行政書士 過去問
令和5年度
問2 (一般知識等 問48)

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問題

行政書士試験 令和5年度 問2(一般知識等 問48) (訂正依頼・報告はこちら)

日本のテロ(テロリズム)対策に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

(注)*1 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法
   *2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
  • 日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。
  • 2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」*1が制定された。
  • 2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。
  • 国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」*2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。
  • 2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題のポイントは日本のテロ対策に関する知識です。

まず日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いのは1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)です。

次に2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」が制定されました。

2015年9月、サイバーテロ対策の一環としてサイバーセキュリティ基本法に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定されました。

最後に2017年の組織犯罪処罰法の改正で、テロ等準備罪が新設されました。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。

解説の冒頭より、日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いのは1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)です。

よって、日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)であるとなります。

選択肢2. 2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」*1が制定された。

解説の冒頭より、2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」が制定されました。

よって、2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」*1が制定されたとなります。

選択肢3. 2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。

解説の冒頭より、2015年9月、サイバーテロ対策の一環としてサイバーセキュリティ基本法に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定されました。

よって、2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定されたとなります。

選択肢4. 国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」*2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。

解説の冒頭より、2017年の組織犯罪処罰法の改正で、テロ等準備罪が新設されました。

よって、国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」*2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設されたとなります。

選択肢5. 2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。

日本の省庁にテロ対策庁というものは存在しません。

まとめ

この問題のように、日本が結んだ条約や新しい法律等が問われることがあるので、新しくできた法や日本が結んだ条約なども目を通した方が良いでしょう。

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02

本問は、日本のテロ対策について概括的知識を問う問題です。

細かい年月までは憶えていないのが普通でしょうが、だいたいいつ頃程度で十分です。

細かく憶えていなくてもあまり問題はないので気にする必要はありません。

選択肢1. 日本が締結したテロ防止に関連する条約として最も古いものは、1970年締結の「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(航空機内の犯罪防止条約)である。

妥当です。

 

現在公式にテロ防止関連諸条約とされている条約は13本あります。その内の最も古い条約がこの「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(略称、航空機内の犯罪防止条約。通称、東京条約)です。
 

この13本の条約は、外務省のウエブサイトで見ることができます。

テロ防止関連諸条約について|外務省

選択肢2. 2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をきっかけとして、通称「テロ対策特別措置法」*1が制定された。

妥当です。

 

*1の正式名称を見れば判る通り、まさに平成13年(=2001年)9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件、いわゆる9・11をきっかけとして制定された法律です。
問題文に答えが書いてあるサービス肢と言ってよいでしょう。

 

なお、本法は時限立法であり、数度の延長を経て2007年11月1日に期限満了により現在では失効しています。また、この法律の後継法として「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法」いわゆる新テロ特措法があります。こちらも時限立法であり、現在では既に失効しています。

選択肢3. 2015年9月、サイバーテロ対策の一環として「サイバーセキュリティ基本法」に基づき、サイバーセキュリティ戦略が閣議決定された。

妥当です。

 

2014年(平成26年)11月6日に成立した「サイバーセキュリティ基本法」第12条第1項に「政府は、サイバーセキュリティに関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、サイバーセキュリティに関する基本的な計画(以下「サイバーセキュリティ戦略」という。)を定めなければならない。」とあります。この規定に基づいて、2015年9月4日にサイバーセキュリティ戦略が閣議決定されました。

 

内閣サイバーセキュリティセンターのウェブサイトにあるサイバーセキュリティ戦略本部のページ

会議 - NISCから、その内容を閲覧することができます。
 

選択肢4. 国際組織犯罪防止条約の締結に向けた「組織犯罪処罰法」*2の2017年の改正として、いわゆるテロ等準備罪が新設された。

妥当です。

 

「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」(略称、国際組織犯罪防止条約(TOC条約))は、第5条において、「重大な犯罪を行うことの合意」又は「組織的な犯罪集団の活動への参加」の一方又は両方を、独立した犯罪とするために必要な措置をとることを締約国に義務付けています。
これに対応し2017年6月に「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(略称、組織犯罪処罰法)が改正され、第6条の2としていわゆる「テロ等準備罪」の規定が設けられました。
 

選択肢5. 2022年7月8日に奈良県で発生した安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけとして、内閣府に「テロ対策庁」が設置された。

妥当ではありません。よってこの肢が正解です。


テロ対策庁という機関は存在しません。
また、安倍元首相銃撃事件がきっかけとなって何かテロ対策組織が設置されたという事実もありません。

 

なお、テロ対策の機関としては、外務省総合外交政策局に「国際テロ情報収集ユニット」、警察庁に「警察庁警備局国際テロリズム対策課」などが設置されています。

まとめ

一般知識はほぼ教養の範囲の話です。特に時事問題は、日頃からメディア報道等に能動的に接しておくことが大事です。
知らなくても業務には直接関係がないですが、教養というのは、はったりが利きます。士業に限らず、社会人にとって教養はいくらあっても損することはありません。

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