公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問96 (午後 問98)
問題文
非行の要因に関するT. Hirschiの社会的絆理論について、正しいものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 問96(午後 問98) (訂正依頼・報告はこちら)
非行の要因に関するT. Hirschiの社会的絆理論について、正しいものを1つ選べ。
- 個人に対する社会的絆が弱くなったときに非行が発生すると考える。
- 親による子どもの直接的統制は、社会的絆の重要な源泉の一つである。
- 社会的絆理論の基本的な問いは、「なぜ人は逸脱行動をするのか」である。
- 友人への愛着が強い少年が、より非行を起こしやすいと考えられている。
- 社会的絆の一つであるコミットメントとは、既存の社会的枠組みに沿った価値や目標達成に関わる度合いを意味する。
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この過去問の解説 (3件)
01
T. Hirschiの社会的絆理論とは、「人がなぜ犯罪を起こさないのか」を唱える理論です。
人が犯罪をおかさないのは、社会的絆があるからです。社会的絆には4つあります。
①「愛着(アタッチメント):家族や友人などの他人に対する愛情」
②「投資(コミットメント):合法的な生活の中で積み上げてきた価値(勉強、キャリア、信頼など)を失うリスクを考えること」
③「巻き込み(インボルブメント):法に従う生活が長ければ、法に従わないものにかかわる機会が少なくなること」
④「信念(ビリーフ):社会的な規則や法の正しさを信じること」
1.→社会的絆理論は、「人がなぜ犯罪を起こさないのか」を唱える理論です。「なぜ非行が発生するのか」を問う理論ではありません。
2.→「親による子どもの直接的統制」は、社会的絆の4つには含まれていません。
3.→社会的絆理論の基本的な問いは、「人がなぜ犯罪を起こさないのか」です。
4.→友人への愛着が強い人は、犯罪を起こしにくいと考えられています。
5.→「投資(コミットメント)」は、合法的な生活(既存の社会的枠組み)に沿った価値を考える度合いを意味するので、正解です。
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02
【正解:5】
社会的絆理論とは、個人が社会に繋ぎ止められている4つの社会的絆が途切れたとき、もしくは弱まったときに非行が起こるとした理論のことです。
また、この4つの社会的絆とは、「愛着」「コミットメント」「巻き込み」「規範観念」を指します。
1:社会的絆理論は、社会的絆が強いときに非行が発生しないことを説明する理論です。非行が発生しない理由を説明するのであって、非行が発生する理由を説明するものではありません。
2:上記により、親の直接的統制は社会的絆には含まれていないことが分かります。
3:選択肢1と同様の理由で誤りです。すなわち、社会的絆理論は、なぜ人は逸脱行動をしないのかが基本的な問いとなります。
4:愛着が強いほど、非行を起こしにくいと考えられています。
5:記述の通りです。コミットメントは「投資」と訳され、自分自身が社会の中で築いてきた地位や信頼のことを指します。
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03
この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。社会的絆理論の概要について問われています。
では、問題を見てみましょう。
主語が逆です。個人に対するではなく、社会に対する個人的絆が弱くなったときに、非行が発生するため間違いです。法律や社会規範に従うべきという信念が非行を抑制します。
両親への個人的絆が弱くなったときに非行が発生するため、間違いです。両親への思い、愛着が非行を抑制します。
目的語が異なります。「なぜ人は逸脱行動をしないのか」が基本的な問いなので、間違いです。
友人への愛着が弱くなると、非行を起こしやすくなりますので、間違いです。
正解です。これまで自身で取り組んできたものを失いたくないという、投資(コミットメント)の説明に該当します。
社会的絆理論は、愛着(attachment)、投資(commitment)、巻き込み(involvement)、信念(belief)で構成されています。内容について理解しておきましょう。
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