第二種衛生管理者 過去問
令和6年10月公表
問5 (関係法令 問5)

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問題

第二種衛生管理者試験 令和6年10月公表 問5(関係法令 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

労働安全衛生法に基づく労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果等に応じて実施される医師による面接指導に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
  • 常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。
  • ストレスチェックを行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した労働衛生コンサルタントは、ストレスチェックの実施者となることができる。
  • 事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。
  • ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
  • 事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

ストレスチェック、及び ストレスが高いと判断された労働者に対する面接指導に関する問題です。

主に労働安全衛生規則の第52条(健康診断結果報告)や、労働安全衛生法の第66条の10(心理的な負担の程度を把握するための検査等)に記載されている内容の問題となっています。

選択肢1. 常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。

誤りです。

 

労働安全衛生規則の第52条の9では、以下の様に規定されています。

 事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に~心理的な負担の程度を把握するための検査を行う

 

そのため、6か月以内ごとではなく、1年以内ごとに1回が正しい記述となります。


常時50人以上労働者を使用する事業場でストレスチェックが義務化されている事は、労働安全衛生法施行令第5条に定められており、この点は正しいです。

選択肢2. ストレスチェックを行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した労働衛生コンサルタントは、ストレスチェックの実施者となることができる。

誤りです。

 

労働安全衛生規則の第52条の10で、ストレスチェックを実施できるものとして以下を挙げています。

・医師
・保健師
・検査を行うために必要な知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
 

ここには、労働衛生コンサルタントは含まれていません。

 

尚、同項にストレスチェックの実施の事務に従事してはいけない者として、「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」を規定しています。

選択肢3. 事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。

誤りです。

 

労働安全衛生法の第66条の10では、ストレスチェックの結果について、以下の通り規定されています。

・検査を受けた労働者に対し、検査を行った医師等から検査の結果が通知されなければならない。

・医師等は、あらかじめ検査を受けた労働者の同意を得ないで、検査の結果を事業者に提供してはならない

 

そのため、問題文の「衛生管理者及び」の部分が誤っています。

選択肢4. ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。

正しいです。【正解】

 

労働安全衛生規則の第52条の10では、ストレスチェックの実施の事務に従事してはいけない者として、「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」を規定しています。

選択肢5. 事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。

誤りです。

 

労働安全衛生規則の第52条の3では以下の通り規定されています。

 

・面接指導は、心理的な負担の程度が高い要件に該当する労働者の申出により行う
・労働者から申出があつたときは、遅滞なく、面接指導を行う
・産業医は、要件に該当する労働者に対して、面接指導の申出を行うよう勧奨することができる。

 

そのため、「全員」ではなく「申し出があったもの」が正しい記述となります。

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02

ストレスチェックの総合問題です。

各ポイントからチェックしていきましょう。

 

【①面接指導の実施義務】

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、

1年以内ごとに1回定期に心理的な負担の程度を把握するための検査を実施しなければなりません。

 

【②実施者】

(1)医師

(2)保健師、

(3)検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した

「歯科医師、看護師・精神保健福祉士又は公認心理師」

上記の者が実施することができます。

ただし、「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、

検査の実施の事務に従事してはならない。」と定められています。

 

【③結果の報告】

事業者は検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、

当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。

当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、

当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

と定められています。

選択肢1. 常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。

誤りの内容です。

6ヶ月以内ではなく、

1年以内」ごとに1回であれば正しい内容でした。

選択肢2. ストレスチェックを行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した労働衛生コンサルタントは、ストレスチェックの実施者となることができる。

誤りの内容です。

労働衛生コンサルタントは研修を修了しても実施者にはなれません。

 

研修を修了したことで実施者となれるものは、

「歯科医師、看護師・精神保健福祉士又は公認心理師」

の4職種です。

 

医師、保健師は研修を修了しなくても実施者となることができます。

選択肢3. 事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。

誤りの内容です。

労働者の同意なく結果を事業者等に通知できません。

よって、衛生管理者に通知することはできません。

 

「衛生管理者」の文言がなければ、

正しい内容でした。

選択肢4. ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。

正しい内容です。

解説は冒頭をご参照ください。

選択肢5. 事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。

誤りの内容です。

負担の程度が高い労働者「全員」ではありません。

 

心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが、

医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときに、

医師等による面接指導を行う義務が生じます。

【安衛法66条の10】

まとめ

ストレスチェックと面接指導は知識が混同しやすい部分です。

実施者の職種、数字を中心に知識を押さえてください。

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03

『ストレスチェック』とは労働者の心理的負担を把握し、必要に応じて医師の面接指導につなげることでメンタルヘルス不調の予防を目的としています。

幅広く、細かく問われることの多い問題ですが、実施頻度、実施者の資格、結果の取り扱い、プライバシー保護、面接指導の要件など押さえておきましょう。

選択肢1. 常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。

誤り!
「6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない」

 

⇒ストレスチェックの実施義務は「1年以内ごとに1回以上」であり、6か月ごとではありません。

選択肢2. ストレスチェックを行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した労働衛生コンサルタントは、ストレスチェックの実施者となることができる。

誤り!
「労働衛生コンサルタントは、ストレスチェックの実施者となることができる」
 

⇒実施者となれるのは医師、保健師、または厚生労働大臣指定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師に限られます。覚えましょう。

選択肢3. 事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。

誤り!

「事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない」
 

⇒結果は受検者本人にのみ通知され、衛生管理者への通知義務はありません。(本人の同意なく事業者や第三者に提供することもできません!)

選択肢4. ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。

正解!

「監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない」
 

⇒解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位の者は、実施事務に従事できません!(感覚でも分かりやすいと思います。)

選択肢5. 事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。

誤り!

「心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない」
 

⇒面接指導は「高ストレス者本人から申出があった場合」に限り、実施義務が生じます。

まとめ

【ポイント】

・ストレスチェックの実施間隔や対象、実施者の資格、結果の通知範囲などは厳格に法令で定められているため、独自の運用や解釈はできません!

・プライバシー保護が最優先され、結果は本人以外に原則通知されません!(事業者や衛生管理者への提供は本人同意が必要です。)

・面接指導の対象は「高ストレス者全員」ではなく、「申出があった場合」に限られる点に注意が必要!

・実施事務に従事できない者の規定(監督的地位)は、ストレスチェックの信頼性と公正性確保のための重要なルール。

 

法令の趣旨・運用を逸脱しないよう、制度設計・運用時は厚生労働省のガイドラインやマニュアルを必ず確認しましょう!

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