2級電気工事施工管理技士 過去問
令和6年度(2024年)前期
問22 (2 問10)

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問題

2級電気工事施工管理技士試験 令和6年度(2024年)前期 問22(2 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

キュービクル式高圧受電設備に関する記述として、「日本産業規格(JIS)」上、不適当なものはどれか。
  • PF・S形の地絡の保護には、高圧限流ヒューズ(PF)を使用する。
  • PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易、かつ、確実に接地できるものとする。
  • CB形の過電流の検出には、変流器(CT)と過電流継電器(OCR)を使用する。
  • CB形においては、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器(DS)を設ける。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、キュービクル式高圧受電設備における「CB形(遮断器形)」「PF・S形(ヒューズ併用開閉器形)」の構成や保護機能について、JIS(日本産業規格)で求められる内容に沿っているかどうかを確認するものです。

選択肢1. PF・S形の地絡の保護には、高圧限流ヒューズ(PF)を使用する。

不適当な記述です。
PF(Power Fuse)は短絡保護に用いられるものであり、地絡(1本の線が地面に触れる)事故の検出・遮断には向いていません
地絡事故の保護には、零相変流器(ZCT)や地絡継電器(GR)を使って検出し、S(高圧開閉器)を動作させて遮断するのが正しい構成です。

 

この問題は、不適当なものを選ぶ問題なので、この選択肢が正解です。

選択肢2. PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易、かつ、確実に接地できるものとする。

適切な記述です。
保守時の感電事故を防ぐため、主遮断装置の電源側を短絡・接地できる仕組みが必要です。

JISでもこれが求められています。

選択肢3. CB形の過電流の検出には、変流器(CT)と過電流継電器(OCR)を使用する。

適切な記述です。
CB(遮断器)は電磁的に遮断動作を行う装置であり、CTで電流を取り出し、OCRで過電流を検出してCBに遮断指令を出します

選択肢4. CB形においては、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器(DS)を設ける。

適切な記述です。
断路器(DS)は遮断能力はありませんが、電路を目に見える形で開放できるため、保守点検時の安全確保に使われます

まとめ

高圧限流ヒューズ(PF)は、地絡保護ではなく短絡保護に使うものです。
地絡には専用の検出装置が必要です。他の選択肢はJISに基づいた適切な記述です。

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02

キュービクル受電設備とは、発電所から送られてくる高圧の電気を、一般向けの施設や家庭で利用できる電圧に変換する設備です。

選択肢1. PF・S形の地絡の保護には、高圧限流ヒューズ(PF)を使用する。

誤った内容です。

PF・S型とは、高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(以下LBS)を組み合わせて主遮断装置とした受電方式です。


一般に漏電や地絡が発生した場合は、LBSと、地絡継電器(GR)の組みあわせで電気の供給を遮断します。

しかし、LBS単体では、負荷電流の開閉しか対応していない為、短絡電流や、過負荷が生じた際に回路を保護する機能は持ち合わせていません。そこで、限流ヒューズ付モデルとして採用されたのがPF・S型です。

 

短絡(ショート)や過負荷(定格以上の電流負荷)が発生した場合は、ヒューズが切れることで機器類を保護します。

従って、高圧限流ヒューズ(PF)は、短絡、並びに過負荷保護用であり、地絡保護には使用されません

選択肢2. PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易、かつ、確実に接地できるものとする。

正しい内容です。

保守点検の安全性の面から、JISで「短絡接地器具による構造」が求められています。

選択肢3. CB形の過電流の検出には、変流器(CT)と過電流継電器(OCR)を使用する。

正しい内容です。

計器用変成器には、CT(変流器)の他に、VT(計器用変圧器と2種類のものがあります。

 

VTは、高電圧を計器や継電器に必要な扱い易い電圧(一般的には110V)に変換します。

 

それに対して、

CTは、大電流を扱い易い電流(一般的には5A)に変換します。


過電流保護器(OCR)は、Over Current Relayの略で、CTによって取り出された高圧電路の短絡や過負荷による過電流を検出して、回路に事故電流が入らないようにスイッチを切り替えて※遮断器(CB)を動作させる役割があります。

 

※については、「CB形においては、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器(DS)を設ける。」の選択肢解説で後述致します。

選択肢4. CB形においては、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器(DS)を設ける。

正しい内容です。

保守作業の安全性の観点から、断路器(DS)を開放しておく必要があります。

 

補足

CB型の特徴として、前述の選択肢3でも述べた通り、短絡事故が発生した場合、OCRが検出し、遮断器(CB)によって事故電路を切り離す役割があります。

まとめ

ここで、さらなる整理の為、断路器(DS)開閉器遮断器(DS)について補足します。

 

・断路器(DS)

ディスコンとも呼びます。

断路器(DS)とは、負荷電流が流れていない状態で回路を供給側から電流を遮断しておくための器具のことです。

ただし、断路器そのものに、負荷電流や、短絡電流を遮断しておく機能はないので注意しましょう。

 

・開閉器

開閉器は、負荷電流が流れている状態でも遮断できる装置です。

しかし、短絡電流は遮断できないため、回路をショートから保護する機能はありません。

開閉器には、以下の3種類が一般的に使用されます。

 

VMC(真空電磁接触器)

LBS(高圧交流負荷開閉器)

PAS(気中負荷開閉器)

 

・遮断器(DS)

遮断器は、負荷電流の遮断、短絡電流の遮断が可能です。

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