看護師 過去問
第111回
問236 (午後 問116)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

看護師試験 第111回 問236(午後 問116) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み以下の問いに答えよ。

午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。

発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頬部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cmの紅斑と水疱を認める熱傷(burn)を負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷(burn)部位の疼痛を訴えていた。
トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。
  • A君の既往歴の聴取
  • A君への鎮痛薬の準備
  • Bさんの気道確保の準備
  • Bさんの熱傷(burn)部位の冷却

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

トリアージとは、傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うために、傷病者ごとに優先順位を決めて区分することです。
看護師が初期対応の優先順位を決める際にも緊急度が高い傷病者が優先されます。

 


問題文では搬送されてきたときのA君と母親のBさんの状況に着目します。

〇A君
避難時に転倒し左肘付近の腫脹と疼痛を訴えている。
〇Bさん
避難時にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。
右頬と右上肢に熱傷を負い疼痛を訴えていた。
〇二人ともバイタルサインに異常はない。

A君とBさんの状態を比較した際、生命に関わる緊急度が高いのはどちらなのかを判断することが求められます。
 

選択肢1. A君の既往歴の聴取

不正解です。

A君は避難時の転倒により左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていますがバイタルサインに異常はなかったとあります。
問題文の時点でA君の診断・治療の決定のための既往歴を聴取する優先度は低いと考えられます。

選択肢2. A君への鎮痛薬の準備

不正解です。

A君は左肘関節付近の腫脹と疼痛の訴えがありますが、バイタルサインに異常はありませんでした。
治療が必要であった場合にも、緊急度は低いと考えられます。

選択肢3. Bさんの気道確保の準備

正解です。

BさんはA君が煙に巻き込まれそうになったところをかばっています。
髪と鼻毛の一部が焦げ、右頬には熱傷を負っています。
バイタルサインに異常はなかったですが、煙に巻き込まれそうになった状況と、顔面に熱傷(鼻毛の焦げと右頬の熱傷)があることから、気道熱傷を疑います。
よって気道確保の準備は初期対応時の優先度が高いと考えられます。
 

選択肢4. Bさんの熱傷(burn)部位の冷却

不正解です。

熱傷部位の冷却は必要ですが、初期対応の優先順位を考える際には緊急度が高いものが優先されます。
Bさんの状況では気道熱傷が疑われ、初期対応として気道熱傷を疑う際の対応の方が優先度が高い状況です。
よって熱傷部位の冷却は優先度が低いと考えられます。

まとめ

Bさんは煙に巻き込まれそうになったA君をかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていました。
そして右頬と右上肢には熱傷を負っていました。
右頬は顔面の一部であり、鼻と口の近くに熱傷を負っていることから、気道熱傷を疑います。

気道熱傷の症状には下記のようなものがあります。

鼻や口腔内に煤(すす)が付着している
煤が混ざった痰が出る
喘鳴(呼吸時にヒューヒュー)
嗄声(声がかれる)
鼻毛が焦げている
顔面に熱傷がある(口や鼻の近く)
咽頭痛

Bさんはバイタルサインには異常はありませんでした。
しかし気道熱傷があった場合、時間の経過とともに咽頭の腫れが生じ気道閉塞が起こる可能性があります。
よって看護師の初期対応として気道確保の準備は優先度が高いと考えられます。

 

参考になった数0

02

2人とも火災現場から救出されたことを念頭におきます。

A君は転倒し、左腕の打撲(もしくは骨折または脱臼)をおこしたと考えられます。

母親であるBさんはA君をかばい熱傷を負っています。見えている範囲の熱傷は命に関わるほど広範囲ではありませんが、鼻毛の一部が焦げ、右頬部の熱傷気道熱傷の可能性が強く疑われます。

気道熱傷とは、火災や爆発事故により、高温の煙、水蒸気、有毒ガスを吸入することによって生じる呼吸器系の障害の総称です。受傷早期には比較的症状が軽いのですが、時間が経過するに従って症状が悪化してきます。気道熱傷は、のどが腫れ、気道の閉塞が早期に起こりやすく、最悪の場合は窒息による呼吸停止をまねくこともあります。

 口や鼻の周囲に熱傷がある、鼻毛が焦げている、口腔や鼻腔内にススが付着した場合など、さらには、ススの混じった痰、嗄声(しわがれ声)、喘鳴(ヒューヒューといった呼吸音)などがある場合は、気道熱傷の存在は強く疑われます

選択肢1. A君の既往歴の聴取

上記説明より、優先されるのはBさんの気道確保の準備です。

選択肢2. A君への鎮痛薬の準備

上記説明より、優先されるのはBさんの気道確保の準備です。

選択肢3. Bさんの気道確保の準備

正解です。

選択肢4. Bさんの熱傷(burn)部位の冷却

上記説明より、優先されるのはBさんの気道確保の準備です。

参考になった数0

03

3 正解

Bさんは口や鼻の周囲に熱傷がある・鼻毛が焦げていることにより、気道熱傷の可能性が強く疑われます。

現在はバイタルサインに異常はありませんが、気道熱傷により気道閉塞、最悪の場合は呼吸停止を招く可能性が高いので、Bさんの気道確保の準備を優先して行います。

1.2.4 不正解

間違った対応ではありませんが、優先度としては高くありません。

参考になった数0