司法書士 過去問
令和5年度
問52 (午後の部 問17)
問題文
所有権の保存の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ Aが表題部所有者として記録されている甲建物について、Aが死亡し、Aの相続人がB及びCである場合には、Bは、単独で、自己の相続分についてのみ相続による所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ 表題部所有者をA及びBとする甲建物をCが買い受けた場合において、CがAを被告として、Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは、Cは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ 敷地権付き区分建物の専有部分の表題部所有者Aが、当該区分建物をBに売却し、その売却代金について抵当権の設定契約を締結した場合において、Bが不動産登記法第74条第2項の規定による所有権の保存の登記をしないときは、Aは抵当権設定登記請求権を代位原因として、Bを所有権の登記名義人とする当該所有権の保存の登記を代位により申請することができる。
オ Aを表題部所有者とする甲建物について、Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には、Aの相続人Cは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
(参考)
不動産登記法
第74条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一~三 (略)
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
ア 権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ Aが表題部所有者として記録されている甲建物について、Aが死亡し、Aの相続人がB及びCである場合には、Bは、単独で、自己の相続分についてのみ相続による所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ 表題部所有者をA及びBとする甲建物をCが買い受けた場合において、CがAを被告として、Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは、Cは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ 敷地権付き区分建物の専有部分の表題部所有者Aが、当該区分建物をBに売却し、その売却代金について抵当権の設定契約を締結した場合において、Bが不動産登記法第74条第2項の規定による所有権の保存の登記をしないときは、Aは抵当権設定登記請求権を代位原因として、Bを所有権の登記名義人とする当該所有権の保存の登記を代位により申請することができる。
オ Aを表題部所有者とする甲建物について、Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には、Aの相続人Cは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
(参考)
不動産登記法
第74条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一~三 (略)
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
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問題
司法書士試験 令和5年度 問52(午後の部 問17) (訂正依頼・報告はこちら)
所有権の保存の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ Aが表題部所有者として記録されている甲建物について、Aが死亡し、Aの相続人がB及びCである場合には、Bは、単独で、自己の相続分についてのみ相続による所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ 表題部所有者をA及びBとする甲建物をCが買い受けた場合において、CがAを被告として、Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは、Cは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ 敷地権付き区分建物の専有部分の表題部所有者Aが、当該区分建物をBに売却し、その売却代金について抵当権の設定契約を締結した場合において、Bが不動産登記法第74条第2項の規定による所有権の保存の登記をしないときは、Aは抵当権設定登記請求権を代位原因として、Bを所有権の登記名義人とする当該所有権の保存の登記を代位により申請することができる。
オ Aを表題部所有者とする甲建物について、Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には、Aの相続人Cは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
(参考)
不動産登記法
第74条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一~三 (略)
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
ア 権利能力なき社団の旧代表者であるAが表題部所有者として記録されている不動産について、当該権利能力なき社団から当該不動産を買い受けたBは、Aの唯一の相続人であるCを被告として、Bが当該不動産の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得て、これに基づき、Bを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ Aが表題部所有者として記録されている甲建物について、Aが死亡し、Aの相続人がB及びCである場合には、Bは、単独で、自己の相続分についてのみ相続による所有権の保存の登記を申請することができる。
