中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問166 (経営情報システム 問6)
問題文
クラウドコンピューティングの実装形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問166(経営情報システム 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
クラウドコンピューティングの実装形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- エッジクラウドでは、クラウドサービスは、サービスの提供者と利用者の間でサービス提供の交渉が可能であり、利用者の具体的なニーズに合わせて提供される。
- コミュニティクラウドでは、クラウドサービスは、共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体の専用使用のために提供される。
- ハイブリッドクラウドでは、クラウドサービスは、複数のパブリッククラウドサービスを組み合わせて提供される。
- パブリッククラウドでは、クラウドサービスは、複数の利用者からなる単一組織の専用使用のために提供される。
- プライベートクラウドでは、クラウドサービスは、営利を目的としない利用者の専用使用のために提供される。
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この過去問の解説 (2件)
01
クラウドコンピューティングの実装形態に関する問題です。各選択肢で問われている用語を、以下に解説します。
・エッジクラウド
ユーザーとクラウドの間をつなぐ物理的な場所のことです。エッジでは、エッジを介してユーザーとクラウド間でデータの収集や送受信が行なわれます。
・コミュニティクラウド
特定のコミュニティ(共同体)で利用できる実装形態です。
・ハイブリッドクラウド
パブリックとプライベートなど、複数の異なるクラウド環境を使い分ける実装形態です。
・パブリッククラウド
不特定多数のユーザー向けに提供されているクラウド環境で、一般的にはインターネット上で提供されています。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどのリソースをユーザー間で共有しています。プライベートクラウドの対概念です。
・プライベートクラウド
企業や組織など、特定のユーザーのみが利用するクラウド環境です。リソースを複数ユーザー間で共有しません。パブリッククラウドの対概念です。
エッジクラウドでは、サービスの提供者と利用者の間でサービス提供の交渉が可能なのではなく、利用者の具体的なニーズに合わせて提供されるわけでもありません。
冒頭の解説より、エッジはユーザーとクラウドの間をつなぐ物理的な場所のことであり、エッジを介してユーザーとクラウド間でデータの収集や送受信が行なわれるため不適切な選択肢です。
コミュニティクラウドでは、クラウドサービスは共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体の専用使用のために提供されることは、クラウドコンピューティングの実装形態に関する記述として最も適切です。
冒頭の解説より、特定のコミュニティ(共同体)とは「共通の懸念事項を持つ異なる組織の成員から構成される共同体」であると思われるため正解の選択肢となります。
冒頭の解説より、ハイブリッドクラウドでは、クラウドサービスは複数の異なるクラウド環境を使い分けて提供されます。
「複数の異なるクラウド環境」には、パブリックだけではなくプライベートも含まれるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、パブリッククラウドでは、クラウドサービスは不特定多数のユーザー向けに提供されます。
「単一組織の専用使用」についてはプライベートクラウドの記述と思われるため、不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、プライベートクラウドでは、クラウドサービスは企業や組織など特定のユーザーのみが利用するために提供されます。
また、プライベートクラウドは非営利専用に使用されているわけではないため不適切な選択肢です。
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02
本問は、クラウドコンピューティングの実装形態(デプロイメントモデル)に関する問題です。クラウドコンピューティングは企業のIT戦略において重要な選択肢となっており、そのサービス形態にはIaaS、PaaS、SaaSなどの分類がある一方で、実装形態にはパブリック、プライベート、ハイブリッド、コミュニティ、エッジなど様々な形態があります。それぞれの特徴と違いを理解することが、企業に最適なクラウド導入を検討する上で重要です。
この選択肢は誤りです。エッジクラウドは、クラウドの処理機能をユーザーやデータソースの近くに配置する実装形態です。主な目的は、データの収集・処理・分析をエンドユーザーやIoTデバイスに近い場所(エッジ)で行うことで、中央のクラウドデータセンターへのデータ転送量を減らし、レイテンシ(遅延)を低減することです。
「サービスの提供者と利用者の間でサービス提供の交渉が可能」という記述は、エッジクラウドの特性ではなく、むしろSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)の文脈で語られる内容です。また「利用者の具体的なニーズに合わせて提供される」という点は、プライベートクラウドやマネージドサービスの特性に近いと言えます。
この選択肢は正しいです。コミュニティクラウドは、「共通の懸念事項(セキュリティ要件、ポリシー、コンプライアンス要件など)を持つ特定の組織のグループによって使用される」クラウド環境です。これは米国国立標準技術研究所(NIST)によるクラウドコンピューティングの定義とも一致しています。
例えば、同じ規制に従う必要がある特定の業界(金融、医療、公共部門など)の組織が共同で使用するクラウド環境が該当します。コミュニティクラウドは、パブリッククラウドの経済性とプライベートクラウドのセキュリティや管理の利点を両立させる中間的な選択肢として位置づけられます。
この選択肢は誤りです。ハイブリッドクラウドは、「複数のパブリッククラウドサービスを組み合わせて提供される」というよりも、「パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせた環境」を指します。つまり、自社で所有・管理するプライベートクラウドと、AWS、Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウドを統合し、データやアプリケーションを環境間で移動できるようにした実装形態です。
ハイブリッドクラウドの主な利点は、機密データをプライベート環境で保持しながら、必要に応じてパブリッククラウドのリソースやサービスを活用できる柔軟性にあります。単に複数のパブリッククラウドを組み合わせる実装形態は、むしろ「マルチクラウド」と呼ばれることが一般的です。
この選択肢は誤りです。パブリッククラウドは、「複数の利用者からなる単一組織の専用使用のために提供される」のではなく、「クラウドサービスプロバイダによって一般に公開され、多数の異なる組織や個人が共有して利用するクラウド環境」を指します。
Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudなどが代表的なパブリッククラウドサービスです。これらのサービスは、インフラストラクチャを共有することでスケールメリットを生み出し、比較的低コストでクラウドリソースを利用できるという特徴があります。「単一組織の専用使用」という記述は、むしろプライベートクラウドの特性に該当します。
この選択肢は誤りです。プライベートクラウドは、「営利を目的としない利用者の専用使用のために提供される」のではなく、「単一の組織とその認定ユーザーのみが使用するクラウド環境」を指します。プライベートクラウドは、企業の自社データセンターで運用される場合もあれば、第三者によってホスティングされる場合もありますが、いずれの場合も専用のインフラストラクチャが提供されます。
プライベートクラウドの主な利点は、セキュリティとコンプライアンスの要件が厳しい環境で、より高度な管理とカスタマイズが可能な点です。利用組織が営利目的かどうかは、プライベートクラウドの定義には関係ありません。
本問の正解は選択肢2です。クラウドコンピューティングの実装形態を整理すると、以下のようになります:
パブリッククラウド:クラウドサービスプロバイダによって一般に公開され、多数の異なる組織や個人が共有して利用するクラウド環境(例:AWS、Azure、Google Cloud)
プライベートクラウド:単一の組織とその認定ユーザーのみが使用するために構築されたクラウド環境(セキュリティやコンプライアンス要件が厳しい企業に適している)
ハイブリッドクラウド:パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせ、それらの間でデータやアプリケーションを移動できる環境
コミュニティクラウド:共通の懸念事項(セキュリティ要件、ポリシーなど)を持つ特定の組織グループが共同で使用するクラウド環境
エッジクラウド:エンドユーザーやデータソースの近くにコンピューティング能力を配置するクラウド環境(遅延の低減やデータトラフィックの最適化が目的)
企業がクラウド戦略を検討する際には、これらの実装形態の特性を理解し、自社のビジネス要件やセキュリティ要件に最も適したモデルを選択することが重要です。
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