中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問212 (中小企業経営・中小企業政策 問19(1))

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問212(中小企業経営・中小企業政策 問19(1)) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

中小企業診断士のX氏は、機械器具卸売業(資本金2,000万円、従業員数120人)の社長のY氏から、「われわれ中小企業は、独力では退職金制度をもつことが難しい。退職金制度の整備に関する支援施策があれば教えてほしい。」との相談を受けた。X氏は、一般の中小企業退職金共済制度を、Y氏に紹介することとした。
以下は、X氏とY氏との会話である。

X氏:「中小企業退職金共済制度という支援制度があります。この制度は、独力では退職金制度をもつことが困難な中小企業について、退職金制度の整備を支援するものです。」
Y氏:「中小企業退職金共済制度ですか。初めて聞きました。われわれ中小企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。」
X氏:「掛金は全額非課税で、掛金の負担軽減措置も設けられていますよ。」Y氏:「掛金の負担軽減について、もう少し具体的に教えていただけますか。」
X氏:「( A )に対して、( B )を従業員ごとに加入後4か月目から1年間、国が助成します。18,000円以下の掛金を増額する事業主に対しては、増額分の3分の1を増額した月から1年間、国が助成してくれます。」
Y氏:「それはいいですね。利用を検討してみたいと思います。」

文中の下線部に関するX氏からY氏に対する説明として、最も適切なものはどれか。
  • 1年以上継続して事業を行っていることが条件になります。
  • いわば「経営者の退職金制度」です。
  • 短時間労働者には、一般の従業員より低い特例掛金月額を設けています。
  • 臨時に事業資金を必要とするときは、解約手当金の範囲内で貸付けを受けることができます。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、中小企業退職金共済制度(中退共制度)に関する内容について、適切な説明を選ぶ必要があります。

 

 

中小企業退職金共済制度(中退共制度)の特徴

・中小企業向けの退職金制度で、国が支援しています。

・掛金は全額非課税であり、事業者の負担を軽減する措置が設けられています。

・掛金の助成があり、新規加入や掛金増額時には国からの補助を受けることができます。

・短時間労働者には特例掛金月額が設定されているため、フルタイム労働者と異なる掛金設定が可能です。

選択肢1. 1年以上継続して事業を行っていることが条件になります。

【不適切】

中退共制度は、設立間もない企業でも加入可能であり、「1年以上の継続事業」が条件とはなっていません。

選択肢2. いわば「経営者の退職金制度」です。

【不適切】

中退共制度は従業員向けの退職金制度であり、経営者は対象外です。

選択肢3. 短時間労働者には、一般の従業員より低い特例掛金月額を設けています。

【適切】

実際に短時間労働者向けに特例掛金月額が設定されています。

企業の負担を軽減するため、フルタイム労働者とは異なる掛金設定が可能です。

選択肢4. 臨時に事業資金を必要とするときは、解約手当金の範囲内で貸付けを受けることができます。

【不適切】

中退共制度には、貸付制度はありません。

退職金として積み立てられるものであり、事業資金の貸付制度とは異なります。

まとめ

中小企業退職金共済制度は、中小企業が従業員の退職金を積み立てる制度です。特に、短時間労働者向けには特例掛金が設定されており、企業の負担を軽減する仕組みが整っています。

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02

中小企業で導入することができる退職金制度に関する問題です。

 

退職金制度については本問で問われている中小企業退職金共済制度(以下、中退共)を含めて3つあり、いわゆる「三共済」と呼ばれています。中小企業や個人事業主の節税手段として活用されています。

 

以下に、それぞれの制度の特徴を挙げます。

 

・中退共

「従業員向け」の退職金制度

掛金の一部を国が助成してくれる制度がある(短時間労働者の特例掛金月額については、助成額を上乗せ

掛金は、損金または必要経費として全額非課税

従業員が退職した場合は、中退共が退職した従業員に直接退職金を支払う

 

・小規模企業共済制度

「経営者向け」の退職金制度

月々の掛金は500円単位で、1,000~70,000円まで自由に設定可能

確定申告の際に、全額を課税対象所得から控除可能

 

・中小企業倒産防止共済制度(以下、経営セーフティ共済)

事業資金が必要になったときに資金調達手段として利用可能
無担保・無保証人

掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れ可能
掛金は損金または必要経費に算入可能
1年以上継続して事業活動を行っていれば加入可能

解約の際に、掛金を納付した月数に応じて解約手当金が受け取れる

選択肢1. 1年以上継続して事業を行っていることが条件になります。

冒頭の解説より、経営セーフティ共済の記述であるため不適切な選択肢です。

選択肢2. いわば「経営者の退職金制度」です。

冒頭の解説より、小規模企業共済制度の記述であるため不適切な選択肢です。

選択肢3. 短時間労働者には、一般の従業員より低い特例掛金月額を設けています。

冒頭の解説より、中退共の記述であるため正解の選択肢となります。

選択肢4. 臨時に事業資金を必要とするときは、解約手当金の範囲内で貸付けを受けることができます。

冒頭の解説より、経営セーフティ共済の記述であるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

本問の正解の選択肢では中退共のやや細かい論点を問われていますが、他の選択肢との比較から消去法で正答することが可能です。

 

過去問題では、この3つの退職金制度の運営主体を問う出題パターンもあります。「中退共」は独立行政法人勤労者退職金共済機構、「小規模企業共済制度」と「経営セーフティ共済」は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です。

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