に入れる語
あ 突厥
い セルジューク朝
う ウイグル
資料1・2から読み取れるソグド人と中央アジアの遊牧国家との関係について述べた文
X ソグド人が、遊牧国家の外交を担っている。
Y ソグド人が、遊牧国家を従属させて、勢力の拡大を図っている。
- あ ― X
- あ ― Y
- い ― X
- い ― Y
- う ― X
- う ― Y
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この過去問の解説 (1件)
01
・資料1:「北周」「北斉」と外交している → 6世紀(中国南北朝時代末期)
・資料2:568年に「東ローマ帝国」と外交
これらに合うのは、突厥(とっけつ)です。
→ 「突厥」は6世紀に中央ユーラシアで大帝国を築いたトルコ系遊牧国家です。
資料2より:
・ソグド人は突厥に従属している(突厥に許可をもらって外交している)
・ソグド人が外交使節として東ローマに行った(=外交を担当)
つまり、ソグド人は突厥に従属しつつ、その外交活動を支えている
→「ソグド人が、遊牧国家の外交を担っている。」と言えます。
正しい組み合わせです。突厥のもとで、ソグド人は外交活動を担っていました。【正解】
ソグド人が突厥を従属させたわけではないので誤りです。
セルジューク朝は11世紀の王朝で、時代が合いません。
セルジューク朝は11世紀の王朝で、時代が合いません。
ウイグルは8世紀の勢力であり、時代が異なります。
ウイグルでもなく、またソグド人が支配したわけでもありません。
突厥は6世紀、中央アジアを支配し、中国の北周・北斉、東ローマ帝国などと積極的に外交を展開しました。
この過程で、商業に長けたソグド人たちは突厥に従属しつつ、外交活動の担い手として活躍しました。
彼らは絹交易を背景に、東西交易路(シルクロード)で大きな役割を果たしました。
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