ウ 表題部所有者をA及びBとする甲建物をCが買い受けた場合において、CがAを被告として、Cが甲建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決を得たときは、Cは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ 敷地権付き区分建物の専有部分の表題部所有者Aが、当該区分建物をBに売却し、その売却代金について抵当権の設定契約を締結した場合において、Bが不動産登記法第74条第2項の規定による所有権の保存の登記をしないときは、Aは抵当権設定登記請求権を代位原因として、Bを所有権の登記名義人とする当該所有権の保存の登記を代位により申請することができる。
オ Aを表題部所有者とする甲建物について、Aが生前に相続人以外のBに対して甲建物を売却していた場合には、Aの相続人Cは、Aを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
(参考)
不動産登記法
第74条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一~三 (略)
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
- アエ
- アオ
- イウ
- イエ
- ウオ
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この過去問の解説 (2件)
01
不動産登記法(所有権の保存登記)に関する問題です。所有権の保存登記の分野は、所有権の移転登記や抵当権設定登記に比べると重要性は低いですが、重要論点であることに変わりはないので、しっかり学習しなくてはなりません。
(ア)所有権を有することが確定判決で確認されたものは、自己を登記名義人とする所有権保存登記を申請することができます。従って、本肢は正しいです。
(イ)被相続人が表題部所有者である甲建物について、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ所有権保存登記をすることはできません。従って、本肢は誤りです。
(ウ)所有権を有することを確定判決により確認された者は、自らを登記名義人とする所有権保存登記の申請をすることができます。この判決は、表題部所有者が複数いる場合は、その全員を被告としたものである必要があります。本記述では、表題部所有者ABのうち、Aのみを被告とした判決しか得られていませんので、当該判決に基づき所有権保存登記はすることができません。従って、本肢は誤りです。
(エ)Bが敷地権付区分建物の表題部所有者Aから当該区分建物を買い受けるとともに、その売買代金債権を担保するために当該区分建物のために抵当権を設定する契約を締結した時でも、当該抵当権設定登記請求権を代位原因としてAがBに代位して、当該区分建物について不動産登記法74条2項に基づく転得者B名義での所有権保存登記はできないとされています。従って、本肢は誤りです。
(オ)甲建物の購入者であるBは、表題部所有者が亡Aである甲建物の所有権保存登記の申請適格者ではありません。本肢の場合は、亡Aの相続人Cを名義とする所有権保存登記を申請した後、CからB名義への所有権移転登記を申請する必要があります。従って、本肢は正しいです。
不動産登記法74条1項2項は、所有権保存登記のルールを定める大変重要な規定です。繰り返し読み込んで、しっかり覚えておく必要があります。
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02
所有権の保存の登記については不動産登記法74条で規定されています。
記述式にも頻出の条文ですので、しっかりと定着させましょう。
前提として、権利能力なき社団は所有権者にはなれず、社団が所有する不動産については、登記上はその代表者が所有者として記録されます。
そして不動産登記法74条1項2号により、所有権を有することが確定判決によって確認された者(=B)は、所有権保存の登記を申請できます。
ではこの判決が、社団の代表者の唯一の相続人を被告としたものである場合にはどうなるかというと、先例は、そのような判決であっても所有権保存登記は可能であるとしています(平成2.3.28民三第1147号回答)。
よって、本肢は正しいです。
暗記のポイント:所有権を有することが確定判決によって確認された者は、所有権保存の登記ができる。
まず、不動産登記法74条1項1号により、表題部所有者の相続人(=B・C)は、所有権保存の登記を申請できます。
そして所有者が複数いる場合、所有権保存登記は、そのうちの一人から申請することができます。
ただしその場合、申請者は、所有権の全部について所有権保存登記をしなければなりません。
(参照先例:明治32.8.8民刑第1311号回答、明治33.10.2民刑第1413号回答)
よって、本肢は誤りです。
※ ただし、Bが単独で申請した場合、Cの持分については登記識別情報が通知されません。
暗記のポイント:特定の持分だけの所有権保存登記はできない。
Cは「所有権を有することが確定判決によって確認された者」ではありますが、不動産登記法74条1項2号に規定される判決は、所有者全員を被告としたものでなければなりません。
よって、本肢は誤りです。
Aは不動産登記法74条1項1号により所有権保存登記が可能ですので、Bに代位せずとも、自己名義での所有権保存登記ができます。
よって、本肢は誤りです。
※ 敷地権付き区分建物の保存登記であっても、不動産登記法74条2項を使わなければならないというわけではありません。
Aが生前に甲建物を売却している場合であっても、Aが表題部所有者であることには変わりません。
よって、Aの相続人Cは、不動産登記法74条1項1号により所有権保存登記が可能ですので、本肢は正しいです。
所有権保存の登記に関する問題では、誰が表題部所有者であるかをよく確認しましょう。
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