中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問146 (経営法務 問10)
問題文
特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問146(経営法務 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から1年以内に限り行うことができる旨が、特許法に規定されている。
- 特許異議の申立ては何人も行うことができる旨が、特許法に規定されている。
- 特許権を消滅させる制度として特許異議の申立てが設けられているため、特許無効審判の制度は特許法には設けられていない。
- 発明の単一性の規定に違反している特許に対して、これを理由として特許異議の申立てを行うことができる旨が、特許法に規定されている。
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この過去問の解説 (2件)
01
特許法から、特許異議の申立ての知識を問う問題です。
一部の選択肢で詳細な知識が問われていますが、全体としては基本的なレベル感であり是非とも正答したいところです。
特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から6か月以内に限り行うことができる旨が、特許法に規定されています。
したがって、不適切な選択肢です。
特許異議の申立ては何人も行うことができる旨が特許法に規定されているため、正解の選択肢となります。
特許異議の申立てと、特許無効審判制度は、いずれも特許法に設定されています。
したがって、不適切な選択肢です。
発明の単一性の規定に違反している特許に対しては、拒絶理由通知が発せられます。
特許法には、発明の単一性の規定に違反している特許に対して特許異議の申立てを行うことができる旨は規定されていないため、不適切な選択肢です。
【補足】
特許異議申立制度と、特許無効審判制度について以下に整理します。
・特許異議の申立制度
特許掲載公報発行の日から、6か月以内に限り申立できる
誰でも申立を行うことができる
・特許無効審判制度
特許設定登録後であれば、いつでも請求できる(特許権消滅後であっても可能)
利害関係人のみ請求できる
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02
特許法における特許異議の申立て制度に関する問題です。特許異議の申立て制度とは、特許権の設定登録後に、第三者がその特許に対して異議を申し立てることができる制度であり、特許法第113条以下に規定されています。この制度は、特許権の早期安定化を図るために2015年(平成27年)の法改正で導入されたもので、従来は特許無効審判制度のみが存在していました。この問題では、特許異議の申立て制度の申立期間、申立人の資格、他の制度との関係、そして申立て理由に関する理解が問われています。
この選択肢は誤りです。特許法第113条では、特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から6か月以内に限り行うことができると規定されています。選択肢にある「1年以内」という期間は誤りです。この6か月という期間制限は、権利の早期安定化のために設けられており、この期間を過ぎると特許異議の申立てはできなくなります。ただし、特許無効審判であれば、特許権の存続期間中はいつでも請求することができます(期間満了後も一定の場合に請求可能)。特許異議申立制度と特許無効審判制度の違いの一つが、この申立て・請求の期間制限です。
この選択肢は正しいです。特許法第113条第1項では、「何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる」と規定されています。「何人も」とは、利害関係の有無にかかわらず誰でも申立てができることを意味しています。これは、特許無効審判が「利害関係人」のみに請求権が認められているのと対照的であり、広く一般からの異議申立てを認めることで、より多くの先行技術などの情報を収集し、特許の質を高めることを目的としています。
この選択肢は誤りです。特許法には、特許異議の申立て制度と特許無効審判制度の両方が設けられています。特許異議の申立ては特許法第113条以下に、特許無効審判は特許法第123条以下にそれぞれ規定されています。両制度は目的や手続が異なり、特許異議の申立ては特許掲載公報発行から6か月以内に何人も申し立てることができるのに対し、特許無効審判は原則として特許権の存続期間中いつでも利害関係人が請求できるという違いがあります。また、無効審判は当事者系、特許異議は職権主義的な色彩が強いという違いもあります。
この選択肢は誤りです。特許法第113条第1項各号および第123条第1項各号に定められている特許異議の申立ての理由には、「発明の単一性の規定違反」は含まれていません。発明の単一性とは、一つの出願に含めることができる発明の範囲を定めた規定(特許法第37条)であり、これに違反している場合は、審査段階での拒絶理由となります。しかし、いったん特許権が設定登録された後は、発明の単一性の違反を理由として特許異議の申立てや特許無効審判を請求することはできません。これは、特許査定後に単一性の問題を蒸し返すことは権利の安定性を損なうという考えに基づいています。
本問の正解は選択肢2です。特許異議の申立ては何人も行うことができるという記述が正しいものです。特許異議の申立て制度は、特許権の早期安定化を図るために導入された制度であり、特許掲載公報発行から6か月以内という比較的短い期間に限定されていますが、誰でも申立てが可能という特徴があります。一方、特許無効審判制度は、より長期間にわたって特許の有効性を争うことができますが、利害関係人のみが請求できるという制限があります。また、発明の単一性の規定違反は、特許異議や無効審判の理由とはなりません。特許法における各制度の特徴や違いを正確に理解しておくことが重要です。
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