第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問78 (法規 問12(b))
問題文
進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし、直列リアクトルSRのリアクタンスXL[Ω]は、三相コンデンサSCのリアクタンスXC[Ω]の6%とするとき、次の問に答えよ。
ただし、高圧電路の線間電圧は6600Vとし、無効電力によって電圧は変動しないものとする。
進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し、力率を遅れ0.6から遅れ0.8に改善した。このとき、この設備の三相コンデンサSCの容量の値[kvar]として、最も近いものを次のうちから一つ選べ。

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問題
第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問78(法規 問12(b)) (訂正依頼・報告はこちら)
進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし、直列リアクトルSRのリアクタンスXL[Ω]は、三相コンデンサSCのリアクタンスXC[Ω]の6%とするとき、次の問に答えよ。
ただし、高圧電路の線間電圧は6600Vとし、無効電力によって電圧は変動しないものとする。
進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し、力率を遅れ0.6から遅れ0.8に改善した。このとき、この設備の三相コンデンサSCの容量の値[kvar]として、最も近いものを次のうちから一つ選べ。

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この過去問の解説 (3件)
01
三相3線式高圧電路にコンデンサ設備を接続し、力率改善した後の三相コンデンサの容量を求める計算問題です。
この問題を解くにあたり、以下の知識が必要となります。
・三角関数の関係
sinθ=√(1−cos2θ)
tanθ=sinθ/cosθ
・有効電力、皮相電力、無効電力の関係
有効電力、皮相電力、無効電力は以下の図で表すことができます。
この問題では、無効電力について問うているので、無効電力の式のみをピックアップすると、
Q=Ptanθ
となります。
◆力率改善前の無効電力を求めます
Q=Ptanθ
=P(sinθ/cosθ)
=P{√(1−cos2θ)/cosθ}
=6600✕{√(1−0.62)/0.6}
=6600✕(0.8/0.6)
=400[kvar]
◆力率改善後の無効電力を求めます
Q'=Ptanθ'
=P(sinθ'/cosθ')
=P{√(1−cos2θ')/cosθ'}
=6600✕{√(1−0.82)/0.8}
=6600✕(0.6/0.8)
=255[kvar]
◆進相コンデンサ設備の容量を求めます
QC=Q−Q'
=400−225
=175[kvar]
※この値には、直列リアクトル成分が含まれています!!
◆三相コンデンサの容量を求めます
前問の分圧の法則と同じ考え方で、三相コンデンサの容量を求めます。
前問より、直列リアクタンスはjXL=j0.06XC、三相コンデンサは−jXCと表すことができるので、
QSC={(−jXC)/(jXL−jXC)}✕QC
={(−jXC)/(j0.06XC−jXC)}✕QC
={(
−jXC)/(−j0.94XC)}✕QC=175/0.94
≒186.18[kvar]
→186[kvar]
となります。
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02
前問からの引き続きとなり三相コンデンサSCの容量の値、すなわち無効電力Q[kvar]を求める計算問題となります。
無効電力は次のような公式で求めることができます。
・Q=√S2-P2[var]‥①
※S:皮相電力[VA]、P:有効電力[W]
・Q=√3VI×sinθ[var]‥②
※V:線間電圧、I:線電流、sinθ=√12-cosθ2
・Q=3I2X[var]‥③
※X:リアクタンス[Ω]
まず問題を解く手順として、進相コンデンサーを並列に接続する前の無効電力Q0を求めます。条件として消費電力(有効電力)300kWに遅れ力率0.6なので皮相電力は次のようになります。
・S=P/cosθ=300/0.6=500[KVA]
続いて無効電力Q0は次のようになります。(上記①式を利用します。)
・Q0=√5002-3002=400[Kvar]
次は進相コンデンサーを並列に接続した後の無効電力Q1を求めます。条件として消費電力(有効電力)300kWに遅れ力率0.8なので皮相電力は次のようになります。
・S=P/cosθ=300/0.8=375[KVA]
続いて無効電力Q0は次のようになります。(上記①式を利用します。)
・Q1=√3752-3002=225[Kvar]
以上より進相コンデンサー接続後の全体無効電力Qは次のようになります。
・Q[Kvar]=Q0-Q1=400-225=175[Kvar]
進相コンデンサー全体の無効電力Qは直列リアクトルSRのリアクタンスXLで消費されるQLと三相コンデンサSCのリアクタンスXC で消費されるQCのベクトル和で構成され、式で表すと次のようになります。
・Q[Kvar]=QC-QL‥④
※直列リアクトルSRは遅れの無効電力となり、三相コンデンサSCは進みの無効電力となります。
QCとQLを上記③式を用いて表すと次の用になります。
・QC=3I2XC[var]
・QL=3I2XL[var]
さらに前問よりXL=0.06XCとなっているのでQLは次のようにも表せます。
・QL´=3I20.06XC[var]
以上の結果を上記④式に代入すると次のように表せます。
・Q=3I2XC-3I20.06XC[var]
※QC=3I2XCなのでつぎのように変換します。
・Q=QC-0.06QC=0.94QC[var]
Q=175[Kvar]となっているので、上記式に代入しQCを求めると次のようになります。
・175=0.94QC
・QC=175/0.94≒186[Kvar]
よって三相コンデンサSCの容量の値は186[Kvar]となります。
こちらが適切な解答となります。
進相コンデンサ設備は力率改善のために用いられる設備で、その中でも直列リアクトルは機器に悪影響を与える高調波を抑制する働きとなります。問題の計算過程からも分かるようにインピーダンス内の遅れ電流と進み電流を打ち消し合う事で無効電力を減少させ電力の安定供給につなげています。
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03
この問題は、与えられた情報から力率改善後の三相コンデンサSCの容量を求めるものです。
力率改善前の無効電力Q1を求めます。
無効電力Q1は、負荷Pを用いて以下の式で表されます。
Q1=P x tanθ1
改善前の力率はcosθ1=0.6なので、sinθ1=√(1 - 0.62)=0.8です。
よって、
Q1=300 x 0.8/0.6=400[kvar]
同様に、力率改善後の無効電力Q2を求めます。
Q2=P x tanθ2
改善後の力率はcosθ2=0.8なので、sinθ2=√(1 - 0.82)=0.6です。
よって、
Q2=300 x 0.6/0.8=225[kvar]
力率改善に必要な無効電力Qは、
Q=Q1 - Q2=400 - 225=175[kvar]
直列リアクトルの無効電力は三相コンデンサの6%なので、これを加えると、
175 + 175 x 0.06=185.5=186[kvar]
改善前後の力率から、必要な無効電力を求められるようにしておきましょう。
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