大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問27 (世界史B(第4問) 問5)
問題文
あるクラスで、次の絵画を基に、先生と生徒たちが話し合っている。
先生:これは、ロシアの君主( ア )とその皇子とを題材にした絵画です。
高山:手前の男性の頭部から血が流れているように見えますが。
先生:( ア )が怒りに我を忘れて息子を撲殺してしまった後、正気に戻り、後悔している情景を表しているそうです。
阿部:怖い絵ですね。実際の出来事なんですか。
先生:そのようです。こうした事件もあったため、彼はロシアで初めて正式にツァーリ(皇帝)を称したものの、その功績についてはロシアでも評価が割れています。また、強烈な個性から「雷帝」とも呼ばれています。
小泉:同一人物へのそのような評価の違いは、他の地域でも見られるのですか。
先生:有名なのは、( イ )でしょう。明を建国した彼については、対照的な肖像画が複数残されています。教科書や資料集にも載っていますね。
小泉:確かに全く印象が違います。
先生:ここで改めて( ア )の話に戻ると、彼については、ソ連の映画監督エイゼンシュテインが長編映画を製作し、賞賛を受けました。そのエイゼンシュテインは1938年、13世紀にドイツ騎士団を撃退したアレクサンドル=ネフスキーをロシア史上の英雄として称える映画を完成させましたが、d この映画は1939年から41年までソ連で上映が禁止されることになりました。( ア )を扱った映画でも、その続編では( ア )の描き方の変化を理由に、エイゼンシュテインは時の指導者スターリンの逆鱗(げきりん)に触れました。そこには、ロシア史上の権力者に対する評価の違いが反映されていたのです。
前の文章中の空欄(イ)の人物が徴税のために始めた政策あ・いと、世界史上の税制の歴史について述べた文X~Zとの組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。
徴税のために始めた政策
あ 一条鞭法の導入
い 賦役黄冊の作成
税制の歴史について述べた文
X イギリス東インド会社は、インドの農民から直接に徴税を行うザミンダーリー制を整備した。
Y 共和政ローマでは、騎士身分(騎士階層)が属州の徴税を請け負って、富を蓄積した。
Z イギリス政府は、北アメリカ植民地の抵抗にもかかわらず、印紙法を撤回しなかった。

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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問27(世界史B(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
あるクラスで、次の絵画を基に、先生と生徒たちが話し合っている。
先生:これは、ロシアの君主( ア )とその皇子とを題材にした絵画です。
高山:手前の男性の頭部から血が流れているように見えますが。
先生:( ア )が怒りに我を忘れて息子を撲殺してしまった後、正気に戻り、後悔している情景を表しているそうです。
阿部:怖い絵ですね。実際の出来事なんですか。
先生:そのようです。こうした事件もあったため、彼はロシアで初めて正式にツァーリ(皇帝)を称したものの、その功績についてはロシアでも評価が割れています。また、強烈な個性から「雷帝」とも呼ばれています。
小泉:同一人物へのそのような評価の違いは、他の地域でも見られるのですか。
先生:有名なのは、( イ )でしょう。明を建国した彼については、対照的な肖像画が複数残されています。教科書や資料集にも載っていますね。
小泉:確かに全く印象が違います。
先生:ここで改めて( ア )の話に戻ると、彼については、ソ連の映画監督エイゼンシュテインが長編映画を製作し、賞賛を受けました。そのエイゼンシュテインは1938年、13世紀にドイツ騎士団を撃退したアレクサンドル=ネフスキーをロシア史上の英雄として称える映画を完成させましたが、d この映画は1939年から41年までソ連で上映が禁止されることになりました。( ア )を扱った映画でも、その続編では( ア )の描き方の変化を理由に、エイゼンシュテインは時の指導者スターリンの逆鱗(げきりん)に触れました。そこには、ロシア史上の権力者に対する評価の違いが反映されていたのです。
前の文章中の空欄(イ)の人物が徴税のために始めた政策あ・いと、世界史上の税制の歴史について述べた文X~Zとの組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。
徴税のために始めた政策
あ 一条鞭法の導入
い 賦役黄冊の作成
税制の歴史について述べた文
X イギリス東インド会社は、インドの農民から直接に徴税を行うザミンダーリー制を整備した。
Y 共和政ローマでは、騎士身分(騎士階層)が属州の徴税を請け負って、富を蓄積した。
Z イギリス政府は、北アメリカ植民地の抵抗にもかかわらず、印紙法を撤回しなかった。

- あ ― X
- あ ― Y
- あ ― Z
- い ― X
- い ― Y
- い ― Z
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この過去問の解説 (1件)
01
この問題は、中国の明を建国した人物の評価や政策、そして徴税制度の歴史を、他国の事例と比べて考える内容です。
空欄(イ)に入るのは、朱元璋(しゅげんしょう/洪武帝)です。
彼は明の初代皇帝であり、強い中央集権体制を築いた一方、暴政的な側面もあり、その評価は分かれています。
対照的な肖像画が複数あることも、性格や治世に対する評価の多様性を表しています。
次に、徴税に関する政策を確認します。
あ:一条鞭法の導入
これは明の中期、張居正の改革で採用された制度で、土地税と人頭税を銀でまとめて納めさせる方式です。
朱元璋の政策ではありません。
い:賦役黄冊の作成
これは明の初期、朱元璋によって行われた戸籍・租税台帳の整備政策です。
徴税や労役の基礎となる情報を登録し、農民などを把握する制度でした。
したがって、朱元璋が行った徴税政策は「い:賦役黄冊の作成」です。
次に、選択肢の中で徴税制度に関する正しい記述を確認します。
X:イギリス東インド会社は、インドの農民から直接に徴税を行うザミンダーリー制を整備した。
→ ザミンダーリー制は地主を通じて徴税する制度で、イギリスがインド統治時代に採用しました。
朱元璋の政策とは関係ありませんが、徴税制度の事例として適切です。
Y:共和政ローマでは、騎士身分(騎士階層)が属州の徴税を請け負って、富を蓄積した。
→ 正しいです。
共和政ローマでは「徴税請負人(パブリカニ)」が徴税業務を行い、騎士身分が富を得ました。
Z:イギリス政府は、北アメリカ植民地の抵抗にもかかわらず、印紙法を撤回しなかった。
→ 誤りです。
イギリスは植民地の反発を受けて印紙法を撤回しました。
しがたって、「い―Y」が最も適切です。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
正しいです。
誤りです。
朱元璋(洪武帝)は、徴税の基礎として賦役黄冊を作らせ、民の負担を正確に把握する体制を整えました。
ローマでは徴税を通じて階層が富を得ており、同じ「徴税」にもさまざまな形があることが分かります。
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