公認心理師 過去問
第5回(2022年)
問13 (午前 問13)

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問題

公認心理師試験 第5回(2022年) 問13(午前 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

コストに対する報酬の比が個人の期待である比較水準を上回る場合に当事者はその関係に満足し、一方、別の他者との関係におけるコストと報酬の比である選択比較水準が比較水準を上回る場合には、その関係に移行すると考える理論に該当するものを1つ選べ。
  • バランス理論
  • 社会的浸透理論
  • 社会的比較理論
  • 相互依存性理論
  • 認知的不協和理論

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この過去問の解説 (3件)

01

相互依存性理論とは、人との関係を持つ際に、「そこに投資するものと得られるものとの差し引き」で人間関係を評価するという理論です。設問の文章が長く複雑ですが、対人関係におけるgive&takeの問題と考えればわかりやすいでしょう。

例えばある女性が、パートナーの男性のために献身的に尽くし(コスト)、その分パートナーから金銭的に恵まれた生活環境を与えられていたとします(報酬)。しかしもし、彼女を無条件で愛し、かつよりお金を注ぎ込んでくれる(言わばコスパの良い)男性が現れたら、そちらに乗り換える可能性が高いと思われます。

やや極端な例を挙げましたが、この理論ではそのように考えられています。

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02

この問題の正解は、相互依存性理論 です。

各選択肢については以下の通りです。

選択肢1. バランス理論

誤りです。バランス理論とは、3人以上の対人関係においてそれぞれの認知の均衡を保とうとする心理のことです。例えば自分が好意的な感情を抱いている人の好きなものには印象が良くなるといったことです。問題文の内容には適しません。

選択肢2. 社会的浸透理論

誤りです。社会的浸透理論とは2人の人間関係の発展についての理論で、自己開示の深刻さと情報の範囲が広がることによって2人の親密度が増加していくというものです。問題文の内容には適しません。

選択肢3. 社会的比較理論

誤りです。社会的比較理論とは自身を他の人々と比較することによって、社会的地位や評価を確認することです。問題文の内容には適しません。

選択肢4. 相互依存性理論

正解です。相互依存性理論をかいつまんで説明すると、対人関係において相手から得られる報酬が個人の基準を上回っていれば関係が継続し、代わる第3者からより良い報酬を得られるならば相手との関係はその第3者へと移行するという理論で、問題文と合致します。

選択肢5. 認知的不協和理論

誤りです。自身の考えや言動で矛盾が生まれた時にストレスや不快感を覚えるということです。

問題文の内容には適しません。

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03

以下に解説します。

選択肢1. バランス理論

×:P(個人)・O(他者)・X(対象)を用いて説明できます。PとO、OとX、PとXの関係を、肯定的な感情(+)または否定的な感情(-)で示したとき、3つの関係性の積が+のときはバランス状態、-のときはインバランス状態と呼びます。インバランス状態のときには不快感を覚えるため、個人(P)はOまたはXに対する態度を変容させることによってバランス状態に移行しようとします。この一連の流れの理論を指します。

選択肢2. 社会的浸透理論

×:相手に対する自己開示がより広く、深くなるにつれて二者間の親密度が増していくという理論です。 

選択肢3. 社会的比較理論

×:人は自分を正しく評価するために他人と比べようとするという理論のことです。

選択肢4. 相互依存性理論

○:自分の選択だけではなく、相手の行動によっても満足度が左右される状況のことを相互依存状況と呼びます。相互依存状況において、比較水準(自分の中での基準)を満たしていたとしても、選択比較水準(相手との相互作用を考慮した基準)を下回った場合には現在の選択を変えようとします。

 

選択肢5. 認知的不協和理論

×:人が矛盾する事実や考え方にある状態のことを認知的不協和と呼び、人は不協和により不快感を覚えます。そして、不快感を低減させたいという欲求が生じ、矛盾しているどちらかの認知を変えようとします。この一連の流れの理論を指します。

 

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