中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問158 (経営法務 問22)
問題文
不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問158(経営法務 問22) (訂正依頼・報告はこちら)
不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 景表法第5条第1号に規定するいわゆる優良誤認表示とは、商品・役務の価格その他の取引条件についての不当表示を意味する。
- 広告であるにもかかわらず広告であることを隠すこと(いわゆるステルスマーケティング)は、景表法の規制対象に含まれている。
- 口頭でのセールストークは、景表法上の「表示」に含まれない。
- 不動産の取引に関する広告については、取引の申出に係る不動産が存在すれば、実際には取引する意思がなかったとしても、景表法違反にはならない。
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この過去問の解説 (2件)
01
不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景表法」という。)に関する問題です。
景表法第5条第1号に規定するいわゆる有利誤認表示とは、商品・役務の価格その他の取引条件についての不当表示を意味します。
有利誤認表示の例としては、ツアー旅行などで今月中は割引価格で申し込めると謳っておきながら、翌月以降も割引価格で申し込みを受け付けて消費者を誤認させることが挙げられます。
優良誤認表示は、商品・役務の品質や規格についての不当表示(外国産の牛肉を国産ブランドA5ランク牛肉などと偽り、実際よりも優れていると消費者を誤認させること)であるため、不適切な選択肢です。
ステルスマーケティングが景表法の規制対象に含まれていることは、最も適切な記述です。
ステルスマーケティングは消費者を誤認させる行為であり、令和5年10月1日から景品表示法違反となっているため正解の選択肢となります。
口頭でのセールストークは、景表法上の「表示」に含まれます。
口頭でのセールストークには、電話でのセールス、利用者の体験談、実演販売などでの売り文句などが含まれるため、不適切な選択肢です。
不動産の取引に関する広告については、取引の申出に係る不動産が存在していて、実際には取引する意思がなかったとしても景表法違反となります。
類似の例として、某回転寿司チェーン店を運営する企業が、CMで放送した料理を提供できない日があることを知りながら、消費者には周知させていなかったとして景表法違反と判断されたことがあります。
本選択肢のような「おとり広告」も景表法違反となるため、不適切な選択肢です。
【補足】
景表法では、本問の論点以外にも、懸賞(一般、共同、総付景品)の取引価額や限度額を一覧にして、数字の箇所を穴埋め形式で問う問題が出題されています。
日々のニュースを見ていても、各選択肢で挙げたような事例が毎年何度か発生していることから、今後も高い頻度で出題され続けるのではないかと思われます。
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02
本問は不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に関する基本的な知識を問う問題です。景表法は消費者庁が所管する法律であり、不当な表示や過大な景品類の提供を規制することで、消費者の自主的かつ合理的な選択を確保し、一般消費者の利益を保護することを目的としています。特に近年は、インターネット広告の普及により新たな形態の不当表示も規制対象となっており、ビジネスを行う上で正確な理解が重要です。
この選択肢は誤りです。景表法第5条第1号に規定するのは「優良誤認表示」であり、これは商品・役務の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示し、または事実に相違して当該事業者と同種もしくは類似の商品・役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示を意味します。
選択肢では「価格その他の取引条件についての不当表示」と説明していますが、これは景表法第5条第2号に規定される「有利誤認表示」に該当します。有利誤認表示とは、商品・役務の価格その他の取引条件について、実際のものや他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させる表示を指します。
このように、優良誤認表示と有利誤認表示は異なる概念であるため、この選択肢は誤りです。
この選択肢は正しいです。いわゆるステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す行為を指し、令和5年(2023年)10月1日から景表法の規制対象に含まれることになりました。
消費者庁は「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が広告であることを判別することが困難であると認められるもの」を不当表示として規制しています。例えば、事業者から金銭的利益の提供を受けているインフルエンサーが、その事実を明示せずに商品の推奨を行うような場合が該当します。
これは消費者が「一般の利用者による客観的な評価」と誤認することで不当に誘引される可能性があるため、規制の対象となりました。この改正は近年のデジタル広告の多様化に対応したものとして重要です。
この選択肢は誤りです。景表法上の「表示」には、口頭でのセールストークも含まれます。
景表法第2条第4項では、「表示」について「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するもの」と定義しています。そして、「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)において、口頭による表示も含まれることが明示されています。
したがって、電話でのセールス、店頭でのセールストーク、実演販売における説明なども景表法上の「表示」に含まれ、不当な表示であれば規制対象となります。
この選択肢は誤りです。不動産の取引に関する広告において、取引の意思がない物件を広告に掲載する行為は、いわゆる「おとり広告」として景表法違反となります。
「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産公正取引協議会連合会)では、実際には取引する意思がない物件を広告することは「おとり広告」として禁止されています。たとえ広告に掲載されている不動産が実在していても、事業者に取引する意思がない場合は景表法違反となります。
この規制は、消費者を誘引するために実際には取引できない物件を広告する不当な取引慣行を防止するためのものです。
本問の正解は選択肢2です。
景表法は消費者保護の観点から、商品・役務の取引における不当な表示を規制する法律です。主な不当表示の類型としては:
優良誤認表示(第5条第1号):商品・役務の品質等が実際よりも著しく優良であると誤認させる表示
有利誤認表示(第5条第2号):取引条件等が実際よりも著しく有利であると誤認させる表示
その他誤認されるおそれのある表示(第5条第3号):一般消費者に誤認されるおそれがあると認められる表示
さらに、令和5年の法改正により、ステルスマーケティングも規制対象に追加されました。これは、デジタル広告の多様化に伴い、消費者保護の観点から規制が拡大されたものです。
景表法違反に対しては、措置命令や課徴金納付命令などの行政処分が行われる可能性があり、企業にとっては法令遵守の重要性が高まっています。
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