大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問57 (倫理(第4問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問57(倫理(第4問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生GとHが交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのGとHは各々全て同じ人物である。

G:すごい豪邸…、こんなaに生まれた子どもは運がいいね。不平等だな。
H:生まれた家とか国とか、b個人が選べないもので差があるのは、不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもだって、c社会で成功できるかどうかは本人次第だと思う。
G:いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて、将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生むd格差は、社会が埋め合わせるべきだよ。
H:それって、幸運な人が持つお金を不運な人に分け与えるということ?運の違いなんて、そもそも社会のあり方と関わる問題だとは思えないけど。
G:そう?例えば、運よく絵の上手な人が漫画家としてお金を稼げるのは、漫画を高く評価するe文化が社会にあるおかげでしょ。人のf才能も、社会のあり方によって、運よくお金になったり運悪くお金にならなかったりするよ。
H:なるほど。けど、才能を成功に結び付けるのは社会だけじゃないよ。漫画家も才能を磨いてプロになるわけでしょ。そうしたg努力については、個人を評価するべきじゃない?
G:一理あるね。ただ、努力の習慣が身に付くのも運による面はあるよ。地元の学校が「褒めて伸ばす」方針で、何事も頑張って取り組むようになったとか。努力できるようになるかどうかは、h社会の仕組みや構造に左右されると思う。
H:それはそうかも。ただ、同じ境遇でも、苦学して立派になる人もいればそうでない人もいるし…。最終的には、努力は個人の問題じゃないかな。
G:するとHは、運の違いが生む格差は全て、個人が努力で乗り越えるべきだと言うの?幸運な人と同じだけ努力した不運な人が、格差のせいで幸運な人に追い付けないようだと、不運な人の努力は評価されていないとも言えるよ。
H:確かに…。ただ、努力も全て運次第だからという理由で、努力する人がしない人と同じ扱いを受けるとしたら、それはやっぱり不公平じゃないかなあ。
G:そうだよね…。次の倫理の授業が終わったら、先生にも聞いてみようか。

下線部cに関して、次の資料は、子どもの資質や環境と将来の成功の関係についての研究をまとめたものであり、倫理の授業で配付された。これを読んだ生徒の発言のうち、資料の趣旨に合致する発言として最も適当なものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。

資料
子どもの自制心と将来の成功の関係を調べた心理学者ミシェルの実験に、「マシュマロ実験」と呼ばれるものがある。実験者は、子どもの前にマシュマロを1個置き、「戻ってくるまでマシュマロを食べるのを我慢できたらもう1個あげる」と伝えて一旦部屋を出た後、子どもたちの様子を観察した。子どもたちが成人した後に実施された調査では、より長い時間我慢できた子どもは、より学力が高く経済的にも成功していたという。
しかし、この実験では参加者が、親が高学歴である家庭の子どもに限られており、他の研究者たちが様々な家庭環境の子どもを参加者として再度実験を行ったところ、マシュマロを食べるのを我慢できる時間の長さよりも、家庭の経済状況の方が、将来の成功との関係が深いとされた。ただし、この新しい実験に対する批判的な指摘もあり、将来の成功に対して本人の資質と家庭環境のどちらがより大きく影響するかについては、研究者間での議論が続いている。
  • マシュマロを食べるのを自制できる時間が長い子どもの方が、家庭環境を問わず将来成功するなんて、やっぱり自制心が大事なのかもしれないな。
  • 当初のマシュマロ実験では参加者の家庭環境が限定されていたから、幅広い家庭環境の参加者から得られた結果と異なっていたのかもしれないな。
  • 成功している大人は、もし子どもの頃にマシュマロ実験を受けていたら、みんなマシュマロを食べるのを人より長く我慢できていたんだね。
  • 結局、マシュマロを食べるのを我慢できる時間の長さは将来の成功には全く関係ないんだから、家庭環境が大事だってことなんだね。

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