中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問148 (経営法務 問12)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問148(経営法務 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、食品会社の社長である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲氏 :「わが社の研究開発室では、日々、お客様にお喜びいただけるソースなどの開発を行っています。このたび、新製品として画期的なパスタソースを開発しました。辛みと甘みが相まって、とろけるようなクリーミーな味です。特許出願しようと思うのですが、特許出願すると、パスタソースの製法が公になってしまうのですか。」
あなた:「はい。特許出願すると、原則として、特許出願の日から( A )を経過したときは出願公開されてしまいます。」
甲氏 :「では、特許出願をせずに秘密のままとする場合、その秘密を保護する法律はありますか。」
あなた:「営業秘密を保護する法律として、不正競争防止法があります。この法律では、営業秘密を『秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、( B )をいう』と規定しています。詳しいことをお知りになりたいときは、ご専門の先生をご紹介します。」
  • A:1年6カ月  B:公然と知られていないもの
  • A:1年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの
  • A:2年6カ月  B:公然と知られていないもの
  • A:2年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの

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この過去問の解説 (2件)

01

特許法の出願公開(空欄A)と、不正競争防止法の営業秘密(空欄B)の要件を問う問題です。

 

空欄A・Bとも超基本的な内容であり、ボーナス問題といえます。本問が不正解となるようでは、科目合格はできません。

 

・出願公開(空欄A)の要件

特許出願の日から1年6カ月を経過したとき

 

・営業秘密(空欄B)の要件

公然と知られていないもの(非公知性)

選択肢1. A:1年6カ月  B:公然と知られていないもの

冒頭の解説より、「A:1年6カ月、B:公然と知られていないもの」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢2. A:1年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの

冒頭の解説より、「A:1年6カ月、B:公然と知られていないもの」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. A:2年6カ月  B:公然と知られていないもの

冒頭の解説より、「A:1年6カ月、B:公然と知られていないもの」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. A:2年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの

冒頭の解説より、「A:1年6カ月、B:公然と知られていないもの」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

営業秘密として保護を受けるためには、本問で問われている非公知性に加えて「秘密として管理されていること(秘密管理性)」「有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)」の3要件をすべて満たすことが必要となります。

 

営業秘密も頻出論点であり、3要件を1つだけ入れ替えて正誤判断させる過去問題が何度も出題されています。

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02

本問は、特許法の出願公開制度(空欄A)と不正競争防止法における営業秘密の定義(空欄B)に関する基本的な知識を問うものです。どちらも経営法務の分野で頻出の内容であり、しっかりと理解しておく必要があります。

選択肢1. A:1年6カ月  B:公然と知られていないもの

この選択肢は正しいです。「A:1年6カ月 B:公然と知られていないもの」は、それぞれ特許法の出願公開時期と不正競争防止法の営業秘密の定義に合致します。

特許法第64条第1項では、特許出願の日から1年6カ月を経過したときに出願公開することが規定されています。これは、出願内容を一定期間経過後に公開することで、同じ発明の重複研究を防止する目的があります。

また、不正競争防止法第2条第6項では、営業秘密の要件として「秘密として管理されていること(秘密管理性)」「有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)」「公然と知られていないこと(非公知性)」の3つを挙げています。空欄Bには「公然と知られていないもの」が入ります。

選択肢2. A:1年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの

この選択肢は誤りです。「A:1年6カ月 B:容易に考えつくことができないもの」の組み合わせは適切ではありません。

Aの「1年6カ月」は特許法の出願公開時期として正しいですが、Bの「容易に考えつくことができないもの」は不正競争防止法における営業秘密の定義として適切ではありません。「容易に考えつくことができないもの」は、特許法における「進歩性」の概念に近いもので、営業秘密の要件ではありません。営業秘密の要件としては「公然と知られていないもの(非公知性)」が正しいです。

選択肢3. A:2年6カ月  B:公然と知られていないもの

この選択肢は誤りです。「A:2年6カ月 B:公然と知られていないもの」の組み合わせは適切ではありません。

Aの「2年6カ月」は特許法の出願公開時期として誤りです。特許法では出願から1年6カ月を経過したときに出願公開されると規定されています。Bの「公然と知られていないもの」は不正競争防止法における営業秘密の定義として正しいですが、Aが誤っているため、この選択肢全体としては不適切です。

選択肢4. A:2年6カ月  B:容易に考えつくことができないもの

この選択肢は誤りです。「A:2年6カ月 B:容易に考えつくことができないもの」の組み合わせは適切ではありません。

Aの「2年6カ月」は特許法の出願公開時期として誤りであり、Bの「容易に考えつくことができないもの」も不正競争防止法における営業秘密の定義として適切ではありません。どちらの要素も不正確であるため、この選択肢は不適切です。

まとめ

本問の正解は選択肢1です。

特許出願すると、原則として出願日から1年6カ月を経過したときに出願公開されます(特許法第64条第1項)。出願公開されると、その内容は誰でも閲覧可能となります。これは特許制度の基本的な仕組みの一つで、技術情報の公開と引き換えに独占権を付与する制度となっています。

一方、技術やノウハウを秘密にしたまま保護する方法として、不正競争防止法による営業秘密の保護があります。営業秘密として保護を受けるためには、「秘密管理性」「有用性」「非公知性(公然と知られていないこと)」の3要件を満たす必要があります。

企業としては、開発した技術について特許出願して権利化するか、あるいは営業秘密として秘匿するかを、戦略的に判断することが重要です。例えば、競合他社による模倣が容易に発見できる技術は特許出願して権利化し、製造方法や配合比率など外部からは分かりにくい技術・ノウハウは営業秘密として管理するという選択が考えられます。

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