第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問43 (機械 問1)
問題文
直流機では固定子と回転子の間で直流電力と機械動力の変換が行われる。この変換を担う機構の一種にブラシと整流子とがあり、これらを用いた直流機では通常、界磁巻線に直流の界磁電流を流し、( ア )を回転子とする。
このブラシと整流子を用いる直流機では、電機子反作用への対策として補償巻線や補極が設けられる。ブラシと整流子を用いる場合には、補極や補償巻線を設けないと、電機子反作用によって、固定子から見た( イ )中性軸の位置が変化するために、これに合わせてブラシを移動しない限りブラシと整流子片との間に( ウ )が生じて整流子片を損傷するおそれがある。なお、小形機では、補償巻線と補極のうち( エ )が一般的に用いられる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
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問題
第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問43(機械 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
直流機では固定子と回転子の間で直流電力と機械動力の変換が行われる。この変換を担う機構の一種にブラシと整流子とがあり、これらを用いた直流機では通常、界磁巻線に直流の界磁電流を流し、( ア )を回転子とする。
このブラシと整流子を用いる直流機では、電機子反作用への対策として補償巻線や補極が設けられる。ブラシと整流子を用いる場合には、補極や補償巻線を設けないと、電機子反作用によって、固定子から見た( イ )中性軸の位置が変化するために、これに合わせてブラシを移動しない限りブラシと整流子片との間に( ウ )が生じて整流子片を損傷するおそれがある。なお、小形機では、補償巻線と補極のうち( エ )が一般的に用いられる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
- ア:界磁 イ:電気的 ウ:火花 エ:補償巻線
- ア:界磁 イ:幾何学的 ウ:応力 エ:補極
- ア:電機子 イ:幾何学的 ウ:応力 エ:補償巻線
- ア:電機子 イ:電気的 ウ:火花 エ:補償巻線
- ア:電機子 イ:電気的 ウ:火花 エ:補極
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この過去問の解説 (3件)
01
直流機の原理に関する穴埋め問題です。
(ア)電機子
一般的な直流機は、界磁を固定し、電機子を回転させます。
(イ)電気的、(ウ)火花
電機子反作用では、
・主磁束の現象による起電力の減少
・整流の不具合による電気的中性軸の移動
・整流子間で火花が発生
といった不具合が起こります。
(エ)補極
補償巻線は大形機、補極は小形機に使用されます。
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02
直流機に関する知識問題となります。
まず直流機の原理・構造は磁石のN極とS極の間(いわゆる磁界の中)に方形コイル(四角いコイル)を置き、発電機であれば外部からの力でコイルを回転させ起電力を発生させる(フレミング右手の法則)。電動機であれば直流電流を流してトルク(回転力)を発生させます(フレミング左手の法則)。その中で直流機において固定子にあたる部分は界磁(磁石)となり、回転子はコイル。すなわち電機子となります。電機子にはブラシと整流子を取り付けます。これはコイルを回転させる事によって発生する交流起電力を整流子で電流の方向を定期的に切替え直流電力を生み出します。よって空白箇所( ア )は電機子が入ります。
電機子反作用とは電機子(コイル)に電流が流れた際に右ネジの法則によって磁束が発生し、その磁束が固定子(磁界)から発生られる界磁磁束にも影響を与えてしまう現象を言います。界磁磁束は電機子に電流が流れていない状態ではコイルの磁束と平行に移動するので起電力は発生しません。この時の軸を幾何学的中性軸と呼びます。ところが電機子に電流が流れると、界磁磁束とは別の磁束が発生し、その二つの磁束をベクトル合成すると磁束分布が偏ってしまう偏磁作用が起こり中性軸が移動してしまいます。この時の中性軸を電気的中性軸と呼びます。よって空白箇所( イ )は電気的が該当します。
電機子反作用による悪影響の一つとして電気的中性軸の移動があり、起電力が発生しているコイルをブラシで短絡してしまい火花が生じてしまいます。よって空白箇所( ウ )は火花が該当します。
電機子反作用の対策として、ブラシの移動、補償巻線の適用、補極の設置があります。補償巻線は電機子に流れる電流と、逆に流れる電流を流す事により磁束を打ち消してくれる役割があります。電機子巻線と直列に接続する事で成り立ちますが、規模が大きくなるので主に大形機で採用されます。補極は主磁極とは別途に幾何学的中性軸上に設ける磁極を言います。この補極を設ける事で幾何学的中性軸上で磁束を打ち消し、整流時のリアクタンス電圧も打ち消してくれます。比較すると構造が簡易的なので主に小形機で採用されています。よって空白箇所( エ )は補極が該当します。
こちらが適切な解答となります。
直流機分野の中でも電機子反作用に関する問題は頻出しております。発生源と対策は重要なので過去問などで学習していきましょう。
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03
この問題は、直流機の構造を原理を問うものです。
空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる語句は以下のとおりです。
ア:電機子 イ:電気的 ウ:火花 エ:補極
直流機では固定子と回転子の間で直流電力と機械動力の変換が行われる。この変換を担う機構の一種にブラシと整流子とがあり、これらを用いた直流機では通常、界磁巻線に直流の界磁電流を流し、(ア:電機子)を回転子とする。
このブラシと整流子を用いる直流機では、電機子反作用への対策として補償巻線や補極が設けられる。ブラシと整流子を用いる場合には、補極や補償巻線を設けないと、電機子反作用によって、固定子から見た(イ:電気的)中性軸の位置が変化するために、これに合わせてブラシを移動しない限りブラシと整流子片との間に(ウ:火花)が生じて整流子片を損傷するおそれがある。なお、小形機では、補償巻線と補極のうち(エ:補極)が一般的に用いられる。
ア:直流機では、電機子が回転子で、界磁が固定子です。
イ:電機子反作用によって変化するのは、電気的中性軸の位置です。幾何的中性軸は固定されています。
ウ:ブラシと整流子片との間に生じるのは火花です。
エ:小型機では一般的に構造が簡単な補極が用いられます。
直流機の構成要素とそれらの役割を把握することが重要です。
電機子反作用とその対策、補償巻線と補極の役割も理解しておきましょう。
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