貸金業務取扱主任者 過去問
令和4年度(2022年)
問42 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問15)

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問題

貸金業務取扱主任者試験 令和4年度(2022年) 問42(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

不当利得及び不法行為に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。
  • 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
  • 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権を除き、不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
  • 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした受益者は、善意であるか悪意であるかを問わず、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。
  • 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

不法行為とは、人に損害を与えたときに、その責任を取って損害を賠償しなければならないというルールです。
不当利得は、正当な理由もないのに得をしてしまった場合、その分を返すべきという考え方です。

選択肢1. 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。

正しいです。
数人が一緒になって人に損害を与えた場合、被害者にとって不利にならないよう、全員が連帯して責任を負います
つまり、誰か一人に請求してもよく、そのあとで加害者どうしが調整すればよい、という仕組みです。

選択肢2. 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権を除き、不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。

正しいです。
不法行為による損害賠償請求は、基本的に損害と加害者を知ったときから3年以内に請求しなければなりません。
また、加害者を知らなくても、不法行為そのものから20年経つと、時効で請求できなくなります
ただし、人の命や体に関する損害については特別な扱いになっています。

選択肢3. 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした受益者は、善意であるか悪意であるかを問わず、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。

誤りです。
不当利得については、たとえその人に悪気がなかった(善意だった)としても、受けた利益は返さなければならないというのが基本です。
ただし、利息を付けて返すかどうかは、善意か悪意かで違ってきます。
この選択肢では「善意か悪意かを問わず、利息を付けて返さなければならない」とありますが、これは誤りです。
善意の受益者は、利息を付けて返す義務まではないというのが民法の考え方です。

選択肢4. 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。

正しいです。
たとえまだ支払期限が来ていない借金を先に払ってしまっても、普通は返してとは言えません。
ただし、間違って払った場合(錯誤)には、その分を返してもらえる可能性があります

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02

不当利得及び不法行為について、基本的事項を理解しましょう。

選択肢1. 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。

適切です。

 

共同不法行為の場合、加害者全員が連帯して責任を負うため、被害者は、加害者の一人に対して全額の損害賠償を請求することができます(民法719条1項)。

選択肢2. 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権を除き、不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。

適切です。

 

不法行為による損害賠償請求権の時効は、知った日から3年または不法行為の時から20年の制限があります(民法724条)。

選択肢3. 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした受益者は、善意であるか悪意であるかを問わず、その受けた利益に利息を付して返還する義務を負う。

適切ではありません。

 

不当利得の返還義務は、受益者の善意・悪意によって異なります。善意の受益者は、原則として現存利益のみを返還すればよく、悪意の受益者は、受けた利益全額に利息を付して返還し、さらに損害賠償の責任を負うことになります(民法706条)。

選択肢4. 債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。

適切です。

 

弁済期前に支払われた債務は、原則として返還請求できません。ただし、債務者が錯誤で支払った場合は、債権者は、その利益を返還する必要があります(民法76条)。

まとめ

不当利得の返還義務については、受益者の善意・悪意によって異なる点に注意が必要です。

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