2級電気工事施工管理技士 過去問
令和6年度(2024年)前期
問8 (1 問8)

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問題

2級電気工事施工管理技士試験 令和6年度(2024年)前期 問8(1 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

架空送電線路において、単導体と比較した多導体の特徴として、最も不適当なものはどれか。
  • 送電容量が増加する。
  • 静電容量が減少する。
  • コロナ損失が減少する。
  • 風圧や氷雪荷重が増加する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、多導体(バンドル導体)を使った送電線の特徴について理解しているかを問うものです。

 

まず、多導体とは、1つの相(相とは電線1本のこと)に対して複数の導線を束ねて使う方法です。超高圧送電などでよく用いられます。

それぞれの選択肢を見ていきます。

選択肢1. 送電容量が増加する。

正しい記述です。
多導体にすると電線のインピーダンス(抵抗のようなもの)が減るため、大きな電流を流しやすくなり、送電容量が増えます

選択肢2. 静電容量が減少する。

誤った記述です。
多導体にすると導体の表面積が増えるため、むしろ静電容量は増加します

静電容量は、電線と地面の間で電気をためる性質を表す量です。

 

この問題は、最も不適当なものを選ぶので、この選択肢が正解です。

選択肢3. コロナ損失が減少する。

正しい記述です。
多導体にすることで、1本あたりの電圧が下がり、電線の周りにできる電界が弱くなるため、空気が放電する現象(コロナ放電)が起きにくくなります。その結果、コロナ損失が減ります。

選択肢4. 風圧や氷雪荷重が増加する。

正しい記述です。
導体が複数になると、表面積が大きくなるため風の影響や雪・氷の重みが増えます

そのぶん支持構造も強くする必要があります。

まとめ

多導体にすると送電性能は向上しますが、静電容量が減るというのは誤りです。

実際には増加します。残りの選択肢は、多導体の導体数や形状によって当然見られる現象です。

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02

単導体とは、一本の銅線を指し、多導体とは、複数の銅線を使用した導体方式を指します。

そして、架空電線では、電力損失を減らし、効率的に送るため多導体方式を採用することがあります。

選択肢1. 送電容量が増加する。

正しい内容です。

多導体を使用すると、線路インピーダンスが減少するため、送電容量が増加します。

線路インピーダンスとは、送電線や、配電線を流れる電流に対して生じる電気的な抵抗やリアクタンスの総合的な値を指します。

リアクタンスとは、交流回路において、電流の流れを妨げる要因のことを指します。

直流回路では、抵抗のみが電流の流れを制限しますが、交流回路では、コイルによるインダクタンスや、コンデンサによるキャパシタンスが追加の影響を与え、それをリアクタンスと呼びます。単導体の場合は、磁界が全て一本の銅線にかかるため、インダクタンスが大きくなります。複数の導体を並列に配置することで、磁界が互いに打ち消しあい、単導体の場合と比較してインダクタンスが低減されます。

従って、インピーダンスを低減し、送電容量が増加します。

選択肢2. 静電容量が減少する。

誤りです。

多導体方式では、静電容量は増加します。

選択肢3. コロナ損失が減少する。

正しい内容です。

コロナ損失とは、コロナ放電によるエネルギー損失です。コロナ放電とは、送電線の周囲に発生する高い電界強度によって、空気中の分子が電離し、発生する放電現象です。

 

電界は、下記の関係式で成り立ちます。

 

E = V / r

 

E: 電界強度(V/m)

V: 導体の電位(V)

r: 導体の半径(m)

 

上記の関係式から、導体の半径が小さいほど、電界が集中しやすく強度が増すので、コロナ放電は、発生しやすくなります。

選択肢4. 風圧や氷雪荷重が増加する。

正しい内容です。

多導体方式では、導体本数が増えるため、風による風圧荷重や、降雪や氷雪による荷重が増加します。

